Whoisで詐欺サイトの運営者は分かる?無料でできるドメイン調査入門

🔎 ドメイン調査 / 初心者向け

Whoisで詐欺サイトの運営者名は分かるのか?

結論から言うと、名前はまず出てきません。でも、がっかりするのはまだ早い。実際に調べてみると、名前の代わりに「もっと役に立つもの」が見つかります。専門知識ゼロの方に向けて、無料でできるドメインの調べ方を、実際の画面をお見せしながら順番に説明します。

🚨 いま怪しいサイトに遭ってしまった方へ。まず連絡先だけ知りたい場合は、下のボタンから飛べます。

通報先の一覧へ →

「注文した覚えのない請求メールが来て、リンクを開いてしまった」「見たことのない通販サイトで買い物をしたら、商品が届かない」「この会社、本当に実在するのだろうか」

そんなとき、多くの方が最初に思うことがあります。「このサイトを作ったのは誰なのか、調べられないものか」

実は、インターネットの住所であるドメインexample.com のような文字列)には、「誰が登録したか」を調べるための公開の仕組みがあります。これを Whois(フーイズ) と言います。無料で、誰でも、いますぐ使えます。

ところが——この記事でいちばんお伝えしたいのは、そこではありません。実際に調べてみると、運営者の名前はほぼ確実に出てこないのです。しかもそれは「あなたの調べ方が悪いから」ではなく、世界中のドメインでそうなるように、ルールで決まっているからです。

この記事では、その理由をやさしく説明したうえで、名前の代わりに何を見ればよいのか、そして最終的にどこへ連絡すればよいのかまで、順番にご案内します。むずかしい言葉はできるだけ使いません。専門用語が出てくるときは、必ずその場で日本語に言いかえます。

⚠️ この記事の前提と、大切なお願い
本文の内容は、2026年8月時点で公式の資料や実際の画面から確認できたものです。ドメインの制度は改定されることがあるため、実際に調べる際は最新の表示をご確認ください。
そして最も大切なお願いです。この記事は「犯人を突き止めるため」のものではありません。 後半で詳しく説明しますが、個人が運営者を特定して公表しようとすると、思わぬかたちであなた自身が加害者になってしまう危険があります。目指すのは特定ではなく、正しい窓口に伝えることです。

🎯 読む前に、1問だけ

この画面、あなたはどう思いますか?

まだ何も説明していない状態で、あえて1問だけ出します。直感でお答えください。正解しても不正解でも、この先の説明がぐっと分かりやすくなります。

読み取り訓練を読み込んでいます…

CHAP1

第1章 / 全8章

🔍 まず結論 ── 名前の欄は空っぽでした

実際に調べた画面を、そのままお見せします

説明の前に、実物を見ていただくのが早いと思います。次は、ある .net のドメインを実際に調べたときに出てきた画面を、同じ形で再現したものです(ドメイン名は、資料用に予約されている example.net に置きかえています)。

▶ ICANN Lookup での表示(2026年8月に実際に調べた結果を再現)

ドメイン名EXAMPLE.NET
登録日(Created)2004-06-10
有効期限(Expiration)2027-06-10
最終更新(Updated)2026-06-04
登録者名(Name)The RDAP server redacted the value
登録者の組織(Organization)The RDAP server redacted the value
登録者の電話(Phone)The RDAP server redacted the value
個人か法人か(Kind)individual
州・県(Address)MA(一部のみ表示)
国(Country)US
登録業者(Registrar)easyDNS Technologies, Inc.
登録業者の連絡先abuse@example.com

いかがでしょうか。名前・組織・電話番号の欄には、どれも同じ英語の一文が並んでいます。

The RDAP server redacted the value
(登録情報の提供元が、この値を伏せました)

これが2026年現在の、ごく普通の表示です。あなたの操作が間違っていたわけでも、そのサイトが特別に何かを隠しているわけでもありません。世界中の .com.net が、原則としてこうなります。

