知らない番号から電話が来た
「+」で始まる着信の正体
2025年に特殊詐欺で使われた電話番号は123,138件。そのうち92,996件が国際電話番号でした。4件に3件です。この記事では、なぜそうなったのかと、固定電話・スマホそれぞれで今日できる止め方を具体的に書きます。
この記事の内容
スマホに知らない番号から着信がある。画面には +1 や +44、あるいは +81 から始まる、見慣れない並びの数字。折り返すべきか、無視していいのか。検索するとしたら「知らない番号 電話」「+から始まる電話番号」あたりでしょうか。
この記事の答えは最初に書いてしまいます。切っていいです。そして、そもそも鳴らないようにできます。
ただ、それだけだと「本当に大丈夫なのか」が残ると思います。なので、警察庁が公表している確定値の生データを実際に開いて数え直し、いま何が起きているのかを数字で確かめた上で、回線ごとの具体的な止め方まで書きました。
すでに電話の指示でお金を振り込んだ/アプリを入れた/画面を操作させられた場合は、確かめるより先に止める行動が必要です。やられたときの最初の30分|サイバー被害インシデント初動 早見表 を開いてください。いま現在お金が動かされている・脅されているなど被害が進行中なら、ためらわず110番してください。
結論:知らない番号は、切っていい
まず、判断の負担を下げておきます。知らない番号からの電話に出る義務も、折り返す義務もありません。
用件が本当にあるなら、相手はもう一度かけてくるか、留守番電話にメッセージを残すか、書面を送ってきます。本物の連絡は、必ず別の形でもう一度届きます。逆に、一度きりの着信で、留守電にも何も残らないなら、それは用件が無かったということです。
「失礼かもしれない」という気持ちが、いちばんの弱点になります
詐欺の電話は、まじめな人ほど切れないように作られています。名乗り、用件を告げ、切ろうとすると引き止める。この構造に付き合う限り、こちらが不利です。電話は途中で切ってよいものだ、と先に決めておく。これは技術ではなく、事前の心づもりの問題です。
今日やっておく3つ(回線ごとに違います)
止め方は、使っている回線によって変わります。自分の状況に当てはまるものだけ見てください。詳しい手順は第4章・第5章に書きます。
| 回線 | いちばん効く対策 | 費用 | 詳細 |
|---|---|---|---|
| 固定電話・ひかり電話 | 国際電話の利用休止を申し込む。国際電話番号からの着信そのものが届かなくなります。 | 無料 | 第4章へ |
| Androidスマホ | 警察庁推奨アプリを入れる。国際電話番号を一括でブロックできます。 | 無料 | 第5章へ |
| iPhone | 「不明な発信者を消音」をオンにする。iPhoneは国際電話の一括ブロックができません(理由は第5章)。 | 無料 | 第5章へ |
| 家族の固定電話 | 利用休止に加えて留守番電話を常時オンにする運用へ。 | 無料 | 第7章へ |
この記事は 「これ、詐欺かも?」と思ったら|メール・SMS・電話・請求を30秒でふりわけ の「電話」の項目を、1本の記事として深く掘り下げたものです。メールやSMSが気になっている方は、そちらから該当の章へどうぞ。
数え直し:詐欺の電話番号12万件の内訳
「国際電話は危ない」とだけ言われても、どれくらい危ないのかが分かりません。そこで、警察庁が2026年5月22日に公表した「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」の資料を開いて、掲載されている生の数字を自分で集計し直しました。
まず、詐欺の入口はメールではなく電話
意外に思われるかもしれませんが、特殊詐欺の入口の約8割は電話です。同資料の「当初接触ツール」(犯行の最初に使われた手段)の内訳はこうなっています。
| 最初に使われた手段 | 割合 | 前年からの変化 |
|---|---|---|
| 電話 | 78.8% | -0.2ポイント |
| メール・メッセージ(SMS・SNS・電子メール) | 13.8% | +3.8ポイント |
| ポップアップ表示 | 4.6% | -4.2ポイント |
| はがき・封書等 | 2.7% | +0.5ポイント |
