子どもが一番知りたいのは「ウイルスと不正アクセス」。そこだけ、大人が教えていない
国の調査を開けたら、大人の善意と子どもの関心が、きれいにすれ違っていました。
しかも「どう伝えてほしいか」まで、子どもたちは答えています。
⚡ 先に結論(5行)
- 学校で一番教えられているのは「ネット上のコミュニケーション(悪口・いじめ)」で68.3%。でも子どもが一番知りたいと答えたのは「セキュリティ(ウイルス対策・不正アクセス対策)」で28.7%。そしてそれを教わっているのは32.2%しかいません。
- 需要に対する供給の比を出すと、いびつさがはっきりします。コミュニケーション問題は需要の2.9倍教えられているのに、セキュリティは1.1倍。小学生に限れば0.84倍で供給不足です。
- もっと露骨な空白もあります。高校生の46.2%が生成AIを使っているのに、「教わった内容」の選択肢に新しい機器やサービスの項目はありません。一方Q9では22.4%が「新しい機器やサービスの危険性を知りたい」と答えています。
- そして最大のねじれ。トラブル経験は小学生32.3%→高校生63.3%と増えるのに、家庭のルールがある割合は83.8%→44.3%と逆に減ります。危なくなる学年ほど、家庭の守りが外れていく形です。
- あなたがやること:①高校生になってもルールを全部やめない(残すなら「困ったら相談」と「課金の上限」)②話すときは実例→対策の順で、短く(子どもの希望は実例53.9%・対策50.8%・短時間40.2%、「時間をかけて」はわずか7.2%)。
📌 一言でいうと ── 大人は「人を傷つけないこと」を熱心に教え、子どもは「自分の身の守り方」を知りたがっている。話が噛み合っていません。
📋 目次
📖 この調査は何か
ネット記事のアンケートではなく、国が毎年やっている全国調査です。
子ども3,060人に、直接聞いた結果
使うのは、こども家庭庁の「青少年のインターネット利用環境実態調査」(令和7年度)です。10歳から17歳までの子ども本人に、ネットの使い方・トラブル経験・家庭のルール・学んだこと・知りたいことを聞いた全国調査で、回答者は3,060人。
この記事がふつうの「子どものネット利用」記事と違うのは、「何を教わったか」と「何を知りたいか」を同じ調査で聞いている点を使うところです。ここを突き合わせると、大人と子どもの関心のズレがそのまま数字になります。
答えているのは子ども本人
保護者向けの調査は別にありますが、この記事で使うのは青少年本人が答えた分です。 だから「親がそう思っている」ではなく、「子どもがそう答えた」という重みがあります。 逆に、親の認識とはズレている可能性もあります。
複数回答なので合計は100%を超える
「教わったこと」「知りたいこと」「家庭のルール」は、あてはまるものを全部選ぶ形式です。 足すと100%を超えます。それぞれ独立した割合として読んでください。
2つの設問は、母数が違う
「何を教わったか」を聞かれたのは、「教わったことがある」と答えた85.2%の子だけ(2,607人)。 「何を知りたいか」は全員(3,060人)です。 この記事では全体を母数にそろえて計算し直して比べています。
📱 いまの子どものネットは、こうなっている
ズレの話に入る前に、前提となる実態を押さえます。
まず利用時間から。平日1日あたりの平均です。
⏰ 平日1日あたりのインターネット利用時間
| 学校種 | 平均 | 3時間以上 | 5時間以上 | 12時間以上 |
|---|---|---|---|---|
| 小学生 | 3時間54分 | 61.7% | 28.8% | 1.4% |
| 中学生 | 5時間24分 | 78.1% | 48.0% | 4.9% |
| 高校生 | 6時間44分 | 86.0% | 63.3% | 9.9% |
| 全体 | 5時間27分 | 76.0% | 47.6% | 5.6% |
※ 利用している機器の合計時間。ネット利用率は全体で99.0%です。
高校生の10人に1人(9.9%)が、平日に1日12時間以上ネットを使っています。睡眠と学校を除けば、ほぼ全部です。