💡

同じドメインでも、使う道具によって書き方が変わります

ここでつまずく方がとても多いので、先にお伝えします。「伏せました」の書き方は、ひとつではありません。2026年8月に、まったく同じドメインを4つの方法で調べたところ、こうなりました。

ICANN Lookup(この記事で使う方法)→ The RDAP server redacted the value
ある登録業者の古い方式の窓口REDACTED FOR PRIVACY
.org を管理する団体の窓口REDACTED
加工前のデータ → 項目そのものが消えている(別枠で「何を伏せたか」だけが記録されています)

意味はどれも同じ「伏せました」です。手元の画面と解説の文字が違っても、慌てないでください。よその解説記事で見かける「REDACTED FOR PRIVACY」も、いまも使われている書き方のひとつです。

さて、ここで多くの方はこう思います。「名前が隠れているなんて、やっぱり怪しいサイトなのでは?」

——実は、これが最初の落とし穴です。次の章で、その理由を説明します。

第1章 おわり

CHAP2

第2章 / 全8章

🏢 Whoisとは何か ── ドメインの「登記簿」

登場人物は3者だけ。ここを押さえれば全部つながります

Whois(フーイズ)は、英語の「Who is(誰ですか)」から来た名前です。ひとことで言えば、ドメインの登記簿のようなものです。土地や建物に登記簿があるように、インターネットの住所にも「いつ、誰が、どこを通して登録したか」の記録があります。

登場するのは3者だけです

ここだけは、ぜひ覚えて帰ってください。以降の説明がすべて楽になります。

▶ ドメインをめぐる3者の関係
呼び方たとえるなら役割
登録者
Registrant
部屋を借りている人 実際にそのドメインを使っている人・会社。詐欺サイトの場合、ここが犯人にあたります。そして、ここの情報が伏せられます。
登録業者
Registrar
不動産の仲介会社 ドメインを販売・管理している会社。日本なら「お名前.com」などが有名です。ここの情報は必ず公開されます。
管理団体
Registry
法務局 .com.jp といった末尾ごとに、全体の台帳を管理している組織です。
⚠️

「登録者」と「登録業者」を取りちがえないでください

この2つは、カタカナだと「レジストラント」と「レジストラ」で、たった2文字違いです。この記事の結論は「登録は隠れる。でも登録業者は必ず分かる。だから通報できる」というものなので、ここを取りちがえると話が真逆になってしまいます。
この記事では、混乱を避けるためカタカナを使わず「登録者」「登録業者」と書き分けます。

なぜ、名前が隠されるようになったのか

昔は、登録者の氏名・住所・電話番号がそのまま公開されていました。しかしそれでは、ドメインを1つ取っただけで自宅の住所が世界中に公開されてしまいます。営業の電話がかかってくる、嫌がらせを受ける、といった実害も起きました。

そこで、個人情報を保護する国際的なルールづくりが進み、いまではドメインを管理する国際組織(ICANN)の方針として、登録者の個人情報は原則として伏せることになっています。しかもこの方針には、こういう趣旨の条文があります。

📜

法律で義務づけられていなくても、伏せてよい

ICANNの「登録データ方針」第9.2.1項では、法律上の要求がある場合には伏せなければならず、加えて「商業上もっともな理由」があれば伏せてもよいとされています。

つまり、ヨーロッパの個人情報保護法が直接かかる相手でなくても、登録業者の判断で伏せられるということです。これが、日本を含む世界中のドメインで一律に名前が隠れている理由です。

ここが大事なところです。名前が隠れているのは「後ろ暗いから」ではなく「そういう決まりだから」です。あなたが今日ドメインを1つ買っても、まったく同じように伏せられます。

🚨 だから、こう覚えてください
「名前が伏せられている」ことは、危険を見分ける材料になりません。 ほぼ全部のドメインが伏せられているので、これで区別することは原理的にできないのです。もしどこかで「Whoisが非公開なら詐欺サイト」という説明を見かけたら、それは今の実態に合っていません。