フィッシングメールの話は世の中にあふれていますが、金銭被害という結果から逆算すると、いちばんの入口は今も電話だということです。だからこそ、電話を止める対策は効きます。
その電話番号は、どこから来ているのか
ここが本題です。同じ資料に、特殊詐欺に実際に使われた電話番号を種別ごとに数えた表が載っています。令和6年(2024年)と令和7年(2025年)を並べ、割合は掲載された件数から計算しました。
| 番号の種類 | 令和6年 | 構成比 | 令和7年 | 構成比 | 増減 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国際番号 | 47,596 | 57.7% | 92,996 | 75.5% | 1.95倍 |
| 携帯番号 | 5,375 | 6.5% | 14,593 | 11.9% | 2.71倍 |
| 固定番号 | 12,835 | 15.6% | 7,547 | 6.1% | 0.59倍 |
| 050番号 | 11,033 | 13.4% | 6,489 | 5.3% | 0.59倍 |
| 判別不明番号 | 5,701 | 6.9% | 1,513 | 1.2% | 0.27倍 |
| 合計 | 82,540 | 100% | 123,138 | 100% | 1.49倍 |
件数は警察庁資料の掲載値。構成比と倍率は当サイトで計算(合計値が資料の記載と一致することを確認済み)。未遂・相談事案を含み、同一番号は月ごとに1件として計上されています。
読み取れること
| 気づいたこと | 意味するところ |
|---|---|
| ①「+」で始まる番号が4件に3件になった | 57.7%から75.5%へ。いま詐欺の電話番号を1つ拾ったら、4回に3回は国際電話番号ということです。裏を返せば、国際電話を止めるだけで理屈の上では大部分が届かなくなります。ここまで偏っている対策対象は、そうそうありません。 |
| ② 固定番号と050番号は、どちらも4割減った | 国内の番号は使われなくなってきています。対策が効いて、犯行側が海外へ移ったと読むのが自然です。つまりこの数字は、悪化だけを示しているのではなく国内側の締め付けが効いた結果でもある。 |
| ③ ただし携帯番号は2.71倍に増えた | ここは見落とせません。「+から始まらない、普通の090や080からの着信」も倍以上に増えています。「国際電話さえ止めれば完璧」ではない理由がこれです。第5章で、番号の見た目に頼らない対策も併せて書きます。 |
| ④ 番号の総数そのものが1.49倍 | 8万件から12万件へ。使い捨てられる番号の量が増えている=個別の番号を着信拒否リストに登録していく方式では追いつかない、ということでもあります。 |
資料の注記に、「未使用の国番号が用いられた場合、令和6年12月以前は判別不明番号として計上していたが、令和7年1月以降は国際番号として計上」とあります。つまり国際番号の増加には、実際の増加だけでなく数え方の変更が混ざっています。
どれくらい影響するかを見ておきます。判別不明番号は5,701件から1,513件へ4,188件減りました。仮にこの減少分がすべて国際番号へ移ったとしても、国際番号の増加45,400件のうち9.2%にとどまります。残りの約4万件は数え方では説明がつきません。増加の傾向そのものは本物と考えてよい、というのがここでの結論です。
被害の規模も、あわせて見ておく
同じ資料から、令和7年の特殊詐欺全体の状況です。
| 項目 | 令和7年 | 補足 |
|---|---|---|
| 認知件数 | 27,832件 | 前年比 +32.3%。過去最悪。 |
| 被害額 | 1,423.1億円 | 前年比 +98.0%。1年でほぼ倍。1日あたり3.9億円。 |
| 既遂1件あたりの被害額 | 523.6万円 | 前年比 +173.3万円。 |
| ニセ警察詐欺(警察官等をかたる手口) | 11,014件 | 被害額1,005.0億円。認知件数全体の39.6%。既遂1件あたり922.5万円。 |
| 予兆電話(詐欺が疑われる下調べの電話) | 331,653件 | 前年比 +71.4%。1か月あたり27,638件。 |