次に、何に使っているか。ここに見逃せない項目が1つあります。
📊 インターネットで何をしているか(複数回答)
| 用途 | 全体 | 小学生 | 中学生 | 高校生 |
|---|---|---|---|---|
| 動画視聴 | 92.1% | 88.8% | 92.0% | 95.3% |
| 検索・調べもの | 86.0% | 77.2% | 88.8% | 90.6% |
| ゲーム | 84.9% | 85.5% | 87.1% | 81.8% |
| コミュニケーション(SNS・メール等) | 77.4% | 49.5% | 84.8% | 92.7% |
| 生成AI(ChatGPT等) | 29.5% | 8.6% | 30.8% | 46.2% |
| 買い物 | 18.6% | 3.2% | 13.1% | 38.5% |
高校生の46.2%が、すでに生成AIを使っています
この数字は、あとで効いてきます。子どもの約半数が使っている道具について、大人が教えている内容の中に項目がないからです。この点は第4章で詳しく見ます。
そしてトラブル経験。全体の50.5%が、何らかの経験があると答えています。
⚠️ ネットを使っていて経験したこと(複数回答)
| 経験 | 全体 | 小学生 | 中学生 | 高校生 |
|---|---|---|---|---|
| 迷惑メッセージ・メールが送られてきた | 25.5% | 8.4% | 26.2% | 39.6% |
| のめりこんで勉強に集中できない・睡眠不足 | 22.3% | 14.5% | 24.5% | 26.2% |
| 知らない人やお店からメッセージが来た | 20.3% | 9.8% | 21.5% | 28.3% |
| ネットで知り合った人とやりとりをした | 14.7% | 6.7% | 14.6% | 21.7% |
| SNS等に自分の情報を書き込んだ | 5.9% | 1.3% | 4.8% | 11.1% |
| 悪口やいやがらせを送られた | 5.5% | 4.0% | 5.9% | 6.3% |
| フェイクニュースを見たり広めたりした | 5.0% | 2.7% | 5.8% | 6.1% |
| ゲームやアプリでお金を使いすぎた | 4.0% | 2.2% | 4.5% | 4.6% |
| ネットで知り合った同性と実際に会った | 3.1% | — | 2.1% | 7.0% |
| ネットで知り合った異性と実際に会った | 1.2% | — | 0.6% | 2.8% |
| あてはまるものがある(計) | 50.5% | 32.3% | 53.0% | 63.3% |
高校生の63.3%が何らかのトラブルを経験し、7.0%はネットで知り合った同性と、2.8%は異性と実際に会っています。この学年で何が起きているかを頭に入れたうえで、次の章に進んでください。
🔀 ねじれ① 危なくなる学年ほど、ルールが消える
この調査でいちばん分かりやすく、いちばん深刻なズレです。
前の章で見たとおり、トラブル経験は学年が上がるほど増えます。では家庭のルールはどうか。逆に減ります。
📉 トラブルは増え、ルールは減る
2本の線が、きれいに交差しています。高校生では46.8%が「家庭でルールを決めていない」と答えました。約半数です。トラブル経験がいちばん多い学年で、家庭の守りがいちばん薄い。
これは「高校生にもルールを課すべきだ」という単純な話ではありません。年齢とともに自分で判断させるのは教育として自然ですし、ルールが減るのは自立の証でもあります。ただしその手放し方が問題で、次の表を見ると、何が最初に外れるかが分かります。
📊 家庭で決めているルールの中身(ルールがある家庭のみ・複数回答)
| ルールの内容 | 小学生 | 中学生 | 高校生 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 利用する時間 | 86.3% | 75.9% | 47.6% | ▼38.7pt |
