国内の漏えい事案630件 独自集計 / 組織種別で分け直しました

国内の漏えい事案630件 独自集計 / 組織種別で分け直しました

あなたの組織で、
本当に危ないこと

「情報漏えい対策」と一括りにされますが、実際に起きている事故は組織の種類によってまったく違います。自治体では9割が人的ミス。製造業では6割が不正アクセス。医療機関だけは「紛失」が1位。自分の組織を選んで、確かめてください。

組織種別で診断 630件の独自集計 自治体・民間・医療・大学 委託先リスク 2026年8月版

情報漏えいの対策は、たいてい「全組織共通」の形で語られます。ウイルス対策ソフトを入れる、パスワードを強くする、怪しいメールを開かない。

ところが、国内で公表された漏えい事案630件を組織の種類ごとに分け直すと、起きている事故の中身がまるで違いました。ある組織にとっての最重要課題が、別の組織ではほとんど起きていない。逆もあります。

つまり「よくある対策リスト」を上から順にやるのは、効率が悪いということです。まず、自分のところで実際に何が起きているのかを見てください。

⚠ この630件が意味すること・意味しないこと

この数字は、セキュリティ専門メディア「Security NEXT」が報じた国内の漏えい事案を収集し、原因・組織・規模を機械的に抽出したうえで人が確認したものです。日本で起きた漏えいの総件数ではありません。報道された事案の内訳です。
また、件数が10件に満たない組織種別は、割合を出しても傾向として読めないため、このページでは統計を出していません(該当:通信・IT、初等中等学校、運輸・交通、エネルギー・インフラ、流通・小売)。「載っていない=安全」ではありません。

CHAP1

第1章 / 全4章

あなたの組織を選んでください

当てはまるものをタップすると、その組織種別で実際に起きた事故の内訳が開きます。件数の多い順に並べています。複数当てはまる方は、両方開いて見比べてみてください。

地方自治体(都道府県・市区町村)272件・全体の43.2%

実際に起きていたこと

誤操作・設定ミス153件 56.2%
紛失・誤廃棄95件 34.9%
内部不正10件 3.7%

人的ミスだけで91%を占めます。サイバー攻撃による漏えいは272件中わずか5件(1.8%)でした。1件あたりの規模も中央値83人と小さく、大量流出型ではありません。委託先が絡む事案は45件(16.5%)。

代表的な事案

  • 個人情報を含むPCを電車内に置き忘れ(埼玉県/8万件・データは暗号化済み)
  • 選挙人名簿照合用データを含むメディア5枚を紛失(狛江市/69,244人)
  • 窓口で公開している台帳図面に個人情報が含まれていた(長野県/49,660人)

優先すべきこと

  • メールの宛先確認と一斉送信の運用——最多の原因です。BCC徹底、一定人数以上は上長確認、送信前の一時保留などの仕組み化が直接効きます。
  • 紙・USB・PCの持ち出しルール——2位が紛失。「暗号化してあったか」で被害の大きさが変わります。埼玉県の事例が暗号化済みだった点は重要です。
  • 公開前の目視チェック——サイト掲載や窓口公開の図面・台帳に個人情報が混ざる事故が繰り返し起きています。
  • ウイルス対策やファイアウォールの強化は、この統計上は優先度が低いと言えます(ただし後述の限界も読んでください)。
民間企業(業種を問わず)227件・全体の36.0%

実際に起きていたこと

誤操作・設定ミス72件 31.7%
不正アクセス64件 28.2%
紛失・誤廃棄34件 15.0%
内部不正15件 6.6%

攻撃(不正アクセス+ランサムウェア)が37.5%。自治体の1.8%とは正反対の構図です。1件あたりの規模も中央値1,341人と、自治体(83人)の約16倍。委託先が絡む事案は54件(23.8%)で、4件に1件近くが自社の外で起きています。

代表的な事案

  • ゲーム利用者の内部識別子を広告ツールへ外部送信(LINEヤフー/710万件・氏名や住所ではなく識別子)
  • Cisco製品のゼロデイ脆弱性を突かれた(国内スパム対策サービス/約357万件)
  • 複数のECサイトから顧客情報が流出(ユニバーサルミュージック/約310万件)

優先すべきこと

  • 外向きの機器・サービスのパッチ適用——上位事案はゼロデイを含む脆弱性の悪用です。VPN、メールゲートウェイ、EC基盤など「インターネットに面しているもの」から。
  • 委託先の管理——23.8%が委託絡み。個人データの取扱いを委託する場合、委託元には個人情報保護法第25条による監督義務があります。契約書だけでなく、実際の取扱い状況の確認まで。
  • それでも最多は誤操作(31.7%)——攻撃対策に集中して、メール誤送信や設定ミスの手順を放置しないでください。両方必要です。
  • ランサムウェアに備えるなら インシデント対応プレイブック をどうぞ。
医療・介護(病院・クリニック・介護事業者)38件・全体の6.0%

