口座ブローカーと相対屋とは?詐欺のお金が現金になるまでの「出口」

お金の出口を追う / 国の調査書から

口座ブローカーと相対屋とは?詐欺のお金が現金になるまでの「出口」

だまし取られたお金はどこへ行くのか。国の資料で、その道筋をたどりました。

口座売買 相対屋 マネー・ローンダリング 暗号資産 闇バイト

先に結論

  1. 2025年の詐欺被害は3,257億円(特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の合計)。ネットバンキングの不正送金104億円の約31倍です。
  2. だまし取ったお金は、まず他人名義の口座に入ります。その口座を売り買いするのが「口座ブローカー」で、2025年10月には年間約1,000口座を仲介した疑いのグループが逮捕されました。
  3. 次の出口は暗号資産です。登録なしで暗号資産と現金を交換する「相対屋」が、取引を混ぜる「ミキシング」と組み合わさり、追跡を難しくしています。
  4. 口座の譲渡などの検挙は、2年で2,951件から4,321件に増えました。国の調査書は、実際に譲渡された口座の数は検挙件数を大きく上回るとみています。
  5. 私たちにできる一番の対策は「口座を売らない・貸さない」こと。売った人も検挙されます。出口をふさぐことが、詐欺そのものを減らすことにつながります。

詐欺のニュースを見るたびに、こんな疑問がわきませんか。「だまし取られたお金は、いったいどこへ消えるの?」「口座を凍結すれば取り返せるのでは?」「SNSで見かける『口座買います』って、本当にあるの?」。

詐欺の話は、たいてい「だます場面」に注目します。偽のメール、偽の電話、SNSの投資話。けれども犯人にとって、だますのは仕事の半分にすぎません。だまし取ったお金を、捕まらずに使えるお金に変える。この後半の仕事がなければ、詐欺は成り立たないのです。

この記事では、国家公安委員会の「犯罪収益移転危険度調査書」と警察庁の資料をもとに、詐欺のお金が現金になるまでの「出口」をたどります。

⚠ 注意:この記事の数字は年がそろっていません

被害額は警察庁の2025年(令和7年)の確定値、口座の譲渡やマネー・ローンダリングの検挙件数は「犯罪収益移転危険度調査書」(令和7年11月)に載っている令和4〜6年(2022〜2024年)の値です。また、検挙件数は警察が摘発できた数で、実際に起きている数ではありません。事件の紹介は警察庁の資料と報道によるもので、容疑者の氏名は載せていません。

CHAP1

第1章 / 全8章

泥棒より「買い取り役」が要る

昔から、泥棒の世界には「故買屋(こばいや)」がいました。盗んだ品物を買い取る人です。宝石や時計は、売れなければただの重い荷物で、持っているだけで足がつきます。泥棒が増えるのは、盗品を買い取ってくれる人がいるときです。

詐欺のお金も同じです。だまし取ったお金は、まず銀行口座の数字として届きます。そのままでは引き出した瞬間に防犯カメラに映り、口座の名義から足がつきます。数字を、追われない現金や資産に変える「買い取り役」が必要になるのです。

そして、その「数字」の量はとても大きくなっています。

2025年の被害件数被害額
特殊詐欺(オレオレ詐欺など)27,832件1,423.1億円
SNS型投資詐欺9,523件1,288.0億円
SNS型ロマンス詐欺5,645件546.4億円
詐欺の合計43,000件3,257.4億円
(比較)ネットバンキング不正送金―104.0億円
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」、警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」図表21。内訳の合計は四捨五入のため一致しないことがあります。

ネットバンキングの不正送金は、フィッシングでIDとパスワードを盗まれ、勝手に送金される被害です。ニュースではよく取り上げられますが、金額でみると詐欺の合計はその約31倍あります。

そして詐欺の被害金の多くは、被害者自身が振り込む形で犯人側の口座に入ります。2025年の資料では、こうなっていました。

2025年・振込型の被害件数被害額ネットバンキング経由の割合
特殊詐欺16,862件約820.7億円件数の約4割、金額の約6割
SNS型投資・ロマンス詐欺10,168件約1,270.9億円件数の約7割、金額の約8割
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」33ページ。