いま最も多いのは「警察官を名乗る電話」です
被害額が1年でほぼ倍増した主な要因として、資料はニセ警察詐欺を挙げています。オレオレ詐欺14,489件のうち10,859件(74.9%)がこの手口で、1件あたりの被害額は922.5万円と、それ以外の特殊詐欺(256.7万円)の3.6倍です。そして資料は「高齢者だけでなく、20代、30代を含む幅広い年代の被害が増加」と明記しています。自分は若いから関係ない、という前提はもう成り立ちません。
かかってくる電話の5つの型
知らない番号からの着信は、いくつかの型に分かれます。型が分かれば、出てしまった後でも判断できます。
| 型 | どんな電話か | 正しい反応 |
|---|---|---|
| ① ニセ警察 いま最多 |
警察官や検事を名乗り、「あなたの口座が犯罪に使われている」「捜査に協力してほしい」と切り出す。SNSのビデオ通話に誘導し、制服姿や偽の書類を見せることもあります。 | 切る。本物の警察が、電話やSNSで現金・口座・暗証番号を要求することはありません。心配なら自分で最寄りの警察署の番号を調べてかけ直す。 |
| ② 自動音声ガイダンス | 機械の声で「未払いの料金があります」「1番を押してください」。押すと人間のオペレーターにつながります。 | 何も押さずに切る。押すこと自体が「反応する番号」という情報になります。 |
| ③ ワン切り | 1〜2回鳴って切れる。折り返させることが目的です。 | 折り返さない。用件があるなら相手はまたかけてきます。 |
| ④「+81」から始まる着信 | +81は日本の国番号です。国内の相手なら通常この形では表示されません。海外から日本の番号を装ってかけていることを示します。 | 出ない。「日本の番号だから安心」は逆で、むしろ不自然な状態です。 |
| ⑤ 画面に出た番号への電話 | パソコンやスマホに「ウイルスに感染しました」と警告が出て、電話番号が表示される。自分からかけさせる型です。 | かけない。警告そのものが偽物です。→ サポート詐欺の記事へ |
声は、もう本人確認の材料になりません
もうひとつ、前提として押さえておきたいことがあります。合成音声で声をまねる手口が現実に確認されています。家族の声に聞こえても、それだけでは本人だと判断できません。
対策はシンプルで、いったん切って、自分の電話帳に登録されている番号にかけ直すことです。相手が本物なら、かけ直しても本人が出ます。偽物なら、それで終わります。「合言葉を決めておく」という対策もよく紹介されますが、とっさの場面では思い出せないことが多いので、かけ直しのほうが確実です。
仕組みの詳細は AIボイスフィッシング・ディープフェイク詐欺とは?、実際の事例は AI音声詐欺(ボイスクローン)とは? にまとめています。
電話で断る練習ができます
頭で分かっていても、実際に声をかけられると流されます。ボイスフィッシング見破り訓練 は、会話の流れの中で危険信号に気づく練習ができる無料のシミュレーターです。5分ほどで終わるので、この記事を読み終えたら一度試してみてください。「切っていい」を体で覚えるのがいちばん効きます。
固定電話を守る:国際電話の利用休止
固定電話を使っている家庭なら、これが最も効果の大きい対策です。第2章で見たとおり詐欺の電話番号の75.5%が国際電話番号なので、国際電話そのものを止めてしまえば、大部分が家に届かなくなります。
手続きは「国際電話不取扱受付センター」という専用の窓口で行います。警察庁も特殊詐欺対策として案内している正規の仕組みで、費用はかかりません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 窓口 | 国際電話不取扱受付センター |
| 申込方法 | ①Web https://www.kokusai-teishi.com/ ②電話 0120-210-364(オペレーター対応は平日9時〜17時、自動音声案内は24時間) ③郵送 のいずれか。最寄りの警察署でも手続きの案内を受けられます。 |
| 費用 | 無料。ただし紙の申込書を郵送する場合の郵送料は自己負担。 |
| 申込に必要なもの | 利用休止したい電話番号/申込者名/住所/連絡先の電話番号 |