実際に起きていたこと

紛失・誤廃棄17件 44.7%
誤操作・設定ミス12件 31.6%
内部不正5件 13.2%
ランサムウェア2件 5.3%

8つの組織種別のなかで、「紛失・誤廃棄」が1位になるのは医療・介護だけです。しかも中身に強い共通点があり、廃棄した端末と、持ち出したUSBメモリにほぼ集約されます。内部不正の比率(13.2%)が全体平均(5.4%)の2倍を超えている点も、この分野の特徴です。

代表的な事案

  • 廃棄端末の内蔵HDDが外部に流通、内部に患者情報(北海道医療センター/176万件)
  • 医療機器保守用VPN経由でランサム攻撃を受けデータベースを窃取(日本医科大学武蔵小杉病院/13万人)
  • 廃棄PCや内蔵SSDが所在不明(JR仙台病院/6,639人)、患者情報を含むUSBメモリの紛失(複数病院)

優先すべきこと

  • 廃棄する端末の処理を、記録が残る形にする——最大規模の事案が「廃棄したはずのHDDが市場に出回った」でした。物理破壊の証明書まで受け取る運用に。
  • USBメモリの持ち出し——紛失事案の常連です。暗号化必須にするか、そもそも持ち出させない方式へ。
  • 保守ベンダーの接続経路——医療機器の保守用VPNが侵入口になった事例があります。常時接続を切り、必要時だけ開ける運用に。
  • 閲覧ログの確認——内部不正の比率が高い分野です。カルテの閲覧記録を「誰も見ていない」状態にしないこと。
大学・研究機関30件・全体の4.8%

実際に起きていたこと

誤操作・設定ミス18件 60.0%
紛失・誤廃棄5件 16.7%
不正アクセス3件 10.0%
ランサムウェア2件 6.7%

誤操作が60%と、8種別で最も高い比率です。学生名簿や成績情報のメール誤送信が中心。一方で委託先が絡む事案は30件中1件(3.3%)と最も低く、外注より内製で回っている実態がうかがえます。件数は少ないものの、攻撃を受けたときの規模は大きくなります。

代表的な事案

  • スパム対策機器へのゼロデイ攻撃からディレクトリサーバへ横展開(慶応大/222,508件)
  • 元職員が個人情報を掲示板に投稿、システム設定にも不備(津田塾大/22,444人)

優先すべきこと

  • 学生・保護者への一斉送信の手順——最多の原因です。宛先の自動チェックや送信保留を仕組みに組み込むこと。
  • 退職・卒業時のアカウント停止——元職員による事案が起きています。人の出入りが多い組織ほど、ここが穴になります。
  • 認証基盤への横展開を止める——1台の機器が破られたあと、ディレクトリサーバまで到達された事例があります。入口対策だけでなく、内部で広がらせない設計を。

ここから下の4種別は「統計」ではなく「事例集」として読んでください

いずれも件数が11〜13件しかありません。この規模で割合を出しても、1件増えるだけで順位が入れ替わります。傾向として断定できるものではないので、割合は参考値として添えるにとどめ、実際に何が起きたかの事例を中心に読んでください。

金融・保険13件・事例集として

13件の内訳:紛失・誤廃棄9件/誤操作・設定ミス3件/不正アクセス1件。件数は少ないものの、紙と物理メディアの紛失に偏っているのが目を引きます。印鑑届やディスクといった、金融機関特有の保管物が失われていました。

一方で、規模が突出したのは唯一の不正アクセス事案でした。「件数は少ないが、当たると桁が違う」という構図がはっきり出ています。

実際の事案

  • 契約者サイトなどから顧客約438万人の個人情報が流出(アフラック生命保険/不正アクセス)
  • 27店舗で印鑑届の紛失が判明、誤廃棄の可能性(豊川信用金庫/13,640件)
  • 顧客取引データを保存したディスク2枚が所在不明(西村証券/4,104人)

示唆されること

  • 紙・物理メディアの保管台帳——「いつ・どこに・何があるか」が分からないと、紛失に気づくのも遅れます。
  • 顧客サイトの防御——件数は1件でも、規模は438万人。ネット銀行のセキュリティ比較もあわせてどうぞ。
中央省庁・独立行政法人12件・事例集として

