フィッシング攻撃の最新手口とは?多要素認証突破を防ぐ方法7選

🎣 フィッシング / 多要素認証の突破

ワンタイムパスワードを入れても、もう止まらない

「偽サイトを見抜けば大丈夫」「SMSのコードを入れているから安全」──その常識が、2026年に入って音を立てて崩れています。フィッシングは3つの世代を経て進化しました。そして最新世代には、パスキーですら効きません。何がどう変わったのかを、順番に整理します。

多要素認証(MFA)は、長いあいだ「これさえ入れておけば大丈夫」の代表格でした。パスワードが漏れても、スマホに届くコードがなければ入れない。実際、その考え方は何年ものあいだ正しかったのです。

ところが2026年、その前提が崩れました。

Cisco Talos がまとめた2026年第2四半期のインシデント対応レポートによれば、認証の悪用が全案件の65%に登場しています。第1四半期は35%でしたから、わずか3か月で倍近くになった計算です。しかもその主な手口として名指しされているのが、「AiTM(アドバーサリー・イン・ザ・ミドル)プロキシ」と「セッショントークンの窃取」──つまりMFAを迂回する技術でした。

この記事では、フィッシングがどのように3段階で進化し、どの段階でどの防御が効かなくなったのかを、実際の調査データにもとづいて整理します。

⚠️ この記事の方針
本記事は攻撃の仕組みを「見抜き、守る」ために解説するもので、攻撃の手順書ではありません。攻撃ツールの入手方法や設定方法には触れず、各セキュリティ企業が公開情報として発表している範囲にとどめています。記載した統計はすべて出典を明記しました(末尾一覧)。数字は特定業種・特定期間の調査にもとづくものであり、そのまま全体に当てはまるわけではない点にご注意ください。

CHAP1

第1章 / 全8章

📊 データが示す「異常な伸び」

まず、何がどれだけ増えたのかを数字で

感覚の話から始めると議論がぶれるので、先に数字を置きます。

指標前の期直近出典
フィッシングが初期侵入だった割合約35%
2026年Q1
50%超
2026年Q2
Cisco Talos
2026年7月28日
認証の悪用が登場した案件の割合35%
2026年Q1
65%
2026年Q2
Cisco Talos
同上
AiTMが初期侵入だった割合(法曹界)28.57%eSentire TRU
2026年7月30日
従来型の認証情報窃取(法曹界)業界平均
26.01%
16.96%
平均より低い
eSentire TRU
同上

表1:フィッシングとMFA迂回に関する直近の統計

3行目と4行目の組み合わせが、この記事の出発点です。

🔍

攻撃者は「あきらめた」のではなく「乗り換えた」

法律事務所では、従来型の認証情報窃取が業界平均より低い(16.96%)一方で、AiTMが28.57%とトップになりました。
これは「MFAを導入したから安全になった」という話ではありません。MFAが普及した業界ほど、攻撃者はMFAを迂回する手口に切り替えているという意味です。防御が進んだぶん、攻撃も進んだ。いたちごっこの、次の一手が始まっているのです。

では、その「次の一手」とは具体的に何なのか。ここから3つの世代に分けて見ていきます。

第1章 おわり — 次は第2章

CHAP2

第2章 / 全8章

📧 第1世代 ── 偽サイトでパスワードを盗む

みなさんがよく知っている、あのフィッシングです

まず基本形から。多くの方が「フィッシング」と聞いて思い浮かべるのは、この第1世代でしょう。

手順攻撃者がすることあなたに見えるもの
1本物そっくりの偽ログインページを用意する見慣れたデザインの画面
2「アカウントが停止されます」などのメールで誘導する急かすようなメール/SMS
3入力されたIDとパスワードを手元に保存する(何も起きないか、エラー表示)
4後でそれを使って本物のサイトにログインする(気づかない)

表2:第1世代フィッシングの流れ

この世代の弱点は、攻撃者にとって明確でした。盗んだパスワードを後で使おうとすると、MFAに阻まれるのです。スマホに届く6桁のコードを持っていないので、そこで止まる。

第1世代に対しては、これまでの対策が有効です

URLをよく見る。慌てない。公式アプリから開き直す。MFAを設定する。──長年言われてきた対策は、この世代に対しては今もしっかり効きます。決して無駄になったわけではありません。
問題は、ここで止まらなくなった攻撃者が、次に何をしたかです。