ひとつ安心していただきたいこと

「調べたら、相手にバレるのでは?」と心配される方がとても多いのですが、バレません。

Whoisで調べるという行為は、そのサイトを開くこととはまったく別のことです。あなたが問い合わせているのは登記簿を管理している台帳であって、相手のサイトには一切つながりません。ですから、怪しいサイトを「開かずに」調べられる、いちばん安全な最初の一手でもあります。

第2章 おわり

CHAP3

第3章 / 全8章

👁️ 隠れる項目と、隠れない項目

全部が隠れるわけではありません。むしろ半分以上は見えます

「名前が出ない」と聞くと、画面がまっさらになってしまう印象を受けるかもしれません。でも実際は違います。隠れるのは「個人が特定できる情報」だけで、それ以外はきちんと公開するように決められています。

次の表が、この記事でいちばん覚えていただきたいものです。左から順に、「必ず見える」「たいてい見える」「隠れる」の3段階になっています。

▶ 表1:Whoisで見えるもの・見えないもの(2026年8月時点)
見え方項目説明とひとこと
必ず見える 登録日/有効期限/最終更新日/登録業者名登録業者の連絡先(メール・電話)/ドメインの状態 公開が義務づけられている項目です。この記事で使う材料は、ほぼ全部ここに入っています。
たいてい見える ネームサーバ/情報が更新された日 登録されていれば公開されます。ネームサーバは「そのドメインが今どこを向いているか」を示す設定先です。
これだけ見える 登録者の州・県登録者の国/個人か法人かの区別 住所のうち、州・県と国だけは伏せてはいけないと決められています。意外に思われるかもしれませんが、ここは例外です。
隠れる 登録者の氏名/番地/市区町村/電話番号/メールアドレス いわゆる個人情報。ここが「名前が出ない」の正体です。メールは匿名の問い合わせフォームに置きかえられます。
📧

いちばん下の「隠れる」欄に、実は救いがあります

登録者のメールアドレスは伏せられますが、代わりに匿名の問い合わせフォームへのリンクが表示される決まりになっています。第1章の画面にあった Contact Uri がそれです。相手が誰かは分からないまま、連絡だけは取れるという設計になっているわけです。

🔍

ときどき、名前が出てくることもあります

正直にお伝えしておきます。調べ方によっては、登録者の名前や会社名が表示される場合があります。実際、この記事で例に使ったドメインも、古い方式の窓口で調べ直すと、名前と会社名だけは読める状態でした。

ただし、そのときでも住所・市区町村・電話番号はきちんと伏せられていました。また、名前が出るかどうかは登録業者や登録者本人の設定しだいで、こちらから選べるものではありません。「運が良ければ名前も見える。でも、当てにはしない」くらいに考えておくのが正解です。

ここまでをまとめると、こうなります。「誰が」は基本的に隠れる。しかし「いつ・どこを通して・どういう状態か」は全部見える。 次の章では、この見える情報だけで何が言えるのかを見ていきます。

第3章 おわり

CHAP4

第4章 / 全8章

📊 では何を見るのか ── 6つの項目

それぞれ「根拠の強さ」が違います。ここを混ぜないことが大切です

名前が出ないと分かったところで、本題です。見える情報だけで、何がどこまで言えるのか。

ここで一番やってはいけないのが、すべての項目を同じ重さで扱ってしまうことです。実は6つの項目には、はっきりとした強弱があります。強い材料と弱い材料を混ぜると、判断がぶれます。

① 登録日 ── いちばん強い材料

そのドメインが、いつ生まれたか。これが最も役に立ちます。数日前や数週間前に登録されたばかりのドメインが、大企業そっくりのログイン画面を出していたら、それは強い危険信号です。

実際、独立系の調査機関インターアイル社が2026年6月に公表した分析では、2025年に新しく登録された約8,500万件のドメインのうち、およそ1割(850万件)が悪質なものとして遮断対象になっていました。同社は「実際には2割近い可能性がある」とも述べています。

また、2026年7月にオックスフォード大学の学術誌に掲載された研究では、悪意をもって新しく登録されたドメインの寿命は、中央値でわずか1日でした。登録してすぐ使い、すぐ捨てる。それが今の詐欺サイトの実態です。