振り込まれたお金の行き先は、犯人の本名の口座ではありません。他人の名前の口座です。ここから「出口」の話が始まります。

あわせて読みたい

だます側が使う「道具」(盗まれたパスワードなど)がどう売り買いされているかは、パスキーが必要な理由|長いパスワードも数円で売られるダークウェブの実態で扱いました。この記事は、その反対側の「お金の出口」の話です。

第1章 おわり
CHAP2

第2章 / 全8章

お金の出口は4段階

令和7年の警察白書は、SNS型投資・ロマンス詐欺のお金の流れを、次のように整理しています。譲渡された口座や実態のない法人の口座を悪用し、ネットバンキングで口座から口座へ送金を繰り返し、暗号資産に交換する。そのうえで、警察が認知したときにはすでに被害の回復が難しく、金融機関の協力が欠かせないと指摘しています。

警察庁や国の調査書に出てくる事例を合わせると、出口は大きく4つの段階に分けられます。

段階やること担い手・道具この記事
①受け皿被害金を振り込ませる他人名義の口座を用意する口座ブローカー(道具屋)、闇バイトで口座を売る人第3章
②移し替えネットバンキングで口座から口座へ何度も送り、足取りを薄めるネットバンキング、法人口座第3章
③換金・隠匿暗号資産に替え、混ぜて、また現金に戻す暗号資産、ミキシング、相対屋第4章
④抜け道証券市場や法律の手続きを悪用してお金を動かす乗っ取った証券口座、偽の差押え第5章
出典:令和7年警察白書 特集(図表特-4)、国家公安委員会「犯罪収益移転危険度調査書」令和7年 概要版、警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」をもとに当サイトが整理。

大事なのは、どの段階にも「専門の業者」がいることです。だます役、口座を集める役、お金を動かす役、現金に替える役が分かれていて、それぞれが手数料や代金を受け取ります。警察庁はこうした人たちを、匿名・流動型犯罪グループ(いわゆるトクリュウ)の中核の下で動く「道具屋」「相対屋」といった違法なビジネスと呼んでいます。

分業になっているのは、捕まりにくくするためです。末端の1人が捕まっても、その人は自分の前後の相手しか知りません。そこで警察は、出口の業者を詐欺を支える「犯罪インフラ」とみて、摘発によって解体することを進めています。次の章から、その実例を見ていきます。

第2章 おわり
CHAP3

第3章 / 全8章

出口①:口座を売り買いする「口座ブローカー」

被害金を受け取る口座は、犯人の名義ではありません。お金に困った人や、闇バイトに応募した人から買い集めた口座です。これを集めて、詐欺グループに売るのが「口座ブローカー」です。警察は「道具屋」とも呼んでいます。

国内最大級とみられたグループ

2025年10月、愛知県警などの合同捜査本部が、口座ブローカーとみられるグループの7人を逮捕しました。警察庁の資料と報道を合わせると、次のような姿が見えてきます。

項目内容出典
きっかけサイバーパトロールで、SNS上の口座買い取り広告を見つけた警察庁
集めていたもの金融機関の口座、暗号資産のアカウント。闇バイトから、口座とひも付いたスマホをセットで仕入れていた警察庁・時事
規模年間約1,000口座を仲介、国内最大級とみられる。遅くとも3年前から活動時事
売り先複数の特殊詐欺グループ。海外を拠点とする詐欺グループにも提供警察庁・時事
連絡手段匿名性の高いSNS・通信アプリ警察庁・時事
容疑詐欺、犯罪収益移転防止法違反(なりすまし目的・有償での譲り渡し)警察庁
捜査北海道から沖縄まで11の道県警とサイバー特別捜査部の合同捜査。隠された暗号資産を追跡して中心人物を特定警察庁
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」44・90ページ、時事通信(2025年10月16日)。

「口座とスマホをセットで」という点が重要です。いまの口座はスマホのアプリで動かすので、口座だけ買っても使えません。名義人のスマホごと手に入れれば、ネットバンキングで自由にお金を動かせるからです。