🎮 まずは基本から

第1世代を見抜く力は、今も土台になります

偽メールや偽サイトを見抜く目は、この先の世代に対しても「最初の一撃を止める」という意味で有効です。ゲームで練習しておくと、いざというとき手が止まります。

🔍 メール探偵で練習 →   🎪 偽サイト鑑定士で練習 →

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第3章 / 全8章

🔁 第2世代 ── 認証を丸ごと中継する

ここで「OTPが効かない」が始まります

第2世代は AiTM(Adversary-in-the-Middle/中間者) と呼ばれます。発想の転換は、たったひとつです。

「パスワードを盗んで後で使う」のをやめ、「あなたのログインを、その場で本物に取り次ぐ」ことにした。

偽サイトは、もはや「入力を保存する箱」ではありません。あなたと本物のサイトのあいだに立つ、透明な取次窓口になったのです。

🌐 図:第1世代と第2世代の違い

■ 第1世代 = 保存するだけ。だからOTPで止まる あなた ID・パスワード入力 偽サイト 保存するだけ 後で使う ワンタイムパスワード ✅ ここで止まる ■ 第2世代(AiTM) = その場で取り次ぐ。だからOTPが効かない あなた ID・パスワード + OTPも入力 中継する偽サイト 全部そのまま横流し 👀 中身は全部見える 本物のサイト 正しいOTPが届く → 認証成功 セッションCookieが発行される 🚨 攻撃者がそのCookieを奪う = もうパスワードもOTPも要らない。ログイン済みの状態を丸ごと乗っ取る あなたの画面では「無事ログインできた」ようにしか見えません 本物のサイトが本当に表示されるので、違和感がほとんど残らない

図のいちばん下の帯が、この手口の恐ろしさです。あなたは本当にログインできてしまいます。エラーも出ないし、いつもの画面が本当に表示される。「おかしいな」と思う瞬間が、どこにもありません。

🍪

盗まれるのはパスワードではなく「セッションCookie」です

ログインに成功すると、サイトはブラウザに「この人は認証済みです」という証明書のようなデータ(セッションCookie)を渡します。以後しばらくはこれを見せるだけで入れるので、毎回パスワードを聞かれずに済むわけです。
AiTMはこれを横取りします。CookieさえあればパスワードもOTPも不要MFAは「入口の鍵」ですが、盗まれるのは「入場後の腕章」なのです。

この手口は、いまや個人の技術力を必要としません。PhaaS(フィッシング・アズ・ア・サービス)、つまり月額で借りられるフィッシング一式として売られているからです。eSentire の調査では、2025年に法曹界で起きたAiTMによるアカウント侵害のうち52.3%が「Tycoon2FA」という単一のサービスによるものでした。

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第4章 / 全8章

📱 第3世代 ── 偽サイトすら存在しない

パスキーでも止まらない、という話

第2世代への答えは、実ははっきりしています。パスキー(FIDO2)です。パスキーは「どのドメインに対して作られた鍵か」を機械が厳密に確認するので、偽ドメインを経由した瞬間に成立しません。中継そのものが不可能になります。

ところが2026年、そのパスキーでも止まらない手口が急拡大しました。デバイスコード・フィッシングと、OAuth同意フィッシングです。

📟 デバイスコード・フィッシング

もともとはスマートテレビやプリンターのような「文字入力しづらい機器」のために作られた、正規のログイン方式です。テレビに表示された短いコードを、スマホやPCの公式サイトで入力して紐づける、あの仕組みを思い出してください。

手順起きること危険な点
1誘導ページで短いコードを見せられ、コピーさせられる
2そのコードを「本物の」Microsoftのページに入力する🔴 URLは本物
3自分のアカウントを選び、「許可」を押す🔴 自分の意思で押す
4攻撃者側にアクセストークンが渡る🔴 パスワードは漏れていない

表3:デバイスコード・フィッシングの流れ(出典:Push Security/The Hacker News)

🚨

なぜMFAが一切効かないのか

この攻撃は「認証」ではなく「認可」の層で起きているからです。
認証=「あなたが本人か」を確かめること。パスワード、OTP、パスキーはすべてここを守ります。
認可=「このアプリにあなたの権限を渡してよいか」を決めること。
デバイスコード・フィッシングは認証が正しく完了した「後」に起きます。あなたは本人確認を正しく通過し、そのうえで攻撃者のアプリに自分の権限を渡してしまう。だからパスキーもハードウェアキーも、この攻撃を止められません