🚨 ここが、この記事でいちばん大事な一文です
「登録が新しい=強い危険信号」は言えます。しかし「登録が古い=安全」は言えません。
この2つは、同じことの裏返しに見えて、まったく別の話です。理由は次の章で説明します。

② 最終更新日 + ネームサーバ ── 組み合わせて意味が出る

ネームサーバとは、そのドメインが「今どこを向いているか」を決める設定先のことです。引っ越し先の住所、と考えると分かりやすいかもしれません。

単独ではあまり意味がありませんが、「10年前に登録された古いドメインなのに、つい数日前に更新されていて、しかも見慣れない設定先に変わっている」——この組み合わせが出てきたら要注意です。持ち主が変わった、あるいは乗っ取られた可能性を示すからです。

③ 登録業者 ── 判断材料であり、そして通報先

どの会社を通して登録されたか。悪質な登録が特定の業者に集中する傾向は、調査でも繰り返し指摘されています。ただ、それ以上に大事なのはここが唯一の「連絡できる相手」だということです。これは第8章で扱います。

④ 登録国・州 ── 参考程度に

伏せられないので必ず見えますが、これは登録者が自分で申告した住所です。いくらでも嘘が書けます。「海外だから怪しい」という単純な見方は危険です。世界中の正規サービスの多くもアメリカ登録ですし、そもそも詐欺サイトの設置場所として最も多いのはアメリカだという調査結果もあります。

⑤ 有効期限 ── 昔から言われているが、弱い

「有効期限がきっかり1年後なら使い捨て」という説を見かけます。実はこれ、出どころは2015年の研究用データで、もう11年前のものです。

それに、まっとうなドメインの多くも1年契約です。販売会社の初期設定がたいてい1年なのですから、当然といえば当然です。これ単独では何も言えません。他の材料と合わせて、はじめて意味を持ちます。

⑥ ドメインの状態 ── 静かなサインが出ていることがある

画面に clientTransferProhibited(移転禁止)などの英語が並ぶ欄です。これは持ち主が勝手に移されないようロックをかけている状態で、きちんと管理されている証拠のひとつになります。逆に clientHold と出ていたら、すでに何らかの理由で停止させられているという意味です。

▶ 表2:根拠の強さで分けた早見表(この記事の中心)
強さ材料読み方
強い根拠 登録日が極端に新しい(数日〜数週間)/古いのに最終更新とネームサーバが直近で変わっている これだけで警戒する理由になります。他の材料を待たずに、リンクを踏まない・情報を入れない判断をしてよい水準です。
補強材料 有効期限が1年ちょうど/移転ロックがかかっていない/登録業者に悪質な登録が集中している 単独では決め手になりません。強い根拠と一緒に出てきたときだけ、判断を後押しします。
判定できない 登録者名が伏せられている/鍵マーク(https)が付いている/末尾が見慣れない どれもほぼ全部のサイトに当てはまるため、区別する力がありません。ここで止まらず、他の調べ方へ進みます。
広まっている誤り 「伏せられている=怪しい」/「古い=安全」/「変な末尾=詐欺」 いずれも今の実態に合いません。信じたまま使うと、本物を疑い、偽物を見逃します。

第4章 おわり

🎮 体験してみる / 全6問

Whois読み取り訓練

ここまでの内容を、実際の画面で試してみましょう。判定は3つから選びます。「危険」「安全」だけでなく、「これだけでは決められない」という選択肢があるのがこの訓練の特徴です。判断を保留できることも、立派な技術です。

読み取り訓練を読み込んでいます…

CHAP5

第5章 / 全8章

🚫 やってはいけない3つの読み方

訓練で引っかかった方へ。答え合わせをします

ここまでの説明で、いくつか「あれ?」と思われた箇所があるかもしれません。それはごく自然なことです。この3つは、人間の直感に逆らうので、知識として知っていても、実際の画面を前にすると再発します。