| 利用する場所 | 38.5% | 26.3% | 15.5% | ▼23.0pt |
| メールを送る相手 | 35.4% | 24.6% | 19.3% | ▼16.1pt |
| 利用するサイトやアプリの内容 | 45.6% | 48.2% | 36.2% | ▼9.4pt |
| 困ったときはすぐ保護者に相談する | 53.1% | 52.5% | 50.8% | ▼2.3pt |
| ゲームやアプリの課金の上限 | 42.3% | 49.5% | 50.1% | ▲7.8pt |
| 利用者情報が漏れないようにする | 27.6% | 37.2% | 38.3% | ▲10.7pt |
最初に外れるのは「時間」「場所」「相手」──つまり行動を制限するタイプのルールです。86.3%から47.6%へ、38.7ポイントも落ちます。
一方で「困ったら相談する」(50.8%)「課金の上限」(50.1%)「情報を漏らさない」(38.3%)は、高校生でもほぼ維持されているか、むしろ増えています。行動の制限は緩めても、身を守るルールは残っている家庭が半数ある、ということです。
手放し方には、いい形があります
高校生になったら「時間の制限」をやめるのは自然です。問題は、そのときにルールを全部まとめて捨ててしまうこと。残すべきは、制限ではなく「困ったら相談する」という約束です。この項目だけは小学生から高校生までほとんど減っておらず、年齢に関係なく成立する数少ないルールだと分かります。
🎯 ねじれ② 教えている内容と、知りたい内容
ここがこの記事の本題です。
2つの設問を、同じ土俵に乗せる
この調査には「どんな内容を教わったか」(Q8)と「どんなテーマを知りたいか」(Q9)という、対になる設問があります。ただし前者の母数は「教わったことがある」と答えた85.2%の子だけなので、そのままでは比べられません。
そこでQ8の数値を全体(3,060人)に対する割合に直して並べます。「実際に教わった子の割合」と「知りたいと答えた子の割合」を、同じものさしで比較する形です。
📊 教わっている内容 vs 知りたい内容(全体を母数にそろえて比較)
| テーマ | 教わった | 知りたい | 供給 ÷ 需要 |
|---|---|---|---|
| 新しい機器やサービスの危険性 | 選択肢なし | 22.4% | 供給ゼロ |
| セキュリティ(ウイルス・不正アクセス) | 32.2% | 28.7%(1位) | |
| フィルタリング | 22.0% | 15.6% | |
| 電子商取引(課金・オークション) | 25.3% | 16.0% | |
| フェイクニュース・誤情報 | 43.5% | 26.3% | |
| 闇バイト・違法情報 | 55.1% | 26.9% | |
| プライバシー保護 | 53.4% | 24.2% | |
| 過度の利用(使いすぎ) | 50.7% | 19.0% | |
| ネット上のコミュニケーション(いじめ等) | 68.3%(1位) | 23.6% | |
| 児童の性的被害 | 49.2% | 16.7% |
※ 「教わった」はQ8(n=2,607)を全体3,060人に対する割合へ換算した値。「知りたい」はQ9(n=3,060)。
表の上と下で、話がまったく違います。図にすると、ズレの形がはっきりします。
🎯 大人が教えている量と、子どもが知りたい量
上のほうは左(教わった)の緑の帯が長く、下に行くほど左右が拮抗します。そしていちばん下の2行だけ、右の赤が左を上回るか、左が存在しません。
熱心に教えている
コミュニケーション2.9倍
性的被害2.9倍
使いすぎ2.7倍
足りていない
セキュリティ1.1倍
フィルタリング1.4倍
そもそも項目がない
新しい機器・サービス
知りたい22.4%
現実は先に進んでいる
高校生の46.2%が
すでに生成AIを使用
大人がいちばん熱心に教えているのは「人を傷つけないこと」(コミュニケーション問題68.3%)。これは大切なことですし、教える理由もはっきりしています。ただし需要の2.9倍という量が投じられています。