12件の内訳:誤操作・設定ミス9件/ランサムウェア1件/不正アクセス1件/紛失1件。4分の3が誤操作で、その多くがメールの誤送信でした。

実際の事案

  • システム開発環境から個人情報が流出した可能性(国立国会図書館/40,373件)
  • 提出先に誤ったメールアドレスを入力し、職員や家族の個人情報が第三者へ(農林水産省/4,571人)
  • 商談会の案内メールで送信ミス、メールアドレスが流出(長野県産業振興機構/733人)

示唆されること

  • メール送信の二重確認——自治体と同じ構図です。手順の仕組み化がそのまま効きます。
  • 開発環境の扱い——本番ではなく開発環境から漏れた事例があります。テストデータに実データを使わないこと。
製造業11件・事例集として

11件の内訳:不正アクセス7件/ランサムウェア1件/内部不正1件/誤操作1件/不明1件。攻撃起因が8件(72.7%)と、8種別のなかで最も攻撃に偏っています。

そして委託先が絡む事案が6件(54.5%)と、これも全種別で最高でした。全体平均が19.5%なので、2.8倍です。件数は少ないので断定はできませんが、サプライチェーンを通じた侵入という構図が見て取れます。

実際の事案

  • 個人情報流出の可能性、生産や販売活動には影響なし(村田製作所/73,000件)
  • ウェブ問い合わせフォームの入力情報が外部流出(川本製作所/2,545件)
  • 建設作業所のNASで情報流出か、設定に問題(佐藤工業/1,850件)

示唆されること

  • 取引先・委託先の経路——半数以上が自社の外です。自社だけを固めても届きません。
  • 現場に置かれた機器——作業所のNASのように、情報システム部門の管理外にある機器が穴になります。NASのセキュリティの考え方は業務用にも通じます。
  • 問い合わせフォーム——外向きのWebは、目立たないところほど放置されがちです。
団体・組合(協会・商工会議所・財団など)11件・事例集として

11件の内訳:誤操作・設定ミス10件/誤公開・設定ミス1件。11件すべてが人的ミスで、攻撃による事案はゼロでした。8種別のなかで最も一方向に偏っています。

実際の事案

  • 契約照会システムで他人の個人情報が閲覧可能になっていた(生命保険協会/37,000件)
  • 非表示にした個人情報を削除済みと誤認して外部へ誤送信(川越商工会議所/4,363件)
  • 無関係の企業に個人情報を誤送信、システム改修時の不具合(ふるさと島根定住財団/3,661件)

示唆されること

  • 「非表示」は削除ではない——表計算ファイルで行や列を非表示にしただけでは、データは残っています。この誤解による事故が実際に起きています。
  • システム改修後の確認——改修のタイミングで表示範囲が変わり、他人の情報が見えるようになる事故が複数ありました。
第1章 おわり — 次は第2章
CHAP2

第2章 / 全4章

横断で見ると分かる4つのこと

8種別を並べると、個別に見ていたときには気づかないことが出てきます。

組織種別件数最も多い原因攻撃の比率委託先が絡む1件あたりの規模(中央値)
地方自治体272誤操作 56.2%1.8%16.5%83
民間企業227誤操作 31.7%37.4%23.8%1,341
医療・介護38紛失 44.7%5.3%15.8%73
大学・研究機関30誤操作 60.0%16.7%3.3%459
金融・保険13紛失 69.2%7.7%7.7%383
中央省庁・独法12誤操作 75.0%16.7%16.7%369
製造11不正アクセス 63.6%72.7%54.5%1,203
団体・組合11誤操作 90.9%0%18.2%498

グレー表記の4種別は件数が少なく、割合は参考値です。「攻撃の比率」は不正アクセスとランサムウェアの合計。「規模の中央値」は元記事の集計単位が「人」と「件」で混在しているため、種別間の相対比較の目安として読んでください(絶対値としての人数ではありません)。

① 自治体と製造業で、危ないことが正反対

自治体は攻撃が1.8%、製造業は72.7%。同じ「情報漏えい対策」という言葉で語られていても、やるべきことはほぼ真逆です。自治体でファイアウォールの増強に予算を使うより、メール送信の手順を変えるほうが、この統計上は効きます。逆に製造業で送信手順だけ整えても、侵入は止まりません。

② 医療・介護だけ「紛失」が1位

8種別のなかで唯一、紛失・誤廃棄が最多です。しかも中身が廃棄端末とUSBメモリにはっきり寄っています。これは「気をつける」で解決する問題ではなく、廃棄の証明を取る・そもそも持ち出させないという運用設計の話です。

