

クレジットカード10社の安全性を
「7つの壁」で採点2026
三井住友・JCB・楽天・イオン・PayPay・dカード・au PAY・セゾン・エポス・オリコ。各社の会員規約とFAQを読み比べ、どこで補償から外れるのかを全社横並びの表にしました。あわせて、総務省の家計統計から「なぜ被害の9割超がネット経由なのか」を数字で確かめます。
結論:カード選びの差は「機能」ではなく「補償から外れる条件」に出る
① 2025年の不正利用被害は510.5億円。前年より減ったが、その9割超は「カード番号だけを盗まれる」タイプで、カードは手元にあるまま使われている。
② 総務省の家計統計を集計すると、ネット通販の支払いは81.4%がカード払い。被害がネットに集中するのは、そこにお金が集まっているからで、特別な不運ではない。
③ 10社の公開情報を7項目で採点するとJCBが14点満点、三井住友カードとdカードが12点。ただしこれは「被害の少なさ」ではなく「開示されている仕組み」の比較。
④ 本当の差は補償条件にある。申請期限はdカードの90日が最長、JCBだけ起算日が「利用明細の通知後」。そして自分でOTPや3Dセキュアを通してしまった取引は、多くの会社で原則対象外。
⑤ 今日やること — すべての人:利用通知をアプリのプッシュでオンにする(金額0円設定があれば0円に)。ネット通販をよく使う人:番号レス/バーチャルカードと、アプリ認証型の3Dセキュアが使える会社を選ぶ。家族カードを持たせている人:家族による利用は全社で原則補償対象外だと共有しておく。
補償されるかどうかを決めるのは、金額でも会社の規模でもなく、「いつ気づいたか」と「誰が認証を通したか」です。
この記事の地図(全8章+FAQ)
「クレジットカードって、結局どの会社がいちばん安全なんですか」。この質問には、正直に答えると「被害率で比べたランキングは作れません」という前置きが要ります。カード会社別の被害件数や被害率は、日本クレジット協会も金融庁も公表していないからです。公表されているのは業界全体の合計だけです。
そこで、以前にネット銀行・メガバンク8行を「7つの壁」で採点した記事、QR決済・電子マネー10サービスを採点した記事と同じ物差しを、今度はクレジットカード10社に当てました。比べるのは「被害の少なさ」ではなく、各社が公開している防御の仕組みと、補償から外れる条件です。
そしてもう一つ、この記事だけの材料があります。総務省の令和6年全国家計構造調査と家計消費状況調査の生データを直接集計して、「家計のお金がどこでカードに乗っているのか」を出しました。被害統計と家計統計を重ねると、なぜ被害の9割超がネット経由なのかが、感覚ではなく数字で見えてきます。
これは金融庁の格付けでも第三者機関の監査結果でもなく、「公式に開示されている情報」を筆者が独自の基準で採点したものです。実際の被害率とは関係がありません。
また、同じブランドでも発行会社が違えば条件が変わります。この記事の「JCB」は株式会社ジェーシービーが直接発行するカードであって、JCBブランド全般ではありません。番号レスやバーチャルカードのようにカード商品ごとに差がある機能は、各社の代表的な一般カードを基準にしました。
情報は2026年8月22日時点の公式サイト・FAQ・現行会員規約に基づきます。規約は変わりますので、実際に申請するときは必ず各社の最新の案内をご確認ください。特定のカードの利用を推奨・非推奨するものではありません。
結論:総合点と、順位より大事な2つの表
点数は入口。読者に本当に効くのは、この後の補償条件表です
先に総合点を出します。ただしこの順位だけを見て乗り換えを決めないでください。総合点は「7つの壁のどこまで手当てされているか」の合計であって、いざ被害に遭ったときに手元のお金が戻るかどうかとは、必ずしも一致しないからです。
7つの壁・総合スコア(14点満点)
| 順位 | カード会社 | 総合点 | 強い壁 | 弱い壁・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | JCB | パスキー・アプリ承認型のJ/Secure・ナンバーレスが全部そろう | 補償の起算日が「利用明細の通知後60日」で他社と数え方が違う | |
| 2位 | 三井住友カード | 利用先別の制限とオートロック、調査中の請求停止を明記 | ネット決済の本人認証は現在も主にメールのワンタイムパスワード | |
| 2位 | dカード | 公的個人認証とパスキーに対応。申請期限90日は10社で最長 | 利用速報など一部機能が特定のカード番号帯限定。新旧で差がある | |
| 4位 | PayPayカード | 券面に番号がなく、用途別の利用制限が細かい。アプリ生体認証 | 本人確認用の認証情報が一致した取引を明確に補償対象外と規定 | |
| 4位 | セゾンカード | アプリ+生体認証の3Dセキュア、AI監視、アプリからの一時停止 | ナンバーレス・デジタルカードが商品によって有無が分かれる | |
| 6位 | au PAY カード | AIを使った24時間監視。券面の番号保護も進んでいる | 本人認証がメールのワンタイムパスワード中心。一時停止は公開情報で確認できず | |
| 6位 | エポスカード | 24時間オンラインで被害申告ができる | 元に戻せる一時停止がない(止めたら再発行)。OTPを「暗証番号等」と定義 | |
| 8位 | イオンカード | 原則5分以内の利用通知。紛失時の停止・再発行の導線が明確 | 調査中も通常どおり引き落としと明記。少額やETCは通知対象外 | |
| 9位 | 楽天カード | アプリ通知と、24時間限定の一時停止 | 一時停止が24時間で自動解除。500円未満は通知されない場合がある | |
| 9位 | オリコカード | 通知の内容が詳しく、eオリコから一時停止もできる | ログイン強化の開示が薄い。補償条件が複数の規約に分散していて読みにくい |