一方で子どもが最も知りたいと答えたのは「セキュリティ(ウイルス対策や不正アクセス対策)」の28.7%。これは全10テーマの中でトップです。それなのに、教わっている子は32.2%しかいません。供給と需要がほぼ同じ量しかない、唯一のテーマです。
もっと露骨なのが「新しい機器やサービスに関する情報、危険性」です。この項目はQ9(知りたいこと)にはあるのに、Q8(教わった内容)には存在しません。22.4%の子が知りたいと答えているテーマについて、そもそも「教わったかどうか」を聞く選択肢すら用意されていない。高校生の46.2%が生成AIを使っている現実と、これが並んでいます。
ただし、単純に「教え方が悪い」とは言えません
供給が需要を上回っているのは、すでに十分教わったから、これ以上知りたいと思わなくなった可能性もあります。むしろ教育が効いた結果かもしれません。
それでも、「もっとも知りたいと答えられたテーマだけが、もっとも教えられていない」という並びは説明が要ります。この記事はそこを問題として扱います。
🔍 ねじれ③ 小学生だけ、足りていない
学年別に割ると、もう一段はっきりします。
前の章の「供給÷需要」を、学校種ごとに計算し直します。
📊 学校種別の「供給 ÷ 需要」
| テーマ | 学校種 | 教わった | 知りたい | 供給÷需要 |
|---|---|---|---|---|
| セキュリティ | 小学生 | 20.7% | 24.5% | 0.84倍(供給不足) |
| 中学生 | 33.2% | 30.2% | 1.10倍 | |
| 高校生 | 41.4% | 30.7% | 1.35倍 | |
| フェイク・誤情報 | 小学生 | 29.8% | 25.2% | 1.18倍 |
| 中学生 | 46.1% | 28.0% | 1.65倍 | |
| 高校生 | 52.7% | 25.4% | 2.08倍 | |
| コミュニケーション | 小学生 | 57.5% | 28.0% | 2.05倍 |
| 中学生 | 71.7% | 24.2% | 2.96倍 | |
| 高校生 | 73.9% | 19.1% | 3.87倍 |
全10テーマ×3学年の組み合わせの中で、需要が供給を上回っている唯一の場所が「小学生のセキュリティ」(0.84倍)でした。小学生の24.5%が知りたいと答えているのに、教わっているのは20.7%です。
逆の極にあるのが「高校生のコミュニケーション」で3.87倍。73.9%が教わっているのに、知りたいと答えたのは19.1%。需要の4倍近くが投じられていることになります。
知りたいのに、教わっていない
セキュリティを教わったのは20.7%、知りたいのは24.5%。 フィルタリングに至っては教わったのが11.6%しかいません(学年で最低)。 一方でトラブル経験は32.3%と少なく、家庭のルールは83.8%と最も手厚い。 守られているうちに、知りたがっているという理想的な状態です。
すべてが動き出す学年
トラブル経験が32.3%→53.0%へ一気に跳ね上がります。 SNS利用は49.5%→84.8%、生成AI利用は8.6%→30.8%。 利用時間も3時間54分→5時間24分。 家庭のルールはまだ74.5%残っており、手を打てる最後の学年です。
いちばん危なく、いちばん自由
トラブル経験63.3%、平日6時間44分、12時間以上が9.9%、 ネットで知り合った人と実際に会ったのが同性7.0%・異性2.8%。 なのに家庭のルールは44.3%まで下がります。 知りたいテーマの1位はセキュリティ(30.7%)で、関心は本人にあります。
学校96.5%、親は学年とともに退場
危険性を学んだ機会は学校が96.5%で圧倒的。 一方、親からと答えたのは小学生56.1%→中学生41.8%→高校生29.2%と半減します。 代わりに増えるのがインターネット経由(10.5%→20.1%)。 高校生はネットで自分で調べて学んでいるのが実態です。