③ 委託先の比率は、組織によって17倍の開きがある

製造業が54.5%、大学が3.3%。外注が多い組織ほど、事故は自社の外で起きます。全体では630件中123件(19.5%)が委託先絡みでした。自社の中だけを点検して安心していると、5件に1件は視界の外にあることになります。

委託していても、責任は残ります

個人データの取扱いを委託する場合、委託元には個人情報保護法第25条による委託先の監督義務があります。「委託先のミスなので当社の責任ではない」とはなりません。契約書を交わすだけでなく、実際にどう取り扱われているかの確認までが監督に含まれると解されています。詳しくは個人情報保護委員会の資料をご確認ください。

④ 1件あたりの規模が、組織で16倍違う

自治体83に対して民間企業1,341。中央値でこれだけ開きます。自治体は「よく起きるが小さい」、民間企業は「起きる頻度は近いが、当たると大きい」という性格の違いです。

この「頻度」と「規模」を分けて考える視点は、原因別に見たときにも同じ形で現れます。詳しくは 漏えいの7割は攻撃ではない|国内630件を数え直したら結論が逆転した をどうぞ。この診断は、その記事を組織種別の軸で切り直したものです。

第2章 おわり — 次は第3章
CHAP3

第3章 / 全4章

どの組織にも共通してやること

組織によって優先順位は変わりますが、8種別のうち5種別で「誤操作」が1位だったことを踏まえると、共通して効く手当てもあります。順番に並べました。

優先やることなぜ効くのか
1 メールの一斉送信を、個人の注意力に頼らない形にする
BCCの徹底、一定人数を超える送信は上長確認、送信前の一時保留(数分の遅延送信)など。
630件の最多原因であり、8種別中5種別で1位。「気をつける」で減らないことは、この件数が証明しています。手順や設定に落とし込んだ組織だけが減らせます。
2 持ち出しと廃棄のルールを、記録が残る形にする
USBの暗号化必須、廃棄端末は物理破壊の証明書まで受領、保管物の台帳化。
2位の原因。埼玉県の8万件の事案が「暗号化済み」だったように、同じ紛失でも被害の重さが変わります。紛失そのものはゼロにできないので、失っても中身が読めない状態を作るほうが現実的です。
3 委託先の取扱いを実地で確認する
契約書だけで終わらせず、実際の保管・アクセス・再委託の状況まで。
全体の19.5%、製造業では54.5%。自社の点検だけでは見えない領域で、しかも法律上の監督義務が残ります。
4 インターネットに面している機器を洗い出し、パッチを当てる
VPN、メールゲートウェイ、問い合わせフォーム、現場のNASまで。
件数では少数派でも、1件あたりの規模が桁違いです。上位事案はほぼここから入られています。「忘れられている機器」が狙われるので、まず一覧を作ることが先です。
5 起きた後の手順を、先に決めておく どれだけ対策しても発生確率はゼロになりません。インシデント対応プレイブック、個人ならやられたときの最初の30分
✅ このページを閉じる前に、1つだけ

自分の組織の欄を開いて、「最も多い原因」に対する手当てが、いま自分の組織にあるかどうかを確かめてください。
自治体・大学・団体の方はメールの一斉送信の手順。医療・金融の方は持ち出しと廃棄の記録。民間企業・製造の方は外向き機器の一覧と委託先の状況
無ければ、それが今いちばん費用対効果の高い改善点です。統計が示しているのは「何から手を付けるか」であって、「他は要らない」ではない点だけ、念のため付け加えておきます。

第3章 おわり — 次は第4章
CHAP4

第4章 / 全4章

この診断の限界

数字を出した以上、どこまで信用してよいかも書いておきます。ここを飛ばして結論だけ使わないでください。

限界具体的に
① 日本全体の件数ではない 630件は、専門メディア「Security NEXT」が報じた事案です。報道されなかった漏えいは入っていません。
② 「報道されやすさ」の偏りがある ここが最も注意すべき点です。自治体が43.2%を占めるのは、自治体が特別に危ないからとは限りません。自治体は公表の慣行が確立していて、小さな事案でも記者発表されます。一方、中小の民間企業の事故は表に出にくい。この表は「実際に起きている頻度」ではなく「公表され報道された頻度」だという前提を外さないでください。
③ 期間が2年に満たない 経年トレンドの根拠には使えません。「増えている/減っている」という話はこのデータからは言えません。
④ 件数の少ない4種別は統計ではない 11〜13件では、1件増えるだけで順位が変わります。事例集として読んでください。掲載していない種別(通信・IT、初等中等学校、運輸・交通、エネルギー・インフラ、流通・小売)は件数が10件未満というだけで、安全という意味ではありません。
⑤ 規模の中央値は単位が混在している 元データには「人」と「件」の両方の単位が含まれ、合算して集計しています。種別間の相対比較には使えますが、絶対値としての人数ではありません。
⑥ 原因分類にゆれがある 分類は機械抽出のうえで目視検証していますが、「誤操作」と「紛失」の判別には迷う事案があります。ただしこの2つはどちらも人的ミスなので、人的ミス全体の集計には影響しません。組織名の抽出にも一部ゆれがあります。
🚨 いちばんやってはいけない読み方