誤り その1:「伏せられている=後ろ暗い」

第2章で説明したとおり、伏せるのは世界共通の初期設定です。あなたがドメインを買っても同じように伏せられます。ほぼ全部が該当するものは、区別する道具になりません。

むしろ逆に、この誤解を持ったままだと、まっとうな個人商店や小さな会社を「怪しい」と切り捨ててしまいます。これも立派な被害です。

誤り その2:「登録が古い=安全」

これが最も根深い誤解です。数字で見てみましょう。

📉

「新しい」を追いかけるだけでは、2〜3割を取りこぼします

インターアイル社の年次調査(調査期間 2024年5月〜2025年4月)によると、フィッシングに使われたドメインのうち77%は犯罪者が新しく登録したものでした。

ここで大事なのは、その裏側です。残る23%は「犯罪者が新しく登録したものではない」ドメインでした。もともと世の中にあったドメインが使われた、ということです。さらにオックスフォード大学の研究(2026年7月)では、25.7%が「過去に誰かが使っていたドメインの取り直し」だったと報告されています。

つまり、犯罪者が使う手は3つあります。新しく取る/期限切れの古いドメインを買い直す/他人のサイトを乗っ取る。後ろの2つでは、登録日は古いままです。

ですから、正しい理解はこうなります。

登録日は「危ないぞ」と教えてくれる。
でも「大丈夫だよ」とは言ってくれない。

誤り その3:「見慣れない末尾=詐欺」「鍵マーク=安全」

.top.xyz といった末尾は「危険率が高い」と紹介されることがあります。これ自体は統計として間違いではありません。ただし「率」の話です。

どういうことか。仮に .xyz の危険率が高くても、世の中に存在する危険なサイトの数そのものは、圧倒的に .com が多いのです。母数が桁違いだからです。「変な末尾だけ気をつければいい」と覚えると、.com の詐欺サイトを素通りしてしまいます。

そして鍵マーク(https)です。これも、もう安全の証明にはなりません。先ほどのオックスフォード大学の研究では、悪意をもって登録されたドメインの79.3%が、すでに暗号化の証明書を取得していました(その多くは無料で発行できるものです)。

🔗 関連記事

鍵マークは、誰でも無料で10分で付けられます

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第5章 おわり

CHAP6

第6章 / 全8章

🇯🇵 日本のドメインは事情が違う

じつは、日本には「隠せないドメイン」があります

ここまでは .com.net といった世界共通のドメインの話でした。末尾が .jp のドメインは、まったく別のルールで動いています。そして日本の読者にとって、これはかなりの朗報です。

.jp は日本のJPRSという組織が管理しており、国際組織の方針の外にあります。しかも .jp の中でも、種類によって公開のされ方が3段階に分かれます。

▶ 表3:3つのドメインの見え方くらべ
種類見えるもの隠せるか
世界共通
.com / .net など
example.com 登録日・登録業者・状態など。名前は伏せられる 初期設定で伏せられます
汎用JP
誰でも取れる .jp
example.jp 登録者名、公開連絡窓口(住所・電話・メール)、登録年月日、有効期限 非表示にする設定が使えます
属性型JP
co.jp / or.jp / ac.jp / go.jp
example.co.jp 組織名・組織の読みがな・組織種別、ネームサーバ、登録年月日、状態 非表示設定の対象外=隠せません

💡 いちばん実用的な話:co.jp は会社名が必ず出ます

co.jp日本国内で登記を行っている会社しか登録できません。しかも「原則、一つの組織で一つのドメイン名」という決まりがあります(条件を満たせば複数取れる制度もありますが、例外扱いです)。そのうえ非表示にする機能が使えません。ですから、co.jp のドメインを調べれば、運営している会社の正式名称がそのまま出てきます。

実際に管理団体自身のドメインを調べると、「株式会社日本レジストリサービス」という組織名が、読みがなと組織種別つきで表示されます。この記事の中で、運営者の名前がはっきり分かる唯一のケースです。