| 止まるもの | 着信休止を選ぶと、すべての国際電話の着信が止まります。発信の休止はKDDI・ソフトバンクが対応しており、それ以外の事業者は各社への問い合わせが必要です。 |
| 反映までの日数 | Web・電話での申込で1週間程度、紙の申込書の場合は数週間かかることがあります。今日申し込んで今日止まるわけではありません。 |
| 元に戻せるか | 戻せます。再開は電話申込のみで、こちらも無料。対象の電話から 0120-210-364 へ連絡します。 |
自分の回線が対象かどうか(ここが分かりにくい)
調べていて、資料によって書き方が違って迷う点があったので整理しておきます。警察庁の資料は「固定電話・ひかり電話を対象」と書いており、センター側の案内は「03・06などで始まる固定電話が対象、050のIP電話と携帯電話は対象外」としています。一見食い違って見えますが、実際は同じことを指しています。
| 回線 | 番号の例 | 対象か |
|---|---|---|
| 加入電話(アナログ・ISDN) | 03-xxxx-xxxx / 06-xxxx-xxxx | 対象 |
| ひかり電話などの光回線の固定電話 | 03-xxxx-xxxx など市外局番から始まる番号 | 対象 |
| 050から始まるIP電話 | 050-xxxx-xxxx | 対象外 |
| 携帯電話・スマホ | 070 / 080 / 090 | 対象外(→第5章) |
判断の目安は「番号が市外局番から始まるかどうか」
ひかり電話でも、番号が 03 や 045 のように市外局番から始まっていれば対象です。逆に、同じ光回線でも 050 から始まる番号なら対象外になります。契約の名前ではなく、実際に使っている番号の頭を見て判断してください。分からなければ、申込時に番号を伝えれば窓口側で判定してもらえます。
スマホを守る:iPhoneとAndroidで違う
スマホには、固定電話のような「国際電話をまとめて止める」公的な仕組みがありません。代わりに警察庁はアプリによる対策を案内しています。ただしここに、あまり知られていない重要な差があります。
警察庁が2025年12月に定めた「特殊詐欺対策アプリに係る警察庁推奨制度」の基準には、国際電話番号への対応がOSごとに別々に書かれています。Androidは「すべての国際電話番号に対して一括して発着信措置を実施」、iOSは「特定の国際電話番号に対して発着信措置を実施」。
つまりこれはアプリの優劣ではなく、iOS側の仕様上の制約です。「アプリを入れたから国際電話は全部止まる」と思い込むと危険なので、iPhoneの方は次に書く別の方法を併用してください。
警察庁推奨アプリ
一定の基準を満たしたアプリを警察庁が認定して公表する制度があります。ダウンロード・利用ともに無料であることが認定の条件です。
| アプリ名 | 提供元 | 対応OS | 費用 |
|---|---|---|---|
| 詐欺対策 by NTTタウンページ | NTTタウンページ | iOS / Android | 無料 |
| 詐欺バスター Lite | トレンドマイクロ | iOS / Android | 無料 |
2026年8月時点で 警察庁のページ に掲載されているもの。推奨アプリは追加・変更されることがあるため、最新の一覧は公式ページで確認してください。
iPhoneでいちばん効くのは「不明な発信者を消音」
iPhoneには、電話帳に登録していない相手からの着信音を鳴らさない機能が標準で入っています。設定アプリの「電話」の中にある「不明な発信者を消音」です(iOSのバージョンによって場所の表記が少し変わります)。
オンにすると、知らない番号からの着信は画面に通知が残り、留守番電話に回るだけになります。呼び出し音が鳴らないので、そもそも出るかどうかを迷う場面が消えます。国際電話かどうかに関係なく効くのが利点で、第2章で見た「携帯番号からの詐欺が2.71倍に増えた」という問題にも対応できます。
この設定の副作用も書いておきます
電話帳に無い相手からの電話は、宅配便の再配達、病院や役所からの連絡、面接や仕事の初回連絡も鳴らなくなります。着信履歴と留守番電話には残るので、1日1回、着信履歴を見る習慣とセットで運用してください。それができないなら、この設定は向きません。止める強さと不便さは必ず引き換えなので、自分の生活に合うほうを選ぶのが正解です。