口座は転売されていく

同じ月、愛知県警は別の仲介役の男を逮捕しました。報道によると、SNSで「小遣い稼ぎ」として口座売買を勧誘する投稿をきっかけに、まず勧誘役の男と、口座を譲り渡した名義人の女を摘発。押収したスマホを調べると、別の仲介役が買い取った口座を、国内最大級とされるグループなど複数のグループに転売していた疑いが浮かんだといいます。

つまり、1つの口座が名義人 → 勧誘役 → 仲介役 → 大口のブローカー → 詐欺グループと、何人もの手を渡っていく可能性があるということです。この事件でも、最初に摘発されたのは勧誘役と、口座を売った名義人でした。

検挙は2年で1.5倍に

犯罪収益移転防止法違反の検挙令和4年令和5年令和6年
預貯金通帳などの譲渡など2,951件3,230件4,321件
うち、業として行ったもの18件43件29件
譲渡などの勧誘・誘引10件12件12件
暗号資産の交換用情報の提供など46件89件90件
合計(その他を含む)3,066件3,424件4,513件
出典:国家公安委員会「犯罪収益移転危険度調査書」令和7年11月 概要版。「預貯金通帳などの譲渡など」と「業として行ったもの」は別の区分です。

口座の譲渡などの検挙は、令和4年の2,951件から令和6年の4,321件へ、約1.5倍になりました。業として売買していた業者の検挙は年に数十件で、大半は、業者ではない個人が口座を譲り渡したり譲り受けたりした事件です。

そして調査書は、こう書いています。「譲渡された口座数は検挙件数を大きく上回ることがうかがわれる」。4,321件は氷山の一角です。調査書は、口座を譲り渡す以外に、自分の口座に振り込まれたお金を指定された別の口座に送らせる手口があることも指摘しています。

第3章 おわり
CHAP4

第4章 / 全8章

出口②:暗号資産を現金に替える「相対屋」

口座から口座へ移したお金は、いずれ引き出すか、別の形に変えなければなりません。そこで使われるのが暗号資産です。警察庁は、暗号資産について次の点を挙げています。利用者の匿名性が高く、移転が一瞬で行われる。国によっては本人確認が義務づけられていない交換業者がある。移転の記録が暗号化され、追跡が難しい暗号資産もある。

この暗号資産の世界にも、2種類の「出口の業者」がいます。

名前何をするかなぜ追跡が難しくなるか
相対屋(あいたいや)国に登録しないまま、個人が業として暗号資産と現金を交換する登録された交換業者を通らないので、本人確認の記録が残らない
ミキシングサービスほかの人の暗号資産と混ぜ合わせてから送り出す送った側と受け取った側のアドレスのつながりが見えにくくなる
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」34ページの説明をもとに作成。

相対屋は、いわば「看板を出していない両替所」です。正規の暗号資産交換業者は、法律で本人確認や疑わしい取引の届出が義務づけられています。相対屋はその手続きを通さないので、犯罪で得た暗号資産でも、顔を合わせて現金に替えてしまえます。

広島で摘発された相対屋

2025年11月、広島県警とサイバー特別捜査部は、相対屋とみられる男ら2人を逮捕しました。警察庁の資料によると、事件の流れは次のとおりです。

時期内容
令和4年11月特殊詐欺の被害者からだまし取った犯罪収益を含む暗号資産を、現金化して隠した疑い
令和6年3月〜10月うち1人は、この詐欺以外の犯罪収益についても、暗号資産と現金の交換を続けていた(無登録での暗号資産交換業)
被害金の動き匿名性を高める「ミキシングサービス」を経由していた
捜査サイバー特別捜査部の分析で、容疑者名義のアカウントに被害金が流れていることを突き止め、他県の被害との関係も浮かび上がった
令和7年11月2人を組織犯罪処罰法違反などの疑い、うち1人を資金決済法違反の疑いでも逮捕
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」44・89ページ。

注目したいのは、ミキシングを通しても追跡できたという点です。被害金を混ぜて分からなくしたつもりでも、サイバー特別捜査部は最終的に容疑者名義のアカウントにたどり着きました。