ですから、通販サイトなどを見ていて「これは co.jp だな」と気づいたら、それだけで一歩安心してよい材料になります。逆に、日本の大企業を名乗っているのに末尾が見慣れない海外のドメインだった場合は、組み合わせとして不自然だということです。

⚠️ ただし、ここでも「古い=安全」の罠に注意
co.jp で会社名が出たとしても、それは「実在する会社が登録した」ということまでしか意味しません。会社そのものが休眠していたり、サイトが乗っ取られていたりする可能性は残ります。安心材料のひとつ、という位置づけにとどめてください。

第6章 おわり

CHAP7

第7章 / 全8章

🖱️ 自分で調べてみる(3ステップ)

無料・登録不要・3分で終わります

ここからは実践です。おすすめは、ドメインを管理している国際組織が自分で運営している「ICANN Lookup」という無料のページです。広告もなく、会員登録も要りません。

  1. 調べたいドメインを、正確に書き写す

    アドレス欄の https:// の後ろから、最初の / までの部分です。怪しいサイトを開いてコピーするのではなく、届いたメールやSMSの文面から書き写してください。開かずに調べられるのがこの方法の利点です。

  2. ICANN Lookup を開いて、入力する

    lookup.icann.org を開き、入力欄にドメインを入れて「Lookup」を押すだけです。数秒で結果が出ます。英語のページですが、入力するのはドメインだけなので心配いりません。

  3. 6つの欄だけ見る

    登録日(Created)/有効期限(Expiration)/最終更新(Updated)/登録業者(Registrar)/通報先(Abuse contact email)/ネームサーバ。この6つ以外は、いま見なくて大丈夫です。

つまずきやすいところ、先に言っておきます

🇯🇵

.jp を入れると、確認画面が出ます

.jp は新しい方式にまだ対応していないため、「古い方式で照会しますが、よろしいですか」という確認画面が表示されます。同意すれば調べられますが、.jp を調べるなら、日本の管理団体JPRSのページ(whois.jprs.jp)を使ったほうが早くて確実です。日本語ですし、co.jp の組織名もそのまま読めます。

🛠️

「DomainTools」はどうですか?とよく聞かれます

ドメイン調査で有名な海外のサービスに DomainTools があります。過去の登録情報の履歴をたどれるなど、専門家向けの強力な機能を持っています。

ただし個人の方が最初に使う道具としては、会員登録をしていない状態だと画像認証(ロボットでないことの確認)を求められ、そこで手が止まりがちです。さらに履歴をさかのぼる機能など、肝心の部分は有料です。まずはICANN Lookupで十分で、物足りなくなってから検討すれば間に合います。

▶ 主な調べ方の比較
サービス料金登録向いている用途
ICANN Lookup無料不要最初の1本。世界共通ドメイン全般。広告なし・公式運営で安心
JPRS WHOIS無料不要.jp を調べるなら断然こちら。日本語表示で co.jp の組織名も読める
DomainTools一部有料画像認証あり過去の登録履歴をたどりたい専門家向け
urlscan.io無料枠あり不要Whoisで足りないとき。サイトを開かずに中身を見る
VirusTotal無料枠あり不要そのサイトが既に危険と報告されているかを確認
🛑

これだけはやらないでください

プログラムを使って大量に自動照会することは、どのサービスでも規約で禁止されています。短時間に何度も繰り返すだけでも接続を止められます。手で1件ずつ調べるぶんには、まったく問題ありません。

第7章 おわり

CHAP8

第8章 / 全8章

📮 分かるのは「誰か」ではなく「どこへ言うか」

この記事の結論です

ここまで読んでくださった方は、少しがっかりしているかもしれません。結局、運営者の名前は分からなかったのですから。

でも、もう一度だけ第1章の画面を思い出してください。いちばん下に、伏せられていない連絡先がありました。

▶ 伏せられなかった、たったひとつの連絡先

登録者名The RDAP server redacted the value
登録業者(Registrar)easyDNS Technologies, Inc.
通報先(Abuse contact email)abuse@example.com
通報先(Abuse contact phone)tel:+1.416xxxxxxx