携帯会社のサービス
各社が着信拒否のサービスを用意していますが、名称も条件も会社ごとに違います。公式ページで確認してください。
| 会社 | サービス | できること |
|---|---|---|
| ドコモ | 迷惑電話ストップサービス | 登録した番号からの着信を拒否。月額使用料は無料、登録できるのは最大30件。番号を1つずつ登録していく方式です。 |
| au | 迷惑メッセージ・電話ブロック 等 | 対象機種のアプリで海外からの着信をブロックできると案内されています。提供条件は公式ページで確認してください。 |
| その他の会社 | 各社の着信拒否サービス | 同様の仕組みがありますが、国際電話の一括拒否に対応しているかは会社によって異なります。契約中の会社の公式サポートで「国際電話 着信拒否」を確認してください。 |
「番号を1つずつ登録して拒否する」方式には限界があります
第2章の数字を思い出してください。2025年に詐欺で使われた電話番号は123,138件。1件ずつ登録していく方式では、30件登録できたところで追いつきません。個別の番号を拒否する対策は「同じ相手が繰り返しかけてくる」場合には有効ですが、詐欺対策の主軸にはならないと考えてください。主軸は、固定電話なら利用休止、Androidなら一括ブロック、iPhoneなら不明な発信者の消音です。
出てしまった・折り返してしまったら
もう出てしまった、もう折り返した、という場合の話をします。結論から言うと、多くのケースは大丈夫です。ただし、どこから先が「大丈夫ではない」のかを知っておく必要があります。
| やってしまったこと | どれくらい問題か | やること |
|---|---|---|
| 出たが、すぐ切った | 問題ありません。出ただけで情報は渡っていません。 | その番号を着信拒否に登録して終わり。 |
| 折り返した/ワン切りにかけ直した | 通話料の注意が必要。相手が海外だと通話料が高くなる場合があります。 | 通話時間を控え、翌月の通話明細を確認する。身に覚えのない高額請求があれば携帯会社へ相談。 |
| 自動音声で「1番」を押した | 押しただけなら被害はありません。ただし「反応した番号」として今後増える可能性があります。 | 着信拒否に登録。以降の着信が増えるようなら第5章の対策へ。 |
| 名前・年齢・家族構成・資産の話をした | 注意が必要。これは「予兆電話」=下調べの可能性があります。令和7年は331,653件ありました。 | 家族に共有する。その後の不審な電話に備える。警察相談専用電話 #9110 に相談してよい段階です。 |
| 言われるままにアプリを入れた/画面を見せた | 危険。遠隔操作につながる可能性があります。 | すぐアプリを削除し、最初の30分 の該当ケースへ。ネットバンキングを使っているなら金融機関にも連絡。 |
| お金を振り込んだ/カード番号を伝えた | 被害が発生しています | 110番、そして金融機関・カード会社へ即連絡。早いほど止められる可能性が上がります。 |
「予兆電話」という言葉を覚えておいてください
いきなり金銭を要求せず、住所・氏名・資産・利用している銀行などを探るだけの電話があります。警察はこれを予兆電話と呼んで集計していて、令和7年は331,653件、1か月あたり約27,600件にのぼりました。前年から71.4%増えています。
つまり、「お金の話が出なかったから詐欺じゃなかった」とは限りません。下調べの電話に答えてしまったら、それは本番の前段階かもしれない、と考えて家族と共有しておくのが安全です。
離れて暮らす家族の電話を守る
この記事を、自分のためではなく親のために読んでいる人も多いと思います。その場合にやるべきことは、実はこの記事の中でいちばんはっきりしています。
| 優先度 | やること | なぜ効くのか |
|---|---|---|
| 1番目 | 実家の固定電話で、国際電話の利用休止を申し込む(第4章)。帰省したときに、本人と一緒に0120-210-364へ電話するのが確実です。 | 本人の判断力に頼らない対策だからです。覚えてもらう必要も、気をつけてもらう必要もありません。これが最大の利点です。 |