🗣️ 子ども自身が答えた「どう伝えてほしいか」
この調査の親切なところは、伝え方まで聞いている点です。
Q10で「どのような内容・形式で行われるのが良いと思いますか」と聞いています。答えはかなりはっきりしていました。
📊 望まれる伝え方(複数回答)
| 希望 | 全体 | 小学生 | 中学生 | 高校生 |
|---|---|---|---|---|
| 実例を紹介してほしい | 52.4% | 55.4% | 53.6% | |
| 対策を紹介してほしい | 50.3% | 54.1% | 47.3% | |
| 短時間で説明してほしい | 37.1% | 42.3% | 40.6% | |
| 映像教材の視聴形式が良い | 39.7% | 41.3% | 36.2% | |
| 詳しく解説してほしい | 27.4% | 26.1% | 18.1% | |
| スマホ等を使った機器体験型 | 17.3% | 20.8% | 23.3% | |
| 質問が可能な講義形式 | 15.7% | 11.7% | 6.4% | |
| 時間をかけて説明してほしい | 9.5% | 7.6% | 4.7% |
答えは「実例を、対策とセットで、短く」です。「短時間で」が40.2%に対して「時間をかけて」は7.2%。5.6倍の差があります。高校生に限れば40.6%対4.7%で、差は8.6倍まで開きます。
学年が上がるほど、「じっくり」が嫌われる
「質問が可能な講義形式」は小学生15.7%→高校生6.4%と半分以下に。「詳しく解説してほしい」も27.4%→18.1%へ。代わりに増えるのが「スマホ等を使った機器体験型」(17.3%→23.3%)です。
つまり小学生には対話で、高校生には手を動かす形で。年齢によって届く形式そのものが変わることを、子どもたち自身が答えています。
🏠 今日からできること
調査の数字から素直に導けることだけを書きます。
🧒 小学生の保護者へ
- いまがセキュリティの教えどき(唯一の供給不足0.84倍)
- フィルタリングは教わった子が11.6%しかいない。家庭で補う
- 親から学んだ子が56.1%と最も高い学年。声が届く
- ルールは83.8%と手厚い。この状態のうちに中身を足す
- 望まれる形式は「質問できる対話」(15.7%)が学年最高
🧑 中学生の保護者へ
- トラブルが32.3%→53.0%へ急増する学年
- SNS利用が49.5%→84.8%、生成AIも30.8%に
- ルールはまだ74.5%残る。手を打てる最後のタイミング
- 「利用者情報を漏らさない」ルールは27.6%→37.2%と伸びる
- 「対策を知りたい」が54.1%で全学年最高。話が通じる
👦 高校生の保護者へ
- ルールを全部やめない。残すのは「困ったら相談」(50.8%が維持)
- 時間の制限は外してよい(47.6%まで下がるのが実態)
- 課金の上限(50.1%)と情報保護(38.3%)は残す
- 親から学ぶ子は29.2%に半減。長い説教は届かない
- 「時間をかけて説明」を望むのは4.7%だけ
🏫 教える立場の人へ
- 学校は学びの機会の96.5%を担っている
- コミュニケーション問題はすでに需要の2.9倍供給済み
- 不足しているのはセキュリティとフィルタリング
- 生成AIなど「新しいサービス」は選択肢にすら無い
- 形式は実例→対策→短時間。映像教材も39.2%が支持
💬 「困ったら相談して」を、明示的に約束にする
この項目だけは小学生53.1%・中学生52.5%・高校生50.8%とほとんど減りません。年齢に関係なく成立する、数少ないルールです。まだ約束していない家庭が半数あります。
💳 課金の上限だけは、高校生でも残す
「ゲームやアプリでお金を使いすぎた」経験は全体4.0%。課金の上限ルールは唯一、学年とともに増える制限(42.3%→50.1%)で、実際に効いていると考えられます。
🎬 説明は「実例 → 対策」の順で、5分で終える
実例53.9%、対策50.8%、短時間40.2%。逆に「時間をかけて」は7.2%。ニュースになった事件を1つ挙げて、「じゃあどうするか」を1つ渡す。それ以上は届きません。