もう1つ、追跡の壁が崩れた例があります。2024年(令和6年)10月、サイバー特別捜査部と9府県警は、クレジットカードの不正利用事件の首謀者とみられる男を逮捕しました。この事件では、犯罪収益が追跡がきわめて難しいとされる暗号資産「モネロ」に換えられていましたが、警察庁は、モネロの分析に成功して容疑者を検挙した初めての事案だとしています。

暗号資産は「消える」わけではない

暗号資産の取引は、ブロックチェーンという公開台帳にすべて記録されます。名前が書かれていないので「匿名」と言われますが、記録そのものは残ります。どこかで本人確認のある交換業者や、警察が把握しているアカウントに触れれば、そこから逆にたどれるのです。追跡の基本は暗号資産(仮想通貨)の送金を追跡する方法で解説しています。

第4章 おわり
CHAP5

第5章 / 全8章

出口③④:証券口座と「凍結口座の差押え」

口座と暗号資産のほかにも、お金を抜き取る抜け道が見つかっています。

出口③:乗っ取った証券口座で株価をつり上げる

2025年に急増した証券口座の乗っ取りでは、盗んだ口座の株を売り、その代金で特定の小型株を高値で買わせる手口が報じられました。犯人側は先にその株を持っていて、つり上がったところで売り抜けた疑いがあります。被害者の口座には、値下がりした株だけが残ります。お金を自分の口座に送らなくても、市場を通して利益を抜き取れるわけです。手口と各社の補償の違いは証券11社の比較表!パスキー対応と補償を全部調べた2026年版で詳しく扱っています。

出口④:凍結された口座を「差し押さえる」

国の調査書には、もっと意外な手口も載っています。

順番起きたこと
1警察が特殊詐欺などの被害を知り、口座を管理する金融機関に口座の凍結を依頼する
2その凍結口座に対して、うその内容の支払督促や公正証書をもとに、裁判所へ債権の差押えを申し立てる
3強制執行という正式な法律の手続きで、凍結されていたお金を引き出す
4差押えを申し立てた法人の代表者らが、詐欺と公正証書原本不実記載・同行使の罪で起訴された
出典:国家公安委員会「犯罪収益移転危険度調査書」令和7年11月 概要版。

凍結は、被害金を取り返すための最後の砦です。その砦を、裁判所の手続きという「正面玄関」から開けようとした事例です。出口をふさげばふさぐほど、犯人側は新しい出口を探します。出口との戦いは、いたちごっこだということがよく分かります。

第5章 おわり
CHAP6

第6章 / 全8章

守る側はどう動いているか

出口をふさぐ側の動きも、数字で見ておきます。中心になるのは、銀行などが「おかしい」と感じた取引を国に知らせる「疑わしい取引の届出」です。

項目令和4年令和5年令和6年
疑わしい取引の届出(全体)583,317件707,929件849,861件
うち暗号資産交換業者16,550件19,344件22,667件
うち資金移動業者20,271件29,232件39,122件
捜査などに活用された届出情報373,849件496,093件629,135件
マネー・ローンダリング事犯の検挙753件955件1,315件
うち悪用された取引が「国内の振込など」266件311件551件
出典:国家公安委員会「犯罪収益移転危険度調査書」令和7年11月 概要版。「国内の振込など」は調査書の「内国為替取引」。

マネー・ローンダリング事犯の検挙は2年で約1.7倍、悪用された取引の中でも国内の振込などは約2.1倍に増えました。調査書は、架空や他人名義の口座が主要な犯罪インフラになっていると書いています。

国と金融機関は、ここ1〜2年でさらに次のような手を打っています。

時期対策
令和6年8月金融庁と警察庁が、法人口座を含む預貯金口座の不正利用防止と、警察への情報提供の強化を業界団体に要請
令和6年12月在留期間が切れた外国人名義の口座は、本人確認ができるまで出金や振込を制限するよう通知(帰国する人から譲り受けた口座の悪用を防ぐため)
令和7年4月政府の「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」。ネットバンキングの初期利用限度額の適切な設定や、金融機関どうしで不正口座の情報を共有して速やかに凍結する枠組みの検討など
令和7年6月犯罪収益移転防止法の規則を改正し、非対面の本人確認のうち、偽造書類でなりすましやすい方法を廃止(令和9年4月施行予定)
令和7年6月末44の都道府県警察が515の金融機関と連携を開始
令和7年9月振込の名義を変えて暗号資産交換業者や資金移動業者の口座へ送金させる手口について、送金停止などを要請
令和7年9月末警察庁が金融機関28行と「情報連携協定書」を締結
令和7年詐欺に使われたSNSアカウントの利用停止などを促すため、SNS事業者に1万8,500件を超える情報提供
出典:国家公安委員会「犯罪収益移転危険度調査書」令和7年11月 概要版、令和7年警察白書 特集、警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」65ページ。