| 2番目 | 留守番電話を常時オンにする。「電話は一度留守電で受けて、知っている人だけかけ直す」という運用に変える。 | 詐欺の電話は会話を続けさせることで成立します。留守電を挟むだけで、その入口が閉じます。録音が残るので後から相談もしやすくなります。 |
| 3番目 | 「お金の話が出たら、いったん切って私に電話して」の一言だけを伝える。手口は教えない。 | 手口を10個覚えてもらうより、相談先を1つ決めておくほうが確実です。詐欺は「一人で決めさせる」ことで成立するので、相談する相手が決まっているだけで崩れます。 |
| 4番目 | 買い替えの時期なら防犯機能付き電話(自動で警告アナウンスを流す・通話を録音する機種)を検討する。 | 警察庁も対策として案内しています。1〜3が済んでいれば急ぎではありません。 |
「うちの親は大丈夫」は、もう根拠になりません
警察庁の資料は、いま最多のニセ警察詐欺について「高齢者だけでなく、20代、30代を含む幅広い年代の被害が増加」と明記し、その理由を「犯人側と接触してしまえば、誰もがだまされるおそれがある」と書いています。しっかりしているかどうかの問題ではなく、接触してしまうかどうかの問題だという整理です。だから対策も「気をつける」ではなく「そもそも鳴らないようにする」になります。
一緒に遊びながら気づける教材として 【間違い探し】危険を探せ!高齢者編 があります。家庭全体のリスクを見渡したい方は 個人宅を守るための最強のサイバーセキュリティガイド と 家族のサイバーリスク診断 をどうぞ。
読んで終わりにすると、次に着信が鳴ったときには忘れています。今日のうちに、自分の回線に合う対策を1つだけ済ませてください。
固定電話がある方→ 0120-210-364 に電話するか kokusai-teishi.com から申し込む(無料・反映まで1週間程度)。
Androidの方→ 警察庁推奨アプリを入れて、国際電話の一括ブロックをオンにする。
iPhoneの方→ 設定アプリの「電話」から「不明な発信者を消音」をオンにする。
実家が気になる方→ 「お金の話が出たら、いったん切って私に電話して」とメッセージを送る。所要10秒です。
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- ボイスフィッシング見破り訓練 — 電話で断る練習ができる無料シミュレーター。
- SNS投資詐欺・ロマンス詐欺の正体 — 電話ではなくSNSから始まる型はこちら。
迷いやすいところ
なぜ「+81」から始まるのですか。81は日本の国番号では?
そのとおり、+81は日本の国番号です。だからこそ不自然なのです。日本国内の相手から国内の電話にかかってきた場合、番号は通常「03-」「090-」のように表示され、+81の形にはなりません。+81で表示されるのは、海外の回線を経由して日本の番号を装ってかけているときです。「日本の番号だから安心」ではなく、むしろ逆の合図だと考えてください。
折り返しても大丈夫ですか。相手が誰か確かめたいのですが。
折り返さないでください。理由は2つあります。1つは通話料で、相手が海外の場合に高額になることがあります。もう1つはより重要で、折り返した時点で「その番号は実在し、人が反応する」と相手に伝わります。以降、着信が増える可能性があります。確かめたいなら、折り返すのではなく、着信履歴の番号をそのまま検索するだけにとどめてください。
電話番号を検索サイトで調べるのは有効ですか?
ある程度は有効です。すでに他の人が「詐欺だった」と報告している番号なら、検索で分かることがあります。ただし限界もあります。第2章で見たとおり、2025年に使われた番号は123,138件あり、しかも次々と使い捨てられています。検索して何も出てこないことは「安全である証拠」にはなりません。「出てきたら危険、出てこなくても安心ではない」という非対称な使い方をしてください。また、番号検索サイト自体に広告や誘導が多いものもあるので、そこから何かをインストールしたり登録したりはしないでください。
国際電話を止めたら、海外に住む家族と話せなくなりませんか?