※ 各壁0〜2点、合計14点。2点=強い仕組みを公式に確認、1点=標準的・一部カード限定・条件付き、0点=基本認証のみ、または公開情報で確認できず。実際の被害率ではありません。
「1位だから安全」ではありません
この採点は開示されている仕組みの多さを測っています。仕組みが多い会社ほど、規約で「こういう場合は補償しません」という線引きもはっきり書いている傾向があります。つまり点数が高い会社ほど、補償の除外条件が明確という逆説が起きます。JCB・PayPayカード・au PAYカードがまさにそれで、第7章で原文の趣旨を確認します。
第1章 おわり — 次は、この10社を比べる前提となる数字へ
数字で見る現在地|被害統計と家計統計を重ねる
「なぜネットばかり狙われるのか」に、家計の側から答えが出ます
比較に入る前に、いま日本で何が起きているのかを数字で押さえます。ここは他社の記事と同じ被害統計だけでは終わりません。総務省の家計統計を集計して、被害統計の裏側を見にいきます。
被害額は減った。ただし「番号だけ盗まれる」型が9割超
日本クレジット協会の集計によると、2025年のクレジットカード不正利用被害額は510.5億円。過去最高だった2024年の555.0億円から8.0%の減少です。しかも減少は加速していて、2025年第4四半期は前年同期比で約42%減、2026年1〜3月も約41%減。潮目は変わりつつあります。
とはいえ、それでも1日あたりに直すとおよそ1億4,000万円が消えている計算です。減少局面に入ったことと、水準がまだ高いことは両立します。この記事が「もう安全になった」と言わないのは、次に見る中身が変わっていないからです。
問題は中身のほうです。2026年1〜3月の被害額113.6億円のうち、カード番号盗用が106.0億円、全体の93.3%を占めました(国内73.7億円・海外32.3億円)。2025年の通年でみても、510.5億円の内訳は偽造7.2億円、番号盗用475.4億円(93.1%)、その他27.9億円。ほぼ同じ比率で、一時的な偏りではありません。
これは「カードを落としていないのに使われる」型です。手元にカードがあり、財布も無事で、それでも請求が立つ。だから気づくのが遅れます。総額が減っても、この構成比は動いていない――ここが押さえるべき点です。
日本クレジット協会は2026年集計分から、対象会社数を40社から48社に変更しました。2026年1〜3月の数字を前年同期とそのまま引き算すると誤読します。「増えた/減った」を語るときは、必ずこの変更に触れているかを確認してください。
【独自集計】ネット通販の支払いは、81.4%がカード払いだった
ここからがこの記事の独自部分です。総務省の令和6年全国家計構造調査(2024年調査・2025年12月公表)には、「どこで買ったか(購入先10区分)」と「どう払ったか(購入形態4区分)」を掛け合わせた表があります。この生データを集計して、購入先ごとのカード払い比率を出しました。
📊 買う場所別・支払い方法の内訳(総世帯・1か月・2024年)
出典:総務省「令和6年全国家計構造調査」表番号0004039977(世帯の種類・世帯区分・世帯主の性別・購入先10区分・購入形態4区分別1世帯当たり1か月間の支出)を筆者が集計。総世帯・全世帯・平均・消費支出の値。集計世帯数34,090。「クレジットカード,掛買い,月賦」にはポストペイ型の電子マネーが含まれます。
実店舗ではカード払いは3割前後にとどまります。ところがネット通販だけは81.4%。現金は14.8%しかありません。金額でいうと、総世帯の1か月のネット通販支出9,971円のうち8,121円がカード等での支払いです。
ここで被害統計に戻ってください。番号盗用が93.3%。攻撃者がネットに集中しているのは、そこが唯一「カードが8割を占める場所」だからです。実店舗を狙っても3割しか当たらない。ネットなら8割当たる。犯罪側から見れば、単純な効率の話です。
1世帯あたりに直すと、いくらの話か
2025年国勢調査の全国世帯数は57,124,507世帯。ネット通販でのカード等支払い8,121円/月を年換算すると1世帯あたり約9.7万円、全国では年およそ5.6兆円がネット経由でカードに乗っていることになります。一方、被害額510.5億円を全世帯で割ると1世帯あたり年およそ894円。自分は被害に遭っていなくても、この負担は加盟店手数料や商品価格を通じて社会全体で分け合っています。
【独自集計】ネット通販の支出は、10年で2.9倍になった
次に、家計消費状況調査(2015年〜2025年)でネット通販支出の推移を見ます。総世帯1か月あたりの「インターネットを利用した支出総額」です。
📈 ネット通販支出の推移(総世帯・1世帯1か月あたり)
出典:総務省「家計消費状況調査」表番号0003168295(インターネットを利用した1世帯当たり1か月間の支出・世帯主の年齢階級別・総世帯)を筆者が集計。年次・総世帯・平均・22品目計。
2015年の7,742円が、2025年には22,677円。10年で2.93倍です。コロナ禍の2020年に跳ねたあとも減速せず、右肩上がりが続いています。攻撃対象が毎年ふくらみ続けていると言い換えられます。
【独自集計】カード払い比率は35〜39歳が最高、80代で半分以下
もう一つ、年齢による違いを見ておきます。同じ全国家計構造調査から、世帯主の年齢階級別に消費支出全体に占めるカード払いの比率を出しました。
📊 世帯主の年齢階級別・消費支出に占めるカード払い比率(2024年)
出典:総務省「令和6年全国家計構造調査」表番号0004039780を筆者が集計。総世帯・平均・消費支出に占める「クレジットカード,掛買い,月賦」の割合。集計世帯数39,570。
35〜39歳の42.0%が最高で、80〜84歳の18.3%はその半分以下です。ネット通販の支出額でも同じ傾向が出ていて、2025年は35〜39歳が月38,089円に対し、75〜79歳は10,162円。ここから2つのことが言えます。
年齢によって「守るべきもの」が違う
