【検知システム】なぜ海外のIPアドレスを止めても、企業サイトへの攻撃は防げないの?

セキュリティ用語・基礎知識

はじめに(小学生でもわかるお話)

「悪い人は外国から来るんだから、海外のIPアドレスを全部ブロックすれば安全だよね?」

実は、これはもう通用しない考え方です。
理由はとてもシンプル。

悪い人は、日本のフリをすることができるからです。

この記事では、

  1. IPアドレスってなに?
  2. なぜ海外IPを止めても意味がないの?
  3. 今どんな抜け道が使われているの?

を、専門用語をできるだけ使わずに解説します。


IPアドレスってなに?

IPアドレスは、

インターネット上の住所

のようなものです。

  • 日本の住所 → 日本のIP
  • アメリカの住所 → アメリカのIP

昔は、
「外国の住所から来たら怪しい!」
が成り立っていました。

でも今は違います。


なぜ海外IPを止めても意味がないの?

理由① VPNを使えば日本人になれる

VPN(ブイピーエヌ)は、

ネット上で変装できる道具

です。

  • 本当は海外にいる
  • でもVPNを使う
  • 見た目は「日本のIP」

サイト側から見ると「日本からのアクセス」に見えます。

しかも、

  • 日本の会社
  • 日本のクラウド

が提供しているVPNも普通にあります。


理由② レジデンシャルプロキシという裏ワザ

最近とても問題になっているのが、

🏠レジデンシャルプロキシ

です。

これは、

  • 一般の家庭の回線
  • 普通のスマホや光回線

を経由して攻撃する方法です。

📌 特徴

  • IPは「普通の日本の家」
  • 企業・銀行・役所も使う回線と区別がつかない

企業サイトブロックすると一般の人まで巻き添えになります。


理由③ 自分の回線を貸す人がいる

もっとやっかいなのが、

回線貸し

です。

  • 自宅にサーバを置く
  • 光回線を何本も引く
  • それを他人に使わせる

しかも、

  • 無届(電気通信事業法)
  • 違法スレスレ

なケースもあります。

IPだけ見ても
「攻撃者」か「普通の日本人」か判断できません。


さらに知っておきたい「プラスアルファ」の現実

ここからは、もう一歩だけ踏み込んだお話です。
知ると少し怖いですが、今のネット社会の本当の姿でもあります。


① 知らないうちに「加害者」になっている人たち(ボットネット)

理由③の「回線を貸す人」とよく似た問題に、

ボットネット

があります。

これは、

  • ウイルスに感染したスマホ
  • セキュリティ設定が甘いWebカメラ
  • 安価なスマート家電(IoT機器)

が、持ち主に内緒で操作されてしまう状態です。

📌 ポイント

  • 持ち主は被害者
  • でも通信は「日本の家庭」から出る

その結果、

実は、悪い人に回線を貸している自覚がない人もいます。ウイルスに感染した家電やスマホが、持ち主に内緒で「日本からの攻撃の踏み台」にされているケースが非常に多いのです。

企業側から見ると、
完全に普通の日本人からのアクセスに見えてしまいます。


② 日本国内のクラウドサーバーからの攻撃

「悪い人は日本のフリをする」方法は、VPNだけではありません。

日本のクラウドサービスの悪用

も、非常に多い手口です。

たとえば、

  • AWS(東京リージョン)
  • 国内クラウド事業者

など、

📌 特徴

  • IPアドレスは日本
  • 有名で信頼されている企業のサービス

つまり、

「信頼されている日本の大手企業のサービスの中から攻撃が来る」

という状況になります。

これをIPアドレスだけで止めると、

  • 正規の企業利用
  • 正常なクラウド通信

まで止めてしまう危険があります。


③ やりすぎると「普通のお客さん」も排除してしまう

「怪しいものは全部ブロックすればいい」

そう思われがちですが、現実はそう簡単ではありません。

誤検知(False Positive)

という問題があります。

これは、

  • 本当は安全
  • 本当は普通のお客さん

なのに、
間違って攻撃者だと判断してしまうことです。

たとえば、

  • 海外旅行中の日本人
  • 海外出張中の社員
  • 格安SIMや共有回線を使っている一般の方

が、

「サイトが見られない」「ログインできない」

という被害を受けることがあります。

企業にとっては、

セキュリティを強くすると、使いやすさが下がる

という、とても難しいバランス問題なのです。


じゃあ、企業は何もできないの?

いいえ、そんなことはありません。

ただし、

IPアドレスだけに頼る防御

は、もう限界です。


いま企業がやっている本当の対策

① 行動を見る(ふるまい検知)

  • 短時間で大量アクセス
  • 人間ではありえない速さ
  • 同じ操作のくり返し

IPではなく動きで判断します。


② WAF(ウェブの防犯カメラ)

WAFは、

怪しい攻撃専用の見張り番

  • 攻撃の型を知っている
  • 世界中の情報を共有

IPが日本でも、
攻撃の中身で止めます。


③ 多層防御(いくつも壁を作る)

  • ログイン回数制限
  • CAPTCHA(私はロボットではありません)
  • 二段階認証

1つ破られても、次で止める仕組みです。


根拠(信頼できる情報)

以下は、実際に問題として指摘されている事実です。

  • VPN・プロキシを使った攻撃は世界的に増加
  • レジデンシャルIPは正規通信と区別が困難
  • IPAや各国CERTも「IP制限だけでは不十分」と注意喚起

◆公的・専門機関の見解

  • IPA(情報処理推進機構)セキュリティ対策資料
  • NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)
  • 海外セキュリティベンダー(Cloudflare / Akamai 等)の脅威レポート

まとめ

結論

海外IPを止めれば安全、という時代はもう終わっています。

理由は、

  • 日本のフリが簡単にできる
  • 一般家庭のIPが攻撃に使われる
  • IPだけでは善悪が判断できない

だからこそ、

IPではなく「行動」と「仕組み」で守る

これが、
いまの企業セキュリティの常識です。


※ セキュリティは「一発で完璧」はありません。
正しく知ることが、いちばんの防御です。

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