これは、そのドメインを販売・管理している会社の「苦情窓口」です。そして重要なのは、この欄が公開を義務づけられていて、伏せることが許されていないということです。

さらに2024年4月からは、ドメインの販売会社は悪用の通報を受けたら受領の連絡を返し、必要な対応を速やかに取ることが義務になりました。つまりここは、詐欺サイトのドメインそのものを止めてもらうための、唯一の直通回線なのです。

運営者が誰かは、あなたが知る必要はありません。
知る必要があるのは「どこへ言えばいいか」だけです。

日本の通報窓口(2026年8月時点)

ここが実は、多くの解説記事が古くなっている部分です。ここ数年で窓口が2回変わっています。

▶ 表4:状況別・通報先の使い分け
こんなとき連絡先ひとこと
偽のログイン画面を見つけた
(まだ何も入力していない)
フィッシング110番
【インターネット・ホットラインセンター】
internethotline.jp
2024年7月29日から、各都道府県警察の窓口がこちらに一本化されました。「ID・パスワードの入力を求める偽サイト」が対象と明記されています
統計や注意喚起に役立ててほしい フィッシング対策協議会
antiphishing.jp
現在は受領の返信を省略しているので、返事が来なくても届いています。ご安心ください
通販サイトで商品が届かない
偽ショッピングサイト
悪質ECサイトホットライン(JC3)
jc3.or.jp
2025年5月30日に別団体から日本サイバー犯罪対策センターへ移りました。古い案内が残っているサイトが多いので注意
お金が動いた
送金・カード情報の入力・不正利用
最寄りの警察署/警察庁のオンライン受付窓口
不正送金なら全国銀行協会にも相談
先にカード会社・銀行へ連絡して止めるのが最優先。届出の受理番号は必ず控えてください
「ウイルスに感染」の偽警告
不正ログインの心配
IPA 情報セキュリティ安心相談窓口
03-5978-7509(平日10時〜17時)
anshin@ipa.go.jp
技術的な相談ならここ。国の機関が無料で対応してくれます
返金・解約でもめている 消費者ホットライン 188(いやや) お住まいの地域の消費生活センターにつながります
会社の端末で起きた JPCERT/CC/社内の情報システム担当 まず社内へ報告を。個人で抱え込まないでください
ドメインそのものを止めたい Whoisに出ていた登録業者の通報先
(Abuse contact email)
この記事で調べた成果が、そのまま使えるのがここです
📍 通報先しらべ

どこへ連絡すればよいか、3つの質問で確かめる

表を見るのが大変な方は、こちらをお使いください。この診断は、誰がやったかを突き止めるためのものではありません。あなたが次にどこへ連絡すればよいかだけをお伝えします。入力された内容は保存も送信もしません。

通報先しらべを読み込んでいます…

🚨 最後に、絶対にやってはいけないこと

🚨 自分で運営者を特定しようとしない。SNSに書き込まない。

2019年に起きたあおり運転の事件で、まったく無関係の女性を「同乗していた人物だ」として実名と顔写真つきでSNSに投稿した人物に、東京地方裁判所が33万円の賠償を命じました(投稿した本人は謝罪し、議員を辞職しています)。

悪意はなく、「注意喚起のつもり」だったとしても、間違えた瞬間にあなたが加害者になります。そして2025年4月1日には、インターネット上の権利侵害に対処する法律が改正・改称されて施行され、書き込んだ側が削除や情報開示の請求を受ける仕組みは、以前より整えられています。

通報を受けた警察や販売会社は、正当な権限にもとづいて調べることができます。それは、あなたの仕事ではありません。

📋 そのほか、やってはいけないこと

  • 相手(詐欺側)に直接連絡して返金を求めない。追加の情報を抜き取られます
  • 「必ず取り戻せます」とうたう業者に依頼しない。二次被害の典型です
  • 証拠のスクリーンショット・URL・日時を消さない。届出のときに必要になります
  • 怪しいサイトを「もう一度確認しに行く」ことはしない。調べるならWhoisで十分です