この手口が、2026年に入って爆発的に広がりました。

時期出来事出典
2024年国家系のグループ(Storm-2372)が実際の攻撃で使い始めるPush Security
2025年ShinyHunters が Salesforce のテナントを大規模に標的化同上
2026年2月専用のPhaaSキットが登場し、誰でも使える道具になる同上
2026年4月Microsoft が「24時間ごとに10〜15の新規キャンペーン」と報告Microsoft
2026年4月Barracuda が4週間で700万件の攻撃を観測Barracuda
2026年半ば25以上の異なるキット系統が確認されるPush Security

表4:デバイスコード・フィッシングの拡大(出典:The Hacker News がまとめた各社の観測)

拡大の理由として指摘されているのが、AIによる開発の高速化です。攻撃キットを作るハードルが下がり、似た構造のキットが次々に生まれているとされます。実際、検知する側は「特定のキットの指紋」を追うやり方では追いつかなくなっています。

🤝 OAuth同意フィッシング(Teams をかたる事例)

同じ「認可を狙う」考え方の別バージョンも観測されています。Check Point が2026年7月29日に公表した事例では、Microsoft Teams をかたるメールから、本物のMicrosoftの認可画面に誘導されました。

被害者に見えるのは、正真正銘のMicrosoftの画面です。URLも本物。表示も本物。押すボタンは「アクセスを許可しますか?」。

💬

Check Point の研究者による、この手口の要約

この一連の流れの中で唯一「偽物」なのは、アクセスを求めているアプリの“意図”だけである──という趣旨の指摘がなされています。
つまり画面にもURLにも証明書にも、偽物の要素がひとつも無い「偽サイトを見抜く」という発想が、原理的に通用しないのです。

この事例では、2026年6月最終週から7月にかけて、製造・法律・医療を中心に120組織が標的になりました。攻撃者は許可を得たあと、メールの読み取りとデータの持ち出しを行い、信頼されたアカウントを踏み台にビジネスメール詐欺(BEC)へ発展させたとされています。

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CHAP5

第5章 / 全8章

⚖️ 3世代を並べて比較する

この記事の中心になる表です

ここまでの3世代を、同じ物差しで並べます。どの防御が、どこまで効くのかが一目でわかるようにしました。

観点第1世代
偽サイト
第2世代
AiTM中継
第3世代
デバイスコード/OAuth同意
狙う層認証(パスワード)認証(セッション)認可(権限の付与)
盗むものID・パスワードセッションCookieアクセストークン
偽サイトの有無あり(保存用)あり(中継用)無い場合がある
URLは怪しいか🔴 怪しい🔴 怪しい🟢 本物のURL
パスワードは漏れるか漏れる漏れる漏れない(それでも侵入される)
URLを目視確認✅ 有効✅ 有効❌ 無意味
SMS・アプリのOTP✅ 有効❌ 無効❌ 無効
パスキー/FIDO2✅ 有効✅ 有効❌ 無効
メールゲートウェイで遮断✅ ある程度🟠 一部❌ 困難(正規URLを通る)
有効な対策MFA導入
URL確認
パスキー
条件付きアクセス
認可フローの制限
アプリ同意の管理

表5:3世代のフィッシングと、防御の有効性

この表の読みどころを3つ挙げます。

📌

①「OTPが効かない」のは第2世代から

SMSや認証アプリのワンタイムパスワードは、第2世代以降に対しては役に立ちません。ただし第1世代には今も有効ですし、MFAが無いよりは圧倒的にマシです。「意味がないからやめる」は完全な誤りです。

🔑

② パスキーは第2世代への「決定打」です

第2世代のAiTMは、パスキーに切り替えるだけで原理的に成立しなくなります。鍵がドメインに紐づいているため、偽ドメイン経由では署名が成立しないからです。今この記事を読んで1つだけ行動するなら、パスキーへの移行をおすすめします。

⚠️

③ ただし「パスキーにしたから完了」ではありません

第3世代は認証の後ろ側(認可)を狙うので、パスキーの守備範囲の外です。「パスキーにしたので安心」という説明を見かけたら、それは第2世代までの話だと理解してください。第3世代には別の対策(第7章)が要ります。

