
「パスワードが覚えられないから、ついつい使い回してしまう……」
これは多くの人が抱える悩みですが、セキュリティの観点から見ると非常にハイリスクな状態です。この記事では、なぜパスワードの使い回しが危険なのか、最新のデータやランキングを交えて、初心者の方にもわかりやすく解説します。

なぜ「パスワードの使い回し」はこれほど注意喚起されるのか?
結論から言うと、「1箇所から漏れると、すべての鍵が開けられてしまうから」です。
パスワードを使い回すと、「リスト型攻撃(クレデンシャルスタッフィング攻撃)」の標的になります。これは、あるサービスから盗んだIDとパスワードのリストを使い、自動プログラムで他のSNSや銀行、ECサイトに片っ端からログインを試みる手法です。
補足:パスワードを使い回している人の割合
各種調査によると、パスワードを使い回しているユーザーは約50%〜70%にのぼると言われています。つまり、2人に1人は常に「全アカウント一斉乗っ取り」のリスクにさらされているのです。
実態調査:漏洩したパスワードで一番多かったのは?
世界中で漏洩したパスワードを分析すると、驚くほど単純なものが上位を占めています。
使ってはいけないパスワードランキング(2025-2026年傾向)
毎年発表される「最悪のパスワード」の上位は、常に固定されています。
- 123456 (不動のワースト1位)
- password
- 123456789
- qwerty
- guest
これらのパスワードは、ハッカーが攻撃を仕掛ける際に「秒速」で試されるものです。絶対に使用しないでください。
10桁のパスワード、解析にかかる時間は?
「10桁なら長いから大丈夫」と思っていませんか?実は、中身の組み合わせによって解析時間は劇的に変わります。
現在の一般的なPCスペックで総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)を仕掛けた場合、10桁のパスワードが解析されるまでにかかる時間は以下の通りです。
| パスワードの構成 | 解析にかかる時間の目安 |
| 数字のみ (10桁) | 1秒未満 |
| 英小文字のみ (10桁) | 約1分〜1時間 |
| 英大文字+小文字+数字 (10桁) | 約1ヶ月〜1年 |
| 英大小+数字+記号 (10桁) | 約5年〜10年以上 |
パスワードの組み合わせパターン数 Pは、文字の種類 nと桁数 rを用いて以下の式で表されます。
10桁の場合、数字のみなら 10^10通りですが、英大小数字記号(約94種類)を使うと 94^10通りとなり、天文学的な数字になります。「長さ」だけでなく「種類の多さ」が重要なのです。
パスワードが盗まれる主な原因
「自分は怪しいサイトを見ていないから大丈夫」というわけではありません。
- フィッシング詐欺: 本物そっくりの偽メールやサイトから、自分で入力してしまう。
- サービス側からの漏洩: 利用しているアプリやサイト自体が攻撃を受け、情報が流出する。
- マルウェア(ウイルス): PCやスマホに侵入し、キーボードの入力履歴を盗み取る(キーロガー)。
- ショルダーハッキング: カフェや電車などで、後ろから入力画面や指の動きを盗み見られる。
安全なパスワードの設定と管理のコツ
「覚えられない」を解決しつつ、安全性を高める3つのステップを紹介します。
① 「パスフレーズ」を作る
短い単語ではなく、自分が好きなフレーズを繋げます。
- 例:I-love-Sushi-2026!このように記号と数字を混ぜた12文字以上のフレーズにすれば、解析はほぼ不可能になり、かつ記憶に残りやすくなります。
② パスワードマネージャーを活用する
すべてを覚えるのは不可能です。ブラウザ(GoogleやApple)の保存機能や、専用のパスワード管理アプリ(1Passwordなど)を使いましょう。あなたが覚えるのは、「管理アプリを開くための最強の1つ」だけでよくなります。
③ 二段階認証(MFA)をオンにする
万が一パスワードが漏れても、スマホに届くコードや生体認証(指紋・顔)がなければログインできない仕組みです。これだけで乗っ取り被害の99%を防げると言われています。
【実践】あなたのメールアドレス、実はもう漏れているかも?
パスワードの使い回しが危険なのはわかったけれど、「自分は大丈夫だろう」と思っていませんか? 実は、過去に利用したサイトから自分の情報が漏洩していないかを、誰でも無料で調べられるツールがあります。
それが、世界中のセキュリティ専門家も信頼を寄せるサイト「Have I Been Pwned (HIBP)」です。
Have I Been Pwned とは?
マイクロソフトの元ディレクターであるトロイ・ハント氏が運営しているサイトです。過去に起きた大規模なデータ漏洩事件のデータを集約しており、自分のメールアドレスを入力するだけで、どのサイトから、いつ、どんな情報が漏れたのかを瞬時に特定してくれます。
使い方:3ステップで確認
- 公式サイトにアクセスする Have I Been Pwned へアクセスします。
- メールアドレスを入力する 中央の検索窓に、普段使っているメールアドレスを入力し、右側の「pwned?」ボタンをクリックします。
- 結果を確認する 画面の色によって、あなたの状況がわかります。
緑色(Good news — no pwnage found!)が出た場合
現在のところ、HIBPが把握している漏洩データの中にあなたのメールアドレスは見つかりませんでした。今のセキュリティ設定を維持しましょう。
赤色(Oh no — pwned!)が出た場合
要注意です。 あなたのアドレスは、過去に少なくとも1回以上の情報漏洩に巻き込まれています。 画面を下にスクロールすると、「どのサービスから」「いつ」「何のデータ(パスワード、生体情報、住所など)」が漏れたのかが一覧で表示されます。
もし「赤色(pwned!)」が出たらどうすればいい?
「赤色」が出たからといって、すぐに実害が出るわけではありません。しかし、放置するのは非常に危険です。以下の手順で即座に対処しましょう。
- 漏洩元サイトのパスワードをすぐに変更する 一覧に表示されたサイトにまだログインできる場合は、今すぐ強力なパスワードに変更してください。
- 「使い回しているサイト」のパスワードもすべて変える ここが一番重要です!漏洩したパスワードと同じものを他のサイト(Amazon、楽天、SNS、銀行など)でも使っている場合、芋づる式に全て乗っ取られるリスクがあります。
- 二段階認証(2FA)を有効にする 今後、万が一パスワードが漏れてもログインされないよう、主要なサービスでは必ず二段階認証を設定しましょう。
Q. このサイトにアドレスを入力しても大丈夫? 「メールアドレスを入れること自体が不安」という方もいるかもしれませんが、このサイトは世界的に信頼されており、パスワードそのものを入力するわけではないため、安全に利用できます。

Q. このサイトにアドレスを入力しても大丈夫?

「メールアドレスを入れること自体が不安」という方もいるかもしれませんが、このサイトは世界的に信頼されており、パスワードそのものを入力するわけではないため、安全に利用できます。
まとめ
- 使い回しは「リスト型攻撃」の格好の餌食。
- 数字だけの10桁は一瞬で破られる。
- 「12文字以上のフレーズ」+「パスワードマネージャー」+「二段階認証(FIDO)」が最強。
せっかくの便利なネット生活が台無しにならないよう、今日から一つずつ、重要なサイトのパスワードを見直してみませんか?


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