「セキュリティ対策が重要なのは分かっている。でも、どこまでやれば十分なのか分からない」
「人もお金も足りない中で、これ以上は手が回らない」
これは、多くの企業・団体が共通して抱えている“本音”ではないでしょうか。
実際、近年の調査結果から見えてきた課題は、最新技術の不足ではなく、組織構造そのものが生む“停滞”にあります。
本記事では、調査結果をもとに
- 組織が抱えるセキュリティ不安の正体
- なぜ対策が「点」で止まってしまうのか
- 現実的に不安を解消するための具体策
を、専門知識がなくても理解できる形で解説します。
引用元:https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/pdf/R6countermeasures.pdf
セキュリティ対策の問題は「技術」ではなく「構造」にある【結論】
3つの構造的問題
多くの組織のセキュリティ対策が進まない原因は、
①コスト・人材不足、②経営層の認識不足、③対策のゴールが見えない不安
という3つの構造的問題に集約されます。
理由
最新の攻撃は高度化していますが、被害の多くは
- パスワード管理の不備
- 教育不足
- 初動対応の遅れ
といった「基本動作の欠如」から発生しています。
つまり、技術以前に組織としての判断と運用が追いついていないのです。
組織が抱えるセキュリティ不安の全体像【一覧で整理】
| 大項目 | 具体的な問題点・不安 |
|---|---|
| 人的・組織的課題 | 専門人材が不足/兼務で対応できない/経営層の理解不足 |
| コスト・投資課題 | 費用対効果が不明確/製品が高額で、中小規模の組織では導入が難しい/直接利益を生まないため、予算取得の優先順位が低い |
| 技術・運用の不安 | 攻撃が巧妙化し、自社の対策がどこまで有効か見えない/パッチ不具合が怖い/利便性とセキュリティの両立(多要素認証の手間など)への反発 |
| 外部・環境課題 | サプライチェーン(取引先・子会社)の対策レベルの低さ/海外拠点・テレワーク管理の難しさ |
ポイント:「怖い」「分からない」「責任を取りたくない」という心理的要因
注目すべきは、「怖い」「分からない」「責任を取りたくない」という心理的要因が、すべての項目に共通している点です。
なぜ対策はいつも「途中」で止まるのか?【課題構造の可視化】
セキュリティ対策の停滞サイクル(図解イメージ)
【経営・投資の壁】 【現場・実務の壁】
経営層の意識不足 ───→ 専門人材の不在
(コストと認識) [予算不足] (兼務による疲弊)
↑ |
| | 対策の遅延
[効果が不明確] ↓
| 攻撃の高度化・巧妙化
+───────────────→(どこまでやるべきか不安)
結果
- 単一の対策だけ導入(アンチウイルスのみ等)
- 属人化した対応
- インシデント時に場当たり的な対応
という「点のセキュリティ」から抜け出せなくなります。
不安を現実的に解消するための3つのアプローチ
① 組織・人的課題への対策


結論:内製にこだわらないことが最短ルート
- 教育の強化と外部リソースの活用:社内に指導者がいない場合(51.6%)、外部セミナーの受講(49.5%)や公的機関(IPA、警察庁等)の教材を活用してリテラシーを底上げする。
- 経営層には「技術」ではなく事業リスクとして説明
- 情報漏えい時の信用失墜
- 取引停止・損害賠償リスク
セキュリティは「ITの話」ではなく「経営判断」


まずは、上位のお題から教育コンテンツの作成OR入手をすることがおすすめ。
更に、お題ごとに「上級・中級・初級」のレベル分けをして、初心者でも初級から勉強しやくすしてあげましょう。
② 技術・運用の不安への対策
結論:完璧を目指さない
優先順位に基づいた「身の丈」の対策:効果が高い基本対策は明確です。
- データのバックアップ
- ウイルス対策ソフトの導入
- 多要素認証の有効化
- パスワード管理の徹底
例えるなら、
「最新の防犯システムより、まず玄関の鍵を閉める」
これが最も費用対効果の高い対策です。
さらに、
- 事故対応マニュアルの整備(51.4%が実施)
- ログの長期保管(1年超を推奨)
により、「侵入されない」前提から「被害を最小化する」発想へ切り替えます。



他の企業が考えている優先順位がわかるね。
まずは、上位のものから自社が対策できているか確認しましょう。
③ 公的支援・ガイドラインの活用
結論:「ゴール」を他人に決めてもらう
- IPAや公的機関のガイドラインを参照
- 「最低限ここまでやればOK」という基準を設定
- JPCERT/CCや警察など、相談先を把握しておく
判断を一人で抱え込まないことが、不安解消の最大の近道です。
JPCERT:https://www.jpcert.or.jp
まとめ:最大の対策は「日常動作の徹底」
調査結果から明らかなのは、
被害を受けた組織ほど、事後に「基本対策」に戻っているという事実です。
- パスワードの再設定
- 教育の強化
- 運用ルールの見直し
セキュリティ対策に「終わり」はありません。
しかし、「不安が消えるライン」は設定できます。
まずは、
- できること
- 効果が高いこと
- 説明できること
から始めることが、最も現実的で持続可能な対策です。

①【令和6年版・警察庁調査の徹底考察】“不正アクセスの現実”──なぜ対策していても被害は減らないのか? | やさしいサイバーセキュリティ
②【令和6年版・警察庁調査の徹底考察】セキュリティ対策費用確保と経営層の理解不足について | やさしいサイバーセキュリティ
④【令和6年版・警察庁調査の徹底考察】「メール対策は“やっているつもり”が一番危ない|最新調査で見えた不正中継・なりすまし被害の盲点」 | やさしいサイバーセキュリティ
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