「うちの種別では攻撃が1.8%だから、攻撃対策は要らない」——これです。
1.8%というのは報道された事案のなかでの比率であって、あなたの組織が狙われない確率ではありません。しかも第2章で見たとおり、攻撃は当たったときの規模が桁違いです。頻度が低くても、期待損失で見れば無視できません。
この診断が答えているのは「限られた予算と時間を、まずどこに使うか」という問いだけです。「何を捨ててよいか」には答えていません。

関連ページ

第4章 おわり — 最後によくある質問
FAQ?

よくある質問

読み方の疑問

自分の組織の種別が載っていません。どう読めばいいですか?

件数が10件に満たなかった種別(通信・IT、初等中等学校、運輸・交通、エネルギー・インフラ、流通・小売)は、統計として出していません。その場合は業務の形が近い種別を参考にしてください。紙と対面が多いなら自治体・医療の欄、外向きのシステムを持っているなら民間企業・製造の欄が近くなります。載っていないことは安全を意味しません。

自治体が43%を占めるのは、自治体のセキュリティが弱いということですか?

そう読むのは危険です。自治体は個人情報の事故について公表する慣行が確立していて、数十人規模の事案でも記者発表されます。一方、中小企業の事故は公表されないまま終わることが少なくありません。この43%は「起きている頻度」ではなく「公表され報道された頻度」です。むしろ、公表しているぶんデータとして見えている、と読むほうが実態に近いはずです。

「中央値」とは何ですか。平均とどう違いますか?

データを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る値です。平均と違って極端に大きい値に引っ張られません。たとえば1,000人規模の事案が9件と、1,200万人の事案が1件あった場合、平均は120万人を超えてしまい「よくある規模」を表しません。中央値なら1,000人になります。漏えいのように一部の巨大事案がある分野では、中央値のほうが実感に近い数字になります。

この診断だけで、社内の対策の優先順位を決めてよいですか?

出発点としては使えますが、これだけで決めないでください。この集計は「報道された事案の内訳」であって、あなたの組織固有のリスク(扱っているデータの種類、システムの構成、取引先の数)は反映されていません。「一般的にどこから壊れやすいか」を知るための材料として使い、そのうえで自分の組織の実情と突き合わせるのが正しい使い方です。第4章の限界も必ず併せて読んでください。

個人としてできることはありますか?

このページは組織向けですが、漏れた情報の多くは個人の氏名・住所・電話番号・生年月日・メールアドレスです。自分の情報が漏れたときに備えるなら、サービスごとに違うパスワードを使うことと二段階認証を有効にすることが最も効きます。漏えい後に届く詐欺メールやSMSへの対処は 「これ、詐欺かも?」と思ったら にまとめています。

出典とデータの限界

  • 集計対象:セキュリティ専門メディア「Security NEXT」が報じた国内の情報漏えい事案630件。原因・組織種別・規模・委託先の有無は記事本文から機械的に抽出し、分類結果を目視で検証しています。https://www.security-next.com/
  • 本ページの集計:上記630件を組織種別で分け、種別ごとの原因内訳・攻撃比率・委託先比率・規模の中央値を当サイトで算出しました。組織種別の分類は630件すべてに付与されています。
  • 元になった分析漏えいの7割は攻撃ではない|国内630件を数え直したら結論が逆転した(原因の軸)/遅いのは、隠しているからではなかった(時間の軸)
  • 個人データの取扱いを委託する場合の委託先の監督義務は、個人情報保護法第25条によります。条文および解釈は個人情報保護委員会の公表資料をご確認ください。

※ 本ページの数値は「報道された事案の内訳」であり、日本国内で発生した情報漏えいの総数・総人数ではありません。対象期間が2年未満のため、経年トレンドの根拠としては使用できません。件数が10件未満の組織種別は統計として掲載していません。
見直し目安:2027年2月(元データは継続収集しているため、半年ごとに件数を更新することを想定しています)

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