第8章 おわり

📝 怪しいサイトを見つけたときの「6行メモ」

この6つを書き写しておけば、通報に必要な材料はそろいます。スマートフォンで画面を撮っておくのがおすすめです。

  1. ドメイン名https:// の後ろから最初の / まで)
  2. 登録日(Created)── 数日〜数週間前なら要注意
  3. 有効期限(Expiration)
  4. 最終更新日(Updated)── 登録日が古いのにここが新しければ要注意
  5. 登録業者名(Registrar)
  6. 登録業者の通報先(Abuse contact email)── いちばん大事

✅ この記事のまとめ

① Whoisで運営者の名前は、基本的に出てきません。それは決まりであって、怪しさの証拠ではありません。
② 代わりに見るのは登録日・有効期限・最終更新日・登録業者・登録国・ネームサーバの6つ。中でも登録日がいちばん強い材料です。
③ ただし「新しい=危ない」は言えても「古い=安全」は言えません。
co.jp だけは例外で、会社の正式名称が必ず公開されています。
⑤ そして最後に。運営者は分からなくても、通報先は必ず分かります。それで十分です。

🎮 体験して身につける

「Whois調査」ボタンの中身が、これでした

当サイトの体験ゲーム「偽サイト鑑定士」で遊んだことのある方は、調査画面に「Whois調査:ドメインの取得日を調べる」というボタンがあったのを覚えているかもしれません。あのボタンが返していた「取得日」は、この記事で説明したとおり、現実でも必ず公開されている項目です。ゲームは嘘をついていませんでした。

※ ただしゲーム中では「取得日が古い」ことを安心材料のひとつとして扱っている場面があります。あれは他の証拠と組み合わせたうえでの判断で、この記事の第5章のとおり、Whoisの登録日だけで「安全」とは言えません。

偽サイト鑑定士で腕試しする →

Whoisで手がかりが足りなかったときは、urlscan.ioでサイトを開かずに中身を見る方法や、VirusTotalで既に報告されていないか確認する方法へ進んでください。ひとつの情報源だけで判断しないという考え方については、情報の見きわめ方の記事が参考になります。実際に被害が出てしまった場合は、最初の30分にやることをまとめた記事をご覧ください。

📚 参考にした情報(すべて2026年8月3日に確認)

  • ICANN「Registration Data Policy」(2025年8月21日発効/2026年5月12日改訂)── 公開が義務づけられる項目と、伏せてよい項目の規定 icann.org
  • ICANN「登録データ照会ツール(ICANN Lookup)」 lookup.icann.org
  • ICANN「2024 Global Amendments」── ドメイン販売会社の悪用対応義務(2024年4月5日発効)
  • JPRS「Whois登録者情報非表示設定」── 対象は汎用JPと都道府県型JPのみ jprs.jp
  • JPRS WHOIS whois.jprs.jp
  • Interisle Consulting Group「Malicious Registrations in the Domain Name Market」(2026年6月)── 2025年の新規登録ドメインの悪性率
  • Interisle Consulting Group「Phishing Landscape 2025」(2025年9月公開/調査期間 2024年5月〜2025年4月)── 新規登録が77%
  • Journal of Cybersecurity(Oxford)「Examining newly registered phishing domains at scale」(2026年7月16日)── 生存期間の中央値、再取得率25.7%、TLS取得率79.3%
  • 警察庁「フィッシング対策」 npa.go.jp
  • インターネット・ホットラインセンター internethotline.jp
  • JC3「商品が届かないなどの悪質なECサイトの通報の受付を開始」(2025年5月30日) jc3.or.jp
  • フィッシング対策協議会「フィッシングの報告」 antiphishing.jp
  • IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」 ipa.go.jp
  • 総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)」── 2025年4月1日施行 soumu.go.jp
  • 日本経済新聞「デマ拡散元市議に賠償命令 あおり運転で『同乗の女』」(2020年8月)── 誤った特定に対する賠償命令

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