30〜40代は、そもそもカードとネットにさらされている金額が大きい層です。番号レス・アプリ認証・利用先制限といった入口を絞る機能の価値が高くなります。一方70代以上は金額こそ小さいものの、通知に気づきにくく、申告期限を過ぎて補償から外れるリスクのほうが大きい。家族が代わりに気づける仕組み(家族へのメール通知、アプリの共有)を用意しておくほうが効きます。
2025年3月末で、業界の前提が一段変わりました
経済産業省の指針により、EC加盟店には原則として2025年3月末までにEMV 3-Dセキュアの導入が求められました。つまり「加盟店が3Dセキュアに対応しているか」はもう差になりません。これからの差はその3Dセキュアを何で通すか――メール、SMS、認証アプリ、生体認証のどれか――に移ります。第4章の壁3が、まさにその比較です。
ただし注意点があります。同じ指針がカード会社側に求めたのは「2025年3月末時点でEC利用会員ベース80%の3Dセキュア登録」という目標でした。加盟店の導入が原則必須でも、利用者側の登録まで100%になったわけではありません。自分のカードが3Dセキュアに登録済みかどうかは、会員サイトで一度確認してください。
第2章 おわり — 次は、10社を測る物差しの説明へ
採点方法「カード版・7つの壁」
不正利用が起きる順番に沿って、防御を7段階に分けます
銀行版・決済版の記事では、攻撃者が金を奪うまでの流れを7つの関門に分けて採点しました。クレジットカードは構造が違うので、壁の定義を組み直しています。ポイントは「実際に不正利用が起きる順番」に沿って並べたことです。上から順に、突破されるほど被害に近づきます。
🛡 カード版・7つの壁(上から順に突破されると被害に近づく)
なぜこの7つなのか
従来のカード比較記事は「3Dセキュア対応」「24時間監視」「不正利用補償あり」の3点セットで終わりがちでした。ところが第2章のとおり、3Dセキュアはもう全社が持っている前提になり、差になりません。そこで、被害が生まれる順番そのものを分解しました。
| 壁 | ここが破られると何が起きるか | 2点をつけた基準 |
|---|---|---|
| 壁1 発行時 | 他人があなたの名前でカードを作る(なりすまし発行) | eKYC+ICチップ読み取り、または公的個人認証に対応 |
| 壁2 ログイン | 会員サイトを乗っ取られ、住所変更・追加カード発行までされる | パスキーまたは端末生体認証に対応(SMSのみは1点) |
| 壁3 決済認証 | 盗まれた番号で、ネット決済を通されてしまう | アプリ承認型・生体認証型の3Dセキュアを提供 |
| 壁4 番号保護 | 券面を見られる・撮られるだけで番号が漏れる | 基本カードが番号レスで、アプリ内でのみ番号を表示 |
| 壁5 検知 | 不正利用が何日も続き、被害額がふくらむ | 24時間365日監視+AI・行動分析を明記 |
| 壁6 通知・停止 | 気づくのが遅れ、申告期限を過ぎてしまう | リアルタイム通知+自分で戻せる一時停止+用途別制限 |
| 壁7 補償 | 戻ってこない。ここが最後の砦 | 期限・必要書類・免責条件が公式に明記され、読み取れる |
「書いていない」を「やっていない」と混同しない
この採点でいちばん気をつけたのは、公開情報で確認できないものを0点にしつつ、本文では必ず「公開情報では確認できず」と書き分けることです。表の「―」は「その会社が対策していない」という意味ではありません。開示されていないだけかもしれません。ただし利用者の立場では、読んでも分からない条件は、いざというとき頼りにできないのも事実です。
番号レスやバーチャルカードはカード商品ごとに有無が分かれます。同じ会社でも「このカードは番号レス、あのカードは券面に印字あり」ということが普通に起きます。この記事は各社の代表的な一般カードを基準にしましたが、申し込む前にその商品のページで実物の券面を確認してください。
第3章 おわり — ここから実際の10社比較へ
壁1〜4:入口・ログイン・決済認証・番号
「盗まれる前に止める」ための4段階を、10社で並べます
ここからは実際の比較です。まず被害が起きる手前の4つの壁から。◎が2点、○が1点、△が0点です。
| カード会社 | 壁1 発行時 | 壁2 ログイン | 壁3 決済認証 | 壁4 番号保護 | 小計 |
|---|---|---|---|---|---|
| JCB | ◎ 2 | ◎ 2 | ◎ 2 | ◎ 2 | 8 |
| 三井住友カード | ◎ 2 | ○ 1 | ○ 1 | ◎ 2 | 6 |
| dカード | ◎ 2 | ◎ 2 | ○ 1 | ○ 1 | 6 |
| PayPayカード | ○ 1 | ○ 1 | ◎ 2 | ◎ 2 | 6 |
| セゾンカード | ◎ 2 | ○ 1 | ◎ 2 | ○ 1 | 6 |
| au PAY カード | ○ 1 | ○ 1 | ○ 1 | ◎ 2 | 5 |
| エポスカード | ◎ 2 | ○ 1 | ○ 1 | ○ 1 | 5 |
| イオンカード | ◎ 2 | ○ 1 | ○ 1 | ○ 1 | 5 |
| 楽天カード | ○ 1 | ○ 1 | ○ 1 | ○ 1 | 4 |
| オリコカード | ○ 1 | △ 0 | ○ 1 | ○ 1 | 3 |
※ 2026年8月22日時点の公式サイト・FAQ・会員規約から筆者が判定。番号レス等はカード商品により差があるため、各社の代表的な一般カードを基準にしています。
壁1|カード発行時の本人確認 ― ここが一番動いている
意外に思われるかもしれませんが、この1年で最も変化したのが「入口」です。他人があなたの名前でカードを作るなりすまし発行を止める部分で、eKYC(オンライン本人確認)が主流になり、さらにその先へ進んだ会社が出ています。
三井住友カードは2026年4月27日、入会申し込み画面にデジタル庁の「デジタル認証アプリ」を使ったマイナンバーカードの公的個人認証を導入しました。dカードも公的個人認証に対応しています。書類の画像を送るだけの確認は、生成AIで偽造画像が簡単に作れる時代には弱くなりつつあり、ICチップを実際に読み取る方式へ移っているところです。ここが◎か○かは、数年後にじわじわ効いてくる差です。