流れをまとめると、「口座を作らせない」「口座を動かさせない」「動いたらすぐ止める」の3方向から出口をふさごうとしています。ネットバンキングの限度額が非対面で簡単に引き上げられ、連日の振込で被害が高額になっている、という指摘への対応も含まれています。

第6章 おわり
CHAP7

第7章 / 全8章

「口座を貸して」と言われたら

ここまでの話は、遠い世界のことではありません。口座ブローカーの仕入れ先は、SNSで「小遣い稼ぎ」に応じたふつうの人だからです。そして、だまされる側として出口に関わることもあります。自分や家族がどこに当てはまるか、確かめてみてください。

あなたはどのタイプ?

こんな人起きうることまず知っておくこと
お金に困っていて、SNSで「口座を買い取ります」「口座を貸すだけ」という投稿を見た口座とスマホを渡すと、詐欺の受け皿にされる口座を売る・貸すのは犯罪。売った名義人も摘発されている
引っ越しや帰国で、使わなくなる口座がある「どうせ使わないなら」と頼まれ、譲り渡してしまう使わない口座は自分で解約する。人に渡さない
副業として「自分の口座に入ったお金を別の口座へ送るだけ」と頼まれた被害金の移し替え役にされる口座を渡さなくても、送金を代行すれば犯罪に加担することになる
家族が投資話や恋愛相手の話をしているネットバンキングで限度額を上げ、何度も振り込んでしまう振込先が個人名義や知らない法人なら、いったん止めて相談する
🚨 重要:口座を売る・貸すのは犯罪です

他人に使わせる目的で預貯金通帳やキャッシュカードを譲り渡すことは、犯罪収益移転防止法で禁じられています。令和6年だけで、預貯金通帳などの譲渡などの検挙は4,321件ありました。「口座を貸すだけ」「名義を使わせるだけ」という誘いは、詐欺の被害金を受け取る口座を集めるための手口です。お金を受け取っていなくても、渡した口座が被害金の受け皿になります。誘われたら応じず、すでに渡してしまった場合は、口座のある金融機関と警察(相談専用電話 #9110)にすぐ相談してください。

チェックリスト

  • 口座、キャッシュカード、通帳、銀行アプリの入ったスマホを人に渡したことがない
  • 使わなくなった口座は、自分で解約している(人に譲らない)
  • ネットバンキングの振込限度額を、ふだん使う範囲まで下げている
  • 投資や恋愛の相手から言われた個人名義の口座に振り込もうとしたら、いったん止める
  • 「暗号資産で払って」「この口座を経由して」と言われたら、詐欺を疑う
  • 家族と、SNSで見た「口座買い取り」「簡単な送金バイト」の話をしたことがある

あわせて読みたい

SNS型投資詐欺の被害は、50代・60代に多く出ています。年代ごとの手口の違いは特殊詐欺は高齢者だけではない|50代を狙うSNS詐欺の実態、手口ごとの守り方は特殊詐欺対策|年齢・性別で分ける13手口の守り方にまとめています。

第7章 おわり
CHAP8

第8章 / 全8章

この資料の限界と、やること

この記事で使った資料から、分からないことも書いておきます。

分からないこと理由
実際に売り買いされている口座の数公表されているのは検挙件数だけ。調査書自身が「譲渡された口座数は検挙件数を大きく上回る」としている
口座1つがいくらで売られているか公的な統計が見つからない。報道や個別の事件で語られる金額は、事件ごとにばらつく
相対屋が扱った金額や手数料報道ではいくつかの数字が伝えられているが、当サイトで原文を確認できなかったため、この記事では扱わない
被害金のうち、どれだけが出口を通って現金化されたか被害額と検挙件数は別々に集計されていて、つなげて計算できない
年の違い被害額は2025年、検挙件数や届出件数は2022〜2024年。同じ年で比べてはいない