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第6章 / 全8章

👁️ 見分ける手がかりが消えていく

「よく見れば分かる」が成立しなくなる話

もうひとつ、同じ時期に報告された気になる動きがあります。偽サイトそのものの作り方が変わってきているのです。

Barracuda が2026年7月29日に公表した LogoKit というフィッシングキットの分析が、それをよく示しています。

やっていること仕組み結果どうなるか
相手の会社を特定する誘導URLに埋め込まれたメールアドレスからドメインを読み取る誰宛かを自動で判別
その会社のサイトを撮影する市販のスクリーンショットサービスを使い、アクセスされた瞬間に実物を撮るあなたの会社のサイトが背景に出る
ロゴを取ってくる企業情報APIから正しいロゴを自動取得ブランドが完全に一致する
その場で組み立てるあらかじめ用意した固定ページではなく都度生成指紋を取れない=ブロックリストに載らない

表6:LogoKit の仕組み(出典:Barracuda、2026年7月29日)

Barracuda はこれを、従来の「ブランドのなりすまし」から「環境のなりすまし」への移行と表現しています。有名企業のロゴを真似るのではなく、あなたが日々見ている画面そのものを再現するという発想です。

🤔

防御側にとって、何が厄介なのか

従来のフィッシング対策は「同じ偽ページが大量にばらまかれる」ことを前提にしていました。1つ見つけて特徴を登録すれば、残りもまとめて防げたのです。
ところがアクセスのたびに違うページが生成されると、その前提が崩れます。登録すべき「同じもの」が存在しないのです。

なお念のため書き添えると、LogoKit 自体はMFA迂回の機能を持つとは報告されていません(認証情報を集めて外部に送る仕組みです)。この章で伝えたいのは「見た目で見抜く」という戦い方が、全体として苦しくなっているという流れのほうです。

そしてこれは、第2世代・第3世代と組み合わさったときに効いてきます。見た目は完璧、URLは本物、認証も本当に通る。──違和感を持つための材料が、ひとつずつ削られているのが現状です。

🎮 それでも「気づく力」は無駄になりません

入口はいまだに「急かすメッセージ」です

どの世代の攻撃も、最初の一撃はあなたに何かをさせるメッセージから始まります。そこで一拍おけるかどうかが、いちばん効きます。詐欺シリーズ7作をまとめて腕試しできる道場もあります。

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第6章 おわり — 次は第7章

CHAP7

第7章 / 全8章

🛡️ では、どう守るのか

世代ごとに、打つ手が違います

ここまで「効かない」を並べてきたので、最後に効くものを整理します。世代別に見ると、やるべきことははっきりしています。

対策効く世代具体的に何をするか
パスキー/FIDO2への移行
最優先
1・2SMSや認証アプリのコードから、パスキーやセキュリティキーへ切り替える。特に管理者アカウントから
デバイスコード認証の制限3条件付きアクセスでデバイスコードの利用を業務上必要な範囲に絞る(開発ツールが壊れることがあるので段階的に)
アプリ同意のガバナンス3利用者が勝手に外部アプリへ権限を渡せない設定にし、管理者承認を必須にする
条件付きアクセス2・3端末の健全性や場所を条件に加える。盗まれたCookieだけでは入れなくする
セッションの異常監視2・3ID基盤のログで「普段と違う場所・端末からの利用」を検知する
連携アプリの棚卸し3アカウントにどの外部アプリが権限を持っているかを定期的に見直し、不要なものを解除
インシデント対応計画全部やられた後に何をするかを事前に決めておく

表7:世代別・有効な対策(eSentire および Push Security の推奨をもとに整理)

なお、ここで盗まれた認証情報が実際にどう使われるかも知っておくと、対策の優先順位がはっきりします。2026年7月末には、正規の認証情報だけで41時間のうちに30組織のVPNが破られた事例が報告されました。詳しくは境界機器が狙われている話で扱っています。

📊

「計画を作っておく」の軽視されがちな重さ

eSentire の調査では、法律事務所のうち正式なインシデント対応計画を持っていたのは34%だけでした。裏を返せば3社に2社は、起きてから考えるということです。
セッションが乗っ取られた場合、対処は「パスワード変更」では足りません全セッションの強制サインアウトと、連携アプリの権限見直しまで必要です。それを慌てている最中に思い出せるかが勝負になります。