壁2|会員サイト・アプリへのログイン ― 見落とされがちな急所
カード番号ではなく会員サイトのアカウントを取られると、被害の性質が変わります。住所を書き換えられ、再発行カードを別の住所に届けさせる、といったことが理屈のうえでは可能になるからです。ここでの合格ラインは、パスワードの強さではなくパスワード以外の要素があるかどうか。
JCBとdカードはパスキー(FIDO)に対応していて、この2社が抜けています。パスキーは端末の生体認証と結びついた鍵を使うので、フィッシングサイトに入力させられても盗みようがないのが強みです。他社の多くはSMSのワンタイムパスワードやアプリの生体認証で、これは1点。オリコは公開情報からログイン強化の具体策を読み取れなかったため0点としました(対策していないという意味ではありません)。
壁3|オンライン決済時の本人認証 ― 3Dセキュアの「中身」で差がつく
第2章で触れたとおり、EMV 3-Dセキュア自体はもう差になりません。差が出るのは本人確認を何で通すかです。
| 認証の方式 | 採用している会社 | フィッシングへの強さ |
|---|---|---|
| アプリ承認・生体認証 (スマホに通知が来て、指紋・顔で承認) | JCB(MyJCBアプリ)、PayPayカード(PayPayアプリ・2026年7月から順次)、セゾンカード(アプリ+生体認証) | 強い。番号を入力させる画面が出てこない |
| SMSワンタイムパスワード | 楽天カード、イオンカード、エポスカード、dカード、オリコカード ほか | 中。偽サイトに入力させられると突破される |
| メールワンタイムパスワード | 三井住友カード、au PAY カード ほか | 弱い。メールが読める状態なら第三者も取得できる |
ここが第7章につながる、この記事で一番大事な点
認証方式の違いは、便利さの話ではありません。「あなたが認証を通した取引」は、多くの会社で補償の対象外になり得るからです。メールやSMSのワンタイムパスワードは、偽サイトで入力させられれば犯人の手に渡ります。記録のうえでは「本人が承認した取引」に見えてしまう。認証が弱い方式ほど、破られたときに自己責任にされやすいという二重のリスクを抱えています。
3DセキュアのPayPayアプリ認証への切り替えとあわせて、本人認証が未完了のクレジットカードはPayPay決済で使えなくなると案内されています。認証が強くなること自体は歓迎すべきですが、設定しないままだと決済そのものが止まります。PayPayアプリにカードを登録している人は、本人認証の状態を確認してください。
壁4|カード番号を盗ませない仕組み
券面に16桁が印字されていなければ、レジで手渡したとき、飲食店で預けたとき、あるいは机の上に置いたときに撮られるリスクがゼロになります。三井住友カード(NL)、PayPayカード、au PAY カード、JCBカードWなどが番号レスに対応しています。
ただし前章の注意書きのとおり、同じ会社でも商品によって券面が違います。この記事では基本カードがまだ番号印字ありの会社、あるいは一部商品のみ番号レスの会社は1点に抑えました。「◯◯カードは番号レス」という会社単位の言い方は、正確ではないことが多いのです。
バーチャルカードという別解
番号レスとは別に、ネット決済専用の使い捨て番号を発行できる会社もあります。その番号が漏れても本カードは無傷で、止めるのも番号1つ分で済みます。定期購読や海外サイトで使うなら、券面の番号レスより実質的に効きます。第2章の集計で見たとおり、ネット通販は家計のなかで唯一カードが8割を占める場所です。ここだけを別番号に切り離せるかどうかは、想像以上に大きな違いになります。
第4章 おわり — 次は、盗まれたあとの「速さ」の話へ
壁5〜6:検知と、止める速さ
「気づくのが遅い」は、そのまま「補償されない」に直結します
番号盗用型の被害は、カードが手元にあるので気づきません。だから会社が検知して知らせてくれるか、そして自分ですぐ止められるかが生死を分けます。ここは補償の前段階でありながら、実は補償そのものより効く場面が多い部分です。
| カード会社 | 壁5 検知 | 壁6 通知・停止 | 通知の特徴 | 自分で止められるか |
|---|---|---|---|---|
| JCB | ◎ 2 | ◎ 2 | リアルタイム通知 | 業種別・金額別の利用制限が可能 |
| 三井住友カード | ◎ 2 | ◎ 2 | リアルタイム通知 | 利用先別の制限+オートロック |
| dカード | ◎ 2 | ◎ 2 | 利用通知(速報は一部番号帯限定) | 海外利用・ネット利用の制限が可能 |
| PayPayカード | ◎ 2 | ◎ 2 | 利用速報 | 用途別の利用制限が細かい |
| セゾンカード | ◎ 2 | ◎ 2 | リアルタイム通知+AI監視 | アプリから一時停止できる |
| au PAY カード | ◎ 2 | ○ 1 | メール・アプリ通知、AIで24時間監視 | 利用者による一時停止は公開情報で確認できず |
| エポスカード | ○ 1 | ◎ 2 | 利用通知+24時間オンライン申告 | 停止はできるが元に戻せない(再発行) |
| イオンカード | ○ 1 | ○ 1 | 原則5分以内に通知 | 紛失時の停止・再発行。可逆的な一時停止は確認できず |
| 楽天カード | ○ 1 | ○ 1 | アプリ通知(少額は対象外の場合あり) | 一時停止できるが24時間後に自動解除 |
| オリコカード | ○ 1 | ◎ 2 | リアルタイム通知(内容が詳しい) | eオリコから一時停止できる |
「一時停止」には3つのタイプがあります
ここは各社の説明を読み比べて、はじめて違いに気づいた部分です。同じ「止める」でも中身が3種類ありました。
🟢 自分で止めて、自分で戻せる(可逆型)