それでも、はっきり言えることがあります。詐欺は「だます人」だけでは完結しないということです。口座を売る人、口座を集める人、お金を動かす人、現金に替える人。そのどこかが欠ければ、被害金は犯人の手に届きません。そして、その仕組みの入口には、SNSの「小遣い稼ぎ」に応じたふつうの人がいます。

✅ まとめ:出口をふさぐ3つのこと

1. 今日:口座、カード、銀行アプリの入ったスマホを、だれにも渡さないと決める。使わない口座は自分で解約する。
2. 今週:ネットバンキングの振込限度額を、ふだん使う範囲まで下げる。
3. 今月:家族、特に学生や若い家族と「口座を売る・貸すのは犯罪」という話をし、高齢の家族とは「個人名義の口座に振り込む前に相談する」約束をする。
出口が1つふさがるたびに、詐欺はやりにくくなります。

第8章 おわり
FAQQ

よくある質問

よくある質問

Q. 口座ブローカー(道具屋)とは何ですか?

詐欺グループが被害金を受け取るための他人名義の口座を集めて、売る業者です。SNSで口座の売り手や仲介役を募り、口座や暗号資産のアカウントを調達して、複数の詐欺グループに販売していた例が摘発されています。警察庁は「道具屋」とも呼んでいます。

Q. 相対屋(あいたいや)とは何ですか?

国に登録しないまま、個人が業として暗号資産と現金を交換する人のことです。正規の交換業者のような本人確認や届出の手続きを通らないため、犯罪で得た暗号資産の現金化に悪用されています。無登録での暗号資産交換業は資金決済法違反になります。

Q. 口座を貸すだけでも罪になりますか?

他人に使わせる目的で通帳やキャッシュカードなどを譲り渡したり貸したりすることは、犯罪収益移転防止法で禁じられています。お金を受け取ったかどうかに関係なく、渡した口座が詐欺の受け皿になります。令和6年の預貯金通帳などの譲渡などの検挙は4,321件でした。

Q. 口座が凍結されれば、被害金は戻りますか?

凍結された口座に残っているお金は、振り込め詐欺救済法の手続きで被害者に分配される仕組みがあります。ただし、犯人側は口座から口座へすばやく送金を繰り返すため、凍結したときには残高が少ないことが多く、警察白書も、警察が認知したときにはすでに被害の回復が難しいと指摘しています。気づいたらすぐに、振込先の金融機関と警察に連絡することが大切です。

Q. 暗号資産で送ったお金は、もう追跡できませんか?

取引の記録はブロックチェーンに残るため、追跡できる場合があります。警察庁のサイバー特別捜査部は、ミキシングを経由した被害金を容疑者のアカウントまで追跡した例や、追跡が難しいとされるモネロの分析に成功した例を公表しています。ただし、個人で取り返すのは難しいので、「追跡して取り返します」という業者には注意してください。

出典・データ

  • 国家公安委員会「犯罪収益移転危険度調査書」令和7年11月 概要版(口座の譲渡などの検挙、マネー・ローンダリング事犯の検挙、疑わしい取引の届出、凍結口座の差押え事例、金融機関との連携、各種要請) https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/risk/gaiyou2025.pdf
  • 警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(ネットバンキング不正送金の被害額、振込型被害のネットバンキング利用割合、道具屋・相対屋の検挙事例、モネロの追跡事例、SNS事業者への情報提供) https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/
  • 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」 https://www.npa.go.jp/
  • 警察庁「令和7年警察白書」特集「SNSを取り巻く犯罪と警察の取組」(SNS型投資・ロマンス詐欺の被害金の流れ、総合対策2.0) https://www.npa.go.jp/hakusyo/
  • 時事通信「口座ブローカー中枢7人逮捕 特殊詐欺団に仲介疑い―年1000件『国内最大』・愛知県警など」(2025年10月16日)、「口座売買仲介か、36歳男逮捕 愛知県警」(2025年10月24日) https://www.jiji.com/

コメント