🤖 生成AIの話を、一度だけしておく
高校生の46.2%、中学生の30.8%が使っています。それなのに教育の側には項目すらありません。「入力した内容がどこへ行くか」「答えが間違っていることがある」の2点だけでも、いま誰も言っていない話です。
子どもに「ウイルスとか乗っ取りとか、気になったことある?」と一度聞いてみてください。この調査では、それがいちばん多く選ばれた「知りたいテーマ」でした。長く説明する必要はありません。聞いて、実例をひとつ話して、対策をひとつ渡す。それだけで、いま最も薄い部分が埋まります。
📝 注意点とまとめ
この数字を強く読みすぎないために、限界を書いておきます。
「知りたいことはない」が30.7%で最多
Q9で単独最多の回答は、実は「特に知りたいことはない」の30.7%です。 各テーマの数字が低めなのは、そもそも関心が薄い子が3割いることの反映でもあります。 「需要がある」と読みすぎないでください。
供給過剰=失敗、ではない
コミュニケーション問題の「2.9倍」は、十分に教わった結果、これ以上知りたいと思わなくなった可能性があります。 教育が効いた証拠かもしれません。過剰と不足は、良し悪しの評価ではありません。
「供給÷需要」は筆者の計算
調査が公表している指標ではありません。母数の違う2つの設問を、 Q7-1の「教わった率」を使って全体ベースに換算して比較しています。 あくまで傾向をつかむための計算です。
選択肢が対になっていない
「新しい機器やサービスの危険性」はQ9にだけあり、Q8にはありません。 これは設問設計上の差であって、「まったく教えられていない」ことの証明ではありません。 ただし選択肢に入れる発想がなかったことは事実として残ります。
トラブル経験は自己申告
本人が「あった」と認識したものだけです。言いにくいことは過少に出ると考えるのが自然で、 特にネットで知り合った人と会った経験や、性的な被害に関わる項目は実態より低く出ている可能性があります。
親側の認識は別調査
この記事は子ども本人の回答だけを使っています。同じ調査には保護者編もあり、 「ルールを決めている」の割合は親子で食い違うことが知られています。 家庭の実態を断定するものではありません。
ここまで見てきた3つのねじれを、もう一度まとめます。
危なくなる学年ほど、家庭のルールが消える
トラブル経験は32.3%→63.3%と増えるのに、ルールがある家庭は83.8%→44.3%へ。最初に外れるのは「時間」「場所」「相手」の制限でした。
教えている内容と、知りたい内容が噛み合っていない
コミュニケーション問題は需要の2.9倍、セキュリティは1.1倍。子どもが最も知りたいテーマだけが、最も供給の薄いテーマでした。
小学生のセキュリティだけ、需要が供給を上回る
30通りの組み合わせの中で唯一の0.84倍。守られている学年のうちに、本人が知りたがっている。教えどきはここです。
伝え方の答えは、子どもが持っている
実例53.9%、対策50.8%、短時間40.2%。「時間をかけて」は7.2%。長い話は望まれていません。
この調査を読んで意外だったのは、子どもたちが「自分の身の守り方」を知りたがっていたことです。大人はつい「人を傷つけてはいけない」「使いすぎてはいけない」という話をします。それは必要なことですが、需要の3倍近くが投じられている一方で、「乗っ取られたらどうなるのか」「ウイルスってどう防ぐのか」という問いには、ほとんど誰も答えていません。
そして高校生の46.2%が生成AIを使い、9.9%が1日12時間ネットに接している現実に対して、教育の側の選択肢は追いついていません。子どもが先に行っていて、大人が後ろから別の話をしている──この調査が映しているのは、そういう構図でした。
やることは2つだけです。①「困ったら相談して」を、高校生になっても外さない ②話すときは、実例をひとつ、対策をひとつ、5分で。どちらも調査の数字が「これなら届く」と示しているやり方です。


コメント