セゾンカード、オリコカードなど。「変な通知が来たが、まだ確信がない」段階で押せるのが強みです。誤検知だったら自分で解除すればいい。心理的なハードルがいちばん低いタイプです。
🟡 止まるが、時間で勝手に戻る(時限型)
楽天カードの一時停止は24時間で自動解除されます。旅行中や入院中など、24時間以内に判断できない状況では、気づかないうちに再び使える状態に戻ります。押したら安心、ではありません。
🔴 止めたら戻せない(不可逆型)
エポスカードは、止めた後は再発行になります。「様子見で押す」ができないので、判断を先延ばしにしがちです。その結果、気づいてから止めるまでの時間が延びやすい。カード番号も変わるので、登録済みの定期課金をすべて登録し直す手間もかかります。
少額の通知が来ないと、何が起きるか
楽天カードとイオンカードは、500円未満の利用が通知の対象外になる場合があると案内しています。不正利用の犯人は、いきなり高額を使わずまず数百円で「このカードは生きているか」を試すことがあります。この試し打ちが通知されないと、最初のサインを見逃したまま本番の高額決済まで進んでしまいます。ETCなど通知対象外の取引がある点も同じ理屈です。
通知に気づく速さが、そのまま補償の期限に効く
次章から補償条件に入りますが、その前にこの図を見てください。すべての会社の補償が「時計」で動いているということが分かります。
⏱ 不正利用が起きてから補償が締め切られるまで
多くの会社の補償は「届け出た日から遡って60日(または61日、90日)」という数え方です。つまり気づくのが1か月遅れたら、遡れる範囲がまるごと1か月分削られます。壁6の通知と停止は、単なる便利機能ではなく補償の残り時間を増やす装置だと考えてください。
第5章 おわり — いよいよ補償条件の本題へ
壁7①:期限・警察への届出・家族カード
「補償あり」と書いてある10社が、実は全部条件が違います
10社とも「不正利用は補償します」と書いています。ですから、そこを比べても意味がありません。比べるべきはいつまでに、誰に、何を出せば受け付けてもらえるのかです。この章と次章の2つの表が、この記事の中心です。
補償条件表①|期限・警察・家族カード
| カード会社 | 補償の申告期限(起算日) | 警察への届出 | 家族カードが 第三者に使われた | 家族・同居人が 使ってしまった |
|---|---|---|---|---|
| 三井住友カード | 申告日から遡って60日前まで | △ 紛失・盗難時は必須。番号盗用のみの場合に一律必須との記載は確認できず | ○ 対象 | × 原則対象外 |
| JCB | 利用明細の通知後60日以内(起算日が他社と違う) | △ 紛失・盗難時は必須。番号盗用の補償ページでは必須とされていない | ○ 対象 | × 原則対象外 |
| 楽天カード | 受付日から60日前まで/発覚後30日以内に必要書類 | ○ カード情報盗用を含む規約手続き | ○ 対象 | × 原則対象外 |
| イオンカード | 受付日を含め61日前まで | △ 物理的な紛失・盗難は必須。番号盗用は個別指示 | ○ 対象 | × 原則対象外 |
| PayPayカード | 受付日から60日前まで/発覚後30日以内に資料提出 | ○ 必要 | ○ 対象 | × 原則対象外 |
| dカード | 届出日から遡って90日前まで(10社最長)/発覚後30日以内に届出 | ○ 必要 | ○ 対象 | × 原則対象外 |
| au PAY カード | 受付日から起算して61日前まで | △ 紛失・盗難時は必須。番号盗用ページでは明記なし | ○ 対象 | × 原則対象外 |
| セゾンカード | 受付日を含め61日前まで | ○ カード情報の不正取得も対象 | ○ 対象 | × 原則対象外 |
| エポスカード | 受付日を含め61日前まで | △ カード本体の紛失・盗難時は必須 | ― 一般的な家族カードの仕組みがない(※) | × 原則対象外 |
| オリコカード | 通知日の60日前以降(61日以前の利用は対象外) | ○ カード番号盗用も届出対象 | ○ 対象 | × 原則対象外 |
※ エポスには本会員に付随する一般的な家族カードがありません。エポスファミリーゴールドは家族それぞれが独立したカード会員になる仕組みです。
△=条件によって必要/公式公開情報では一律必須と読み取れないもの。―=公式公開情報では確認できないもの。2026年8月22日時点。
期限は「60日」と「61日」より、起算日のほうが重要
📏 補償を遡れる日数の比較
数字だけを見るとdカードの90日が最長で、これは10社のなかで頭ひとつ抜けています。ただし手放しで喜べません。dカードには「被害を知ってから30日以内に届け出る」という別条件があります。90日は「遡れる範囲」であって、「気づいてからのんびりしていい期間」ではないのです。
「60日」と「61日」の違いは、多くの場合受付日を含めて数えるかどうかという数え方の差にすぎず、実質的な優劣はほとんどありません。それより注意すべきはJCBです。JCBだけは起点が「あなたが届け出た日」ではなく「利用明細が通知された日」。明細が届いたのに開かないまま2か月置いたら、その時点で期限が進んでいます。
表では、番号盗用だけのケースで一律必須と読み取れない会社を△にしました。ただしこれは「届け出なくていい」という意味ではありません。楽天・PayPay・dカード・セゾン・オリコは明確に届出を条件にしていますし、△の会社も個別に求めてくることがあります。迷ったら先に警察へ相談し、受理番号を控える。これが最も安全な行動です。
家族カードは「2種類の被害」に分けて考える
ここは調べていて最も誤解が多いと感じた部分です。「家族カードも補償対象ですか」という質問には、2つのまったく違う答えがあります。
✅ 家族カードが第三者に使われた
- 家族が持っているカードの番号を盗まれた
- 家族カードを紛失し、他人に使われた
- → 本会員のカードと同じ扱いで、原則補償の対象
🚫 家族・同居人が勝手に使った
- 配偶者や子どもが黙って使った