次に、立場別に整理します。

あなたの立場今日やること
個人・家庭主要なアカウント(メール・SNS・ネット銀行)でパスキーが使えるなら今日切り替える。使えないなら、せめてSMSより認証アプリ
会社員「コードをコピーして別のサイトに入力してください」と言われたら、いったん止まる。それはログインではなく権限を渡す操作かもしれません
情シス管理者アカウントからパスキーへ。あわせてアプリ同意を管理者承認制にし、デバイスコードフローの利用状況をログで確認する
SOC・監視担当検知の軸を「怪しいURL」から「おかしいセッション」へ移す。同一アカウントの地理的にありえない移動、見慣れない端末からの利用
経営・管理職インシデント対応計画があるかを確認する。無ければ作る。34%しか持っていないという数字を思い出してください

表8:立場別・今日やること

📝 確認チェックリスト

  • いちばん大事なアカウントはパスキー(またはセキュリティキー)になっていますか
  • 管理者アカウントこそパスキーになっていますか(後回しにされがちです)
  • 「コードをコピーして別の画面で入力」を求められたとき、止まれる自信がありますか
  • 自分のアカウントにどんな外部アプリが権限を持っているか、見たことがありますか
  • 組織で外部アプリへの権限付与に管理者承認が必要になっていますか
  • ログイン監視で「ありえない場所からの利用」を検知できますか
  • 乗っ取られたとき全セッションを強制サインアウトする手順を知っていますか
  • インシデント対応計画は文書として存在しますか

第7章 おわり — この先はまとめです

CHAP8

第8章 / 全8章

📋 まとめ ── 3つの持ち帰り

読んで終わりにしないために

#わかったことだから何をするか
1OTPは第2世代から効かない
認証を丸ごと中継され、セッションCookieを奪われるため
パスキーへ移行する。ただしOTPをやめるのではなく、上位に置き換える
2パスキーでも第3世代は止まらない
認証ではなく「認可」を狙う攻撃だから
アプリへの権限付与を管理する。「コードを入れて許可」はログインではないと知る
3「見た目で見抜く」が苦しくなっている
本物のURL、本物の画面、本当に成功するログイン
検知の軸を「怪しいURL」から「おかしいセッション」へ移す

表9:この記事の結論と、次の行動

✅ 今日やる3ステップ

ステップ1(10分・全員):いちばん大事なアカウント1つでパスキーを設定する。メールアカウントから始めるのがおすすめです(他の再発行の起点になるため)。
ステップ2(5分・全員):アカウント設定の「連携しているアプリ」を開き、見覚えのないものを解除する。
ステップ3(3分・全員):家族や同僚に一言だけ伝える。「コードをコピーして別の画面で入力して、と言われたら、それはログインじゃないかもしれない」

最後に、この記事全体を貫いている変化について書いておきます。

フィッシング対策として長年言われてきたのは、「よく見れば見抜ける」でした。URLが変、日本語が不自然、送信元がおかしい。注意深さが防御になるという考え方です。

しかし第3世代では、URLは本物で、画面も本物で、あなたは正しくログインでき、そして自分の意思で「許可」を押します。見抜くべき「偽物」が、どこにも無いのです。

だからといって、注意深さが無意味になったわけではありません。ただ注意を向ける先が変わりました。「この画面は本物か?」ではなく、「この操作は、私が今やろうとしていたことか?」です。

メールを読もうとしただけなのに、なぜアプリに権限を渡す画面が出るのか。ログインしようとしただけなのに、なぜコードをコピーして別の画面に入れるのか。手順そのものへの違和感──これが、新しい世代に対する最後の防衛線です。

技術で守れる部分は、パスキーと設定で確実に固める。そのうえで、残りは「あれ?」と思える力で守る。この2階建てが、2026年のフィッシング対策のかたちだと思います。

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基礎から確認したい方へ

フィッシングの基本的な見分け方と対策を、初心者向けにまとめた記事です。今回の記事の「第1世代」にあたる部分を、より丁寧に解説しています。

フィッシング詐欺とは?見分け方と対策 →   脅威インテリジェンス実践ガイド →

第8章 おわり — お読みいただきありがとうございました

🧭 このシリーズについて

当サイトでは、日本語と海外のセキュリティ報道を毎日集めて突き合わせ、「世界では動いているのに、日本ではまだ話題になっていない」テーマを探しています。この記事も、その分析から生まれた1本です。

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