ダークウェブの都市伝説「赤い部屋」の噂
「ダークウェブには“赤い部屋”があるらしい」
「お金を払えば、生配信で殺人が見られるらしい」
そんな背筋がゾワッとする噂、聞いたことがある人も多いはずだ。
“Red Room(赤い部屋)”――ダークウェブ界隈の怪談として、必ず名前が挙がる存在である。
だが、セキュリティの専門家として冷静に検証すると、この話はある結論に行き着く。
その前に、まずは噂の“赤い部屋”がどんなものか整理してみよう。

引用元:ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96
「赤い部屋」ってどんな場所?
一般的に語られる設定はこんな感じだ。
- ダークウェブの奥深くに存在する
- 招待制、または高額な支払いが必要
- 生配信で殺人や拷問が行われる
- 視聴者が投票やチャットで指示できる
「なんかダークウェブっぽい…」と思わせる絶妙な設定だが、実はここに技術的にも犯罪心理的にも大きな矛盾が潜んでいる。
技術的視点①:ダークウェブは“生配信”に向いていない
まず押さえておきたい事実がある。 ダークウェブの基盤である Torネットワークは高速通信向けではない。
- 通信は多段中継される
- 遅延が大きい
- 帯域が不安定
つまり、
高画質のライブ配信なんて、そもそも無理ゲー
ということだ。
実際にダークウェブで見つかる動画は、
- 低画質
- 録画済み
- 断片的
この3点セットが基本。
「リアルタイムで視聴者参加型の殺人ショー」なんて、技術的に見ても成立しづらい。
技術的視点②:ダークウェブの匿名性は“万能”ではない
よくある誤解がこれだ。
「ダークウェブなら絶対に捕まらない」
これは間違いである。
実際には、
- 通信の出口(配信元)の特定
- 仮想通貨の資金追跡
- サーバー設定ミス
- 内部告発
こうした理由で、ダークウェブ犯罪は何度も摘発されている。
もし赤い部屋が本当に存在し、こうした理由で、ダークウェブ犯罪は何度も摘発されている。
もし赤い部屋が本当に存在し、継続的に多数の視聴者を集め、国際的に配信していたなら、一度も証拠が出てこないのは不自然すぎる。
犯罪心理の視点:わざわざ“配信”する意味がない
ここが専門家として最も重要なポイントだ。
本当に殺人を行うような犯罪者が、
- 視聴者を集め
- 支払いを受け
- リスクの高い配信を行う
そんな“目立つ行為”をするだろうか?
現実の重大犯罪は、
- 隠蔽
- 秘密保持
- 痕跡を残さない
この方向に進む。 派手に配信するなんて、リスクしかない。
つまり赤い部屋は、
「犯罪者にとって都合が悪すぎる物語」
なのだ。
では、なぜ赤い部屋の噂は広まったのか?
① 恐怖 × ダークウェブ × 生配信
この組み合わせ、拡散力が強すぎる。
人は怖い話が大好きだ。 “ダークウェブの闇”というワードだけで、想像力が暴走する。
② フェイクサイト・詐欺の存在
実際にダークウェブには、
- 「Red Room」を名乗るサイト
- 高額なビットコインを要求するページ
が存在したことがある。
しかし中身は、
- ループ動画
- 事前録画
- 完全な詐欺
「赤い部屋を見せる」と言って金を取る詐欺――これが現実だ。
③ フィクションの影響
映画、漫画、まとめサイト。
フィクションと噂が混ざり、いつの間にか“実話っぽい都市伝説”に変化してしまった。
そもそもが、FLASH制作者のO-Toroによって2003年、数分ほどの短編動画の物語として発表された。おもしろFLASHであり、FLASH黄金時代の著名作の1つに尾ひれがついたものだと思われる。
引用元:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%84%E9%83%A8%E5%B1%8B_(%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88)
セキュリティ専門家としての結論
赤い部屋は実在するのか?
結論はこうだ。
🟥 都市伝説としては存在するが、実在の犯罪サービスとして確認された事実はない。
理由は3つ。
- 技術的に成立しにくい
- 犯罪者に合理性がない
- 証拠・摘発例が一切ない
つまり、赤い部屋は“ダークウェブ神話”の代表格なのだ。
本当に危険なのは「赤い部屋」ではない
実際に注意すべきは、もっと地味で、もっと現実的な犯罪だ。
- 詐欺マーケット
- 個人情報の売買
- 不正アクセスツール
- マルウェア配布
これらは派手さはないが、確実に被害を生む。
恐ろしいのは映画のような赤い部屋ではなく、
「誰にも気づかれないまま進行する犯罪」
である。
最後に:恐怖の正体を知るということ
都市伝説は「知らないこと」から生まれる。 だが、知れば恐怖は輪郭を失う。
赤い部屋は、私たちの想像力が作り出した“深淵”。 本当の闇は、もっと静かで、もっと現実的な場所に潜んでいる。
それを見抜く力こそが、 現代のセキュリティリテラシーなのだ。


コメント