- 同居している親族が持ち出して使った
- → 調べた10社すべてで原則補償の対象外
後者が全社そろって対象外なのは、意地悪ではありません。カードの管理責任は会員本人にあるという前提が、どの会社の規約にも共通して置かれているからです。家族カードを渡すというのは、その責任ごと預けるということです。子どもに持たせるなら、利用可能額を必要最小限に設定し、利用通知を親の端末にも届くようにしておく。これが実務的な唯一の防御になります。
第6章 おわり — 次が、この記事で最も重要な表です
壁7②:認証済み取引と、調査中の引落し
補償から外れるのは、たいていこの4パターンです
ここが本題です。「補償されるか」を分けるのは金額ではなく、誰が認証を通したかといつ気づいたかでした。そして、意外に説明されていないのが調査中の引き落としはどうなるのかです。
補償条件表②|フィッシング・暗証番号・通知・調査中の支払い
| カード会社 | フィッシングで 自分が認証を通した | 暗証番号を 使われた | 通知を 見落とした | 調査中の引き落とし |
|---|---|---|---|---|
| 三井住友カード | △ 故意・過失を含め個別判断 | △ 故意・過失で漏れた場合は対象外 | △ 60日超は対象外。連絡先の未更新も除外条件 | ○ 請求を停止。間に合わなければ約2週間で返金 |
| JCB | × 原則対象外(認証情報の使用を明記) | × 原則対象外 | △ 明細通知後60日を超えると対象外 | ― 調査後に請求を取消し |
| 楽天カード | △ 3Dセキュア認証済みを一律除外する明文は確認できず | × 原則対象外(無過失の例外あり) | △ 期限超過は対象外。連絡先未更新は通知到達扱い | ― |
| イオンカード | △ 故意・重大な過失、本人責任の情報漏洩で判断 | × 原則対象外 | △ 受付日基準の61日を超えると対象外 | × 通常どおり引落し。調査に3か月〜半年かかる場合があり、不正認定後に返金 |
| PayPayカード | × 原則対象外(本人確認用の認証情報が一致した取引を除外) | × 原則対象外 | △ 60日・発覚後30日の期限に注意 | ― |
| dカード | △ OTPを盗まれた取引は請求される場合あり | × 原則対象外 | △ 90日以内でも発覚後30日の届出が必要 | ― |
| au PAY カード | × 対象外(3Dセキュアで本人と認証された取引を明記除外) | × 対象外 | △ 61日を超えると対象外 | ― 調査後、不正認定時に取消し |
| セゾンカード | △ 重大な過失の有無などを調査 | × 原則対象外(無過失の例外あり) | △ 故意・過失による手続きの遅れは対象外になり得る | ― |
| エポスカード | △ OTP・Visa Secureを「暗証番号等」と定義。原則本人負担だが無過失の例外あり | △ 原則本人負担。無過失の例外あり | △ 61日超は対象外。住所等の未更新は到達扱い | ― |
| オリコカード | △ 故意・過失、認証情報の管理状況で判断 | △ 原則本人負担。無過失の例外あり | × 被害を認識しながら通知を遅らせた場合は除外 | ― |
○=規約・FAQ上、対象と明記/△=条件付き・個別調査/×=原則として対象外/―=公式公開情報では確認できず。「書いていないから補償される」という推測はしていません。2026年8月22日時点。
「本人が認証した」は、4つに分けて考える必要がある
表では1列にまとめましたが、実際の場面は同じではありません。同じ「認証済み」でも、結論が変わり得ます。
🔴 フィッシングサイトにワンタイムパスワードを入力した
最も判断が厳しくなるパターンです。カード会社側の記録には「正規の認証が成功した取引」として残ります。利用者の過失をどう評価するかが争点になり、JCB・PayPayカード・au PAYカードは規約上の除外がとくに明確です。
🟠 偽の案内に従って3Dセキュアを承認した
「不正利用の確認です」というSMSに従い、届いた通知を承認してしまうケース。手口の巧妙さが評価に影響し得るものの、記録上は本人承認です。会社によって「重大な過失」と見るか「やむを得ない」と見るかが分かれる領域で、個別調査になります。
🟡 公式アプリで生体認証を行った
指紋や顔で承認した取引です。これは事実上「本人が使った」と扱われると考えてください。だからこそ、アプリ承認型の3Dセキュアは強い。フィッシングでは再現できない代わりに、通ってしまえば覆すのも難しいという両刃の性質があります。
🟢 犯人が、盗んだ認証情報だけで通した
あなたはどこにも入力していないのに、漏えいした情報で認証が通ったケース。利用者に落ち度がない典型なので、補償が認められる可能性がいちばん高くなります。だからこそ、被害を申告するときは「自分は何をして、何をしていないか」を時系列で正確に伝えることが決定的に重要です。
だから「認証方式の強さ」は補償と地続きなのです
第4章の壁3を思い出してください。メールやSMSのワンタイムパスワードは、偽サイトで入力させられる余地があります。つまりパターン1に落ちやすい。一方、アプリ承認型・パスキー型は、そもそも偽サイトに入力させる画面が存在しないので、パターン1が起こりにくい。認証方式は「便利さ」ではなく「補償に残れるかどうか」の問題です。
「通知を見落とした」は、それ自体では対象外にならない
ここは誤解が広まりやすいので、はっきり書きます。通知を見落としたことそのものを理由に補償を打ち切る会社は、今回調べた範囲では見当たりませんでした。問題になるのは、見落とした結果です。
| 起きたこと | 補償はどうなるか |
|---|---|
| 通知に気づかなかったが、期限内に届け出た | 原則として対象。見落とし自体は失権事由ではない |
| 見落とした結果、60日・61日・90日を過ぎた | 期限超過で対象外。これが最も多い失権パターン |
| 被害に気づいていたのに、届け出を遅らせた | オリコは明確に除外。他社も「故意・過失による遅延」として不利に働く |