止まるのは電話回線としての国際電話です。したがって、海外から固定電話への通話はできなくなります。ただし現在は多くの方が、LINEなどのアプリの通話機能で海外とやりとりしています。インターネット経由の通話は、この休止の影響を受けません。また、再開はいつでも無料でできます(電話申込のみ)。まず止めてみて、不都合があれば戻す、という判断で構いません。
「不明な発信者を消音」をオンにすると、大事な電話を逃しませんか?
逃す可能性はあります。宅配の再配達、病院、役所、仕事の初回連絡などは電話帳に入っていないためです。ただし着信は履歴に残り、留守番電話にも回りますので、完全に消えるわけではありません。1日1回、着信履歴を確認する習慣を作れるなら、この設定を強くおすすめします。確認する習慣が作れそうにないなら、無理にオンにせず、警察庁推奨アプリの導入だけにとどめるほうが現実的です。
非通知の着信はどうすればいいですか?
非通知は、多くのスマホと固定電話でまとめて拒否する設定ができます(携帯会社のサービスや電話機の機能として用意されています)。用件のある相手が非通知でかけてくることは多くありません。迷うなら拒否設定にしておいて構いません。本当に必要な相手は、通知ありでかけ直すか、別の手段で連絡してきます。
着信拒否に登録していけば、そのうち減りますか?
残念ながら、それだけでは減りません。使われる番号が年間12万件を超えていて、しかも増えているためです。個別の番号を登録する方式は「同じ相手が繰り返しかけてくる」ケースには効きますが、詐欺対策の主軸にはなりません。種類ごと(国際電話まるごと/電話帳にない相手まるごと)で止める方式に切り替えてください。それが第4章と第5章の内容です。
電話に出て、途中で怪しいと気づきました。何と言って切ればいいですか?
何も言わずに切って構いません。「失礼します」も不要です。理由を説明したり、質問に答えたりすると、そこから会話を再開されます。相手は会話を続けるための言葉を大量に用意しています。こちらが黙って切るのが、いちばん確実で、いちばん早い方法です。切った後で不安が残るなら、警察相談専用電話 #9110 か、消費者ホットライン 188 に相談してください。どちらも被害が出ていない段階で使って構いません。
出典・参考
- 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」広報資料(令和8年5月22日/組織犯罪対策第二課・生活安全企画課)— 認知件数27,832件、被害額1,423.1億円、当初接触ツール(電話78.8%等)、ニセ警察詐欺11,014件、予兆電話331,653件、および「特殊詐欺に犯行利用された番号種別の推移」の各件数。https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2025.pdf
※本記事の番号種別の構成比・倍率は、同資料掲載の件数をもとに当サイトで算出しました(合計が資料の記載値82,540件・123,138件と一致することを確認済み)。 - 警察庁・SOS47「みんなでとめよう!!国際電話詐欺 #みんとめ」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/international-phone/
- 警察庁・SOS47「警察庁推奨アプリ」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/apps/index.html
- 警察庁生活安全企画課「特殊詐欺対策アプリに係る警察庁推奨制度について」(令和7年12月11日)— iOSとAndroidで国際電話番号への対応が異なる旨の記載。https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/1suisyouseido.pdf
- 国際電話不取扱受付センター https://www.kokusai-teishi.com/(電話 0120-210-364)
- NTTドコモ「迷惑電話ストップサービス」https://www.docomo.ne.jp/service/annoyance_stop//au「海外からの電話を着信拒否する方法を教えてください」https://www.au.com/support/faq/details/00/0000/000027/pg00002709/
- 相談窓口:警察相談専用電話 #9110/消費者ホットライン 188(局番なし)。被害が確定していない段階の相談にも対応しています。
携帯会社のサービス内容・警察庁推奨アプリの一覧は変更されることがあります。実際の申込前に、リンク先の公式ページで最新の内容を確認してください。
見直し目安:2027年6月(警察庁の年間確定値は例年5月ごろに公表されるため。半期の暫定値が出た時点でも数値は動きます)




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