| 引越し後に住所・メールを更新しておらず、通知が届かなかった | 三井住友・楽天・エポスは、届いたものとして扱う旨を規定 |
引越しやメールアドレスの変更を届け出ていないと、通知が届かなくても「届いた」ものとして扱われる規定を持つ会社があります。三井住友カード、楽天カード、エポスカードで確認できました。カード会社に登録した住所とメールアドレスが今のものか、この記事を読み終えたら確認してください。5分で済むうえ、期限切れという最悪の失権を防げます。
調査中、引き落としは止まるのか ― ここは会社差が大きい
被害を申告してから調査が終わるまで、その請求はどうなるのか。生活に直結する話なのに、明記している会社は多くありません。
✅ 請求を止めると明記
- 三井住友カード ─ 不正利用分の請求を停止。引き落としに間に合わなかった場合は約2週間で返金
🚫 いったん引き落とすと明記
- イオンカード ─ 「お申出の明細については通常通りお引落としをさせていただきます」と明記。調査結果が出るまで3か月〜半年程度かかる可能性があり、不正と認定されてから返金
❓ 公開情報では確認できず
- JCB・楽天・PayPay・dカード・au PAY・セゾン・エポス・オリコの8社
- (調査後の取消しには触れているが、引き落とし当日の扱いは不明)
高額の不正利用が起きたとき、調査中にいったん全額引き落とされるかどうかは家計を直撃します。しかも待ち時間が長い。イオンカードは調査結果が出るまで3か月〜半年程度かかる可能性があると案内しています。仮に50万円の不正利用に遭ったなら、50万円を先に払ったうえで半年待つということです。
この点を明記している会社が10社中2社しかないというのは、それ自体が発見でした。申告するときは、「今月の引き落としはどうなりますか」「調査にどのくらいかかりますか」の2つを必ず口頭で確認してください。
第7章 おわり — 最後に、選び方と今日の行動へ
選び方と、今日やる7つの設定
点数の高い順に乗り換える、という結論にはなりません
総合点は物差しのひとつにすぎません。第2章で見たとおり、年齢や買い方によって守るべきものが違うからです。目的別に整理します。
目的別・どこを見るべきか
🛒 ネット通販をよく使う(30〜40代に多い)
- 重視するのは壁3・壁4
- アプリ承認型の3Dセキュア → JCB/PayPayカード/セゾン
- 番号レス+用途別制限 → 三井住友カード/PayPayカード
- 可能ならネット専用のバーチャルカードを別に用意する
👴 通知に気づきにくい・家族が高齢
- 重視するのは壁6・壁7の期限
- 期限に余裕があるのは dカード(90日)
- ただし「発覚後30日」条件があることを共有しておく
- 通知が家族の端末にも届く設定を最優先で作る
🧊 いざというとき自分で止めたい
- 重視するのは可逆的な一時停止
- 戻せるタイプ → セゾンカード/オリコカード
- 三井住友カードは利用先別の制限+オートロックが細かい
- 楽天は24時間で自動解除、エポスは戻せない点に注意
💳 高額決済・生活費の引き落としに使う
- 重視するのは調査中の引き落とし
- 請求停止を明記 → 三井住友カード
- イオンカードはいったん引き落としと明記
- 生活費の口座とカードは分けておくと被害が波及しにくい
いま使っているカードを変える必要は、たいていありません
この記事の10社は、いずれも不正利用補償の制度を持っています。差があるのは条件のほうです。乗り換えより先に効くのは、いま持っているカードの通知設定と利用制限を、今日その場で見直すことです。第2章のとおり被害の9割超はネット経由で、そこは設定でかなり絞れます。
今日やる7つの設定(所要15分)
7つの壁に、それぞれ1つずつ対応しています
- 壁2:会員サイトのログインを、パスキーまたは生体認証に切り替える(対応していればパスワードだけの状態をやめる)
- 壁3:3Dセキュアの認証方法を確認する。アプリ承認が選べるなら、メール・SMSからそちらへ変更する
- 壁4:ネット専用のバーチャルカードが使えるか調べ、使えるなら定期課金をそちらへ移す
- 壁6:利用通知をアプリのプッシュ通知でオンにする。金額のしきい値を0円(全件)に設定できるならそうする
- 壁6:使わない機能を止める。海外利用、キャッシング、ネット利用――使っていない枠は0にしておく
- 壁7:登録している住所・電話番号・メールアドレスが最新かを確認する(未更新は失権の原因になります)
- 壁7:自分のカードの申告期限が何日で、どこから数えるのかをメモしてスマホに残す
もし不正利用に気づいたら
⏸ まずカードを止める(電話またはアプリ)
止めた時刻が記録に残ります。判断を待つ必要はありません。可逆的な一時停止がある会社なら、確信がなくても押して構いません。
📞 カード会社に連絡し、その場で3つを聞く
①申告期限はいつまでか ②必要な書類は何か ③今月の引き落としは止まるのか。とくに③は明記していない会社が8社あるので、口頭で確認する価値があります。
🚓 警察に届け出て、受理番号を控える
今回調べた10社のうち5社が明確に届出を条件にしており、他社も個別に求めることがあります。迷ったら届け出る、が正解です。
📝 何をして、何をしていないかを時系列で書き出す
第7章のとおり、結論を分けるのはあなたが認証を通したかどうかです。「このメールは開いたが、リンクは踏んでいない」「番号はどこにも入力していない」――記憶が新しいうちに書き残してください。後から思い出しても、正確さで負けます。
①被害の9割超は番号盗用で、家計のネット通販支出の81.4%がカード払いという構造がその背景にある。②10社の防御機能はJCBが最も充実しているが、機能の多さと補償されやすさは別物。③実際に分かれ目になるのは申告期限の起算日・認証を誰が通したか・調査中の引き落としの3点。
第8章 おわり — FAQへ
この記事に寄せられそうな疑問
採点の前提と、読み間違えやすい点について
結局、被害が少ないカード会社はどこですか?
公表されていないので、誰にも分かりません。日本クレジット協会が公表しているのは業界全体の合計額と内訳だけで、会社別の被害件数・被害率は開示されていません。「A社は被害が少ない」と書いている記事があれば、その根拠を確認してください。この記事が比べているのは公開されている防御の仕組みと補償条件であって、被害率ではありません。
JCBが1位なのに、補償の起算日が不利というのは矛盾していませんか?
矛盾していません。総合点は「防御の仕組みがどれだけ揃っているか」を測っています。JCBはパスキー・アプリ承認型3Dセキュア・ナンバーレスがすべて揃っており、そもそも被害に至らせない設計という点で最高評価になりました。一方で補償の起算日は「利用明細の通知後60日」で、届出日基準の他社とは数え方が違います。攻められにくさと、破られた後の取り戻しやすさは別の指標です。両方を見てください。
JCBブランドのカードを持っていますが、この記事の評価が当てはまりますか?
発行会社が株式会社ジェーシービーでなければ、当てはまりません。JCBブランドのカードは多くの会社が発行しており、会員規約も補償条件もその発行会社のものが適用されます。券面のブランドマークではなく、明細書や会員サイトに書かれている発行会社名を確認してください。これは他のブランドでも同じです。
e-Statの家計データは、クレジットカードだけの数字ですか?
厳密には違います。全国家計構造調査の区分は「クレジットカード,掛買い,月賦(電子マネー(ポストペイ)を含む)」で、後払い全体をまとめた区分です。ですので81.4%や33.2%という数字は、クレジットカード単体ではなく後払い決済の合計として読んでください。それでも「ネット通販だけ後払いが8割を占める」という構造は動きません。プリペイド型の電子マネーは別区分で、ネット通販では3.7%にとどまっています。
被害額が2024年より減ったのなら、状況は良くなっているのでは?
単純にはそう言えません。まず2026年集計から対象会社数が40社→48社に変わっており、前年との単純比較ができません。加えて2025年3月末にEC加盟店へのEMV 3-Dセキュア導入が求められた効果が出ている可能性がある一方で、攻撃側も認証を人間に通させる手口(フィッシング)へ移っています。第7章のとおり、この手口で成立した取引は補償から外れやすい。金額が減っても、個人が自己負担になる割合は増え得るという点に注意が必要です。
表の「―」は、その会社が対策していないという意味ですか?
違います。「公式に開示された情報からは確認できなかった」という意味です。社内では運用しているかもしれません。ただし利用者の立場では、読んでも分からない条件は、いざというとき当てにできないのも事実です。だからこの記事では、推測で埋めることを避けました。気になる項目があれば、その会社に直接問い合わせるのがいちばん確実です。
フィッシングに引っかかったら、もう諦めるしかないのでしょうか?
諦めないでください。「原則対象外」は「必ず補償されない」ではありません。多くの会社は最終的に個別調査で判断しており、手口の巧妙さ、利用者の行動、気づいてからの対応の速さが評価されます。やるべきことは第8章のとおりで、すぐ止める・すぐ届け出る・何をして何をしていないかを正確に伝える。この3つが、判断を分けます。
FAQ おわり — 出典と関連記事へ
出典(2026年8月22日時点)
- 一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の集計結果について」(2026年3月6日公表の2025年通年集計=510.5億円、内訳は偽造7.2億円/番号盗用475.4億円/その他27.9億円。および2026年6月30日公表の2026年1〜3月期集計=113.6億円、番号盗用106.0億円、対象48社)
- 経済産業省「クレジットカード・セキュリティガイドライン」改訂(EC加盟店は2025年3月末までに原則EMV 3-Dセキュアを導入、イシュアーはEC利用会員ベース80%の登録を目標)
- 総務省統計局「令和6年全国家計構造調査」政府統計コード0004039977/0004039780(家計収支に関する結果・購入地域,購入先/購入形態別1世帯当たり1か月間の支出)= 筆者集計
- 総務省統計局「家計消費状況調査」政府統計コード0003168295(インターネットを利用した1世帯当たり1か月間の支出・世帯主の年齢階級別・総世帯/2015〜2025年)= 筆者集計
- 総務省統計局「令和7年国勢調査」政府統計コード0004050417(人口・世帯数)= 全国世帯数57,124,507世帯
- 三井住友カード 会員規約・「カードの不正利用に対する補償制度について」(申告日から遡って60日、請求停止と間に合わない場合の約2週間での返金、家族・同居人・代理人による利用は対象外)、ニュースリリース「『デジタル認証アプリ』による公的個人認証サービス導入の件」(2026年4月27日)
- 株式会社ジェーシービー 会員規約・「MyJCB」パスキー案内・「J/Secure」・「カード不正利用時の補償」(非対面利用はご利用代金明細の通知後60日以内に届け出、暗証番号やパスワード等の認証情報が使用された場合は対象外)
- 楽天カード 会員規約・「カード利用お知らせメール」「カード一時利用停止サービス」・不正利用の補償に関する案内
- イオンフィナンシャルサービス イオンカード会員規約・「ご利用通知サービス」、イオン よくあるご質問「不正利用の調査を依頼しましたが、結果の連絡(返金)までにどのくらいかかりますか。」(調査中も通常どおり引落し/調査結果判明まで3か月〜半年程度/利用停止手続日を含めて61日前まで補償)
- PayPayカード 会員規約・「ご利用速報」「利用制限」、「オンラインのお買い物時の本人認証がPayPayアプリでの認証に切り替わります」(2026年7月〜順次/本人認証が未完了のカードはPayPay決済で利用不可)
- NTTドコモ dカード会員規約・「dカードの安全・安心への取り組み」・パスキーおよび公的個人認証の案内
- KDDI au PAY カード会員規約・「安心・安全の取り組み」・不正利用被害に関する案内
- クレディセゾン セゾンカード会員規約・「セゾンPortal」アプリの一時停止機能・不正検知に関する案内
- エポスカード 会員規約・「Visa Secure」「エポスNet」の被害申告窓口に関する案内
- オリエントコーポレーション オリコカード会員規約・「eオリコサービス」の利用停止機能・不正利用に関する案内
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