ランサムウェアとは?意味・最新の手口・対策・感染したときの初動
「データを人質に取るウイルス」という説明は、もう半分しか合っていません。
30秒でわかる「ランサムウェア」
- データを使えなくして金銭を要求するマルウェア。ただしいまの主流は「暗号化」より先に「盗む」ことです。
- 攻撃者はVPN機器などから侵入し、社内を移動してデータを持ち出し、最後に暗号化します。暗号化は攻撃の終わりであって始まりではありません。
- 2025年の国内報告は226件。被害組織の約6割が中小企業、侵入経路の6割以上がVPN機器でした(警察庁、2026年3月公表)。
- 誤解:「バックアップがあれば大丈夫」。実際はバックアップも一緒に暗号化されることが多く、盗まれたデータの公開は止められません。
- 今日やること:バックアップを1本、ネットワークから物理的に切り離す。それだけで復旧の見込みが変わります。
この記事の地図(全8章)
ニュースで「ランサムウェアの被害」という言葉を見て、意味を調べに来た方が多いと思います。あるいは、取引先から「弊社がランサムウェア攻撃を受けました」という連絡が届いて、何が起きているのかを知りたい方かもしれません。
言葉の意味を書いた解説はすでにたくさんあります。この記事はそこで終わりません。実際にどんな順番で攻撃が進むのか、どの段階までなら自力で止められるのか、そして被害に遭ったときの最初の10分に何をするのかまで書きます。日本国内の数字は、警察庁が2026年3月に公表した資料から直接引用しました。
この記事は2026年8月16日時点の内容です。国内の統計はすべて警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年3月公表、2025年の状況)から引用し、出典を記事末に記載しています。
アンケート調査にもとづく数値は、有効回答数が項目ごとに異なるため、警察庁資料の表現(「約6割」「5割を超えている」等)をそのまま使っています。確認できなかったことは、確認できなかったと書いています。
ランサムウェアとは(やさしい定義)
「身代金要求型ウイルス」という説明では足りなくなっています
端末やサーバーのデータを使えない状態にしたり、盗んで公開すると脅したりして、その解除の対価に金銭や暗号資産を要求する不正なプログラムのことです。
ここで注意したいのは、この定義が数年のあいだに変わってきたことです。ひと昔前の解説は「データを暗号化して、戻したければ金を払えと要求する」とだけ書いていました。今もそれは間違いではありませんが、それだけでは現実の被害を説明できません。
警察庁の資料は、現在の状況をこう説明しています。データを盗んだうえで「対価を支払わなければ当該データを公開する」と要求する二重恐喝が被害の多くを占め、実際に事業者の財務情報や個人情報がダークウェブ上のリークサイトに掲載される事例が多数確認されている、と。さらに、暗号化を一切せず、盗んだデータの公開だけをちらつかせる手口も発生しています。
つまり、いま「ランサムウェア」と呼ばれているものは、次の3つを含む言葉になっています。
| 型 | 攻撃者がすること | 脅しの材料 | バックアップで解決するか |
|---|---|---|---|
| 暗号化型 (従来型) | データを暗号化して使えなくする | 「戻してほしければ払え」 | 条件つきで有効。ただしバックアップごと暗号化されることが多い |
| 二重恐喝 (現在の主流) | データを盗んでから暗号化する | 「戻してほしければ払え」 +「払わなければ公開する」 | 復旧はできても公開は止められない |
| ノーウェア ランサム | 暗号化せずデータを盗むだけ | 「払わなければ公開する」 | まったく無関係。そもそも壊されていない |
型の分類は、警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』の記述をもとに筆者が整理したものです。ノーウェアランサムの被害は令和5年(2023年)上半期から集計されています。
「画面が使えているから被害はない」が通じなくなった
暗号化されれば嫌でも気づきます。しかしノーウェアランサムは、何も壊れていないのに情報だけが外に出ている状態です。被害の中心が、目に見えないところへ移りました。
第1章 おわり — 次は第2章
なぜ今これが問題なのか
2025年の日本で、実際に何が起きていたか
警察庁が2026年3月に公表した資料によると、2025年(令和7年)のランサムウェア被害報告件数は226件でした。前年の222件からわずかに増え、2022年以降ずっと高い水準で推移しています。件数だけを見ると「思ったより少ない」と感じるかもしれません。しかし、この226件は警察に報告された数であり、被害の全体像ではありません。そして1件あたりの重さが、数字以上に深刻です。
| 何を見た数字か | 2025年の状況 |
|---|---|
| 被害報告件数 | 226件(前年222件) |
| 被害組織の規模 | 中小企業が約6割(前年と同様) |
| 被害組織の業種 | 製造業が約4割。卸売・小売業、サービス業、情報通信業が続く |
| 侵入経路 | VPN機器が6割以上を占める |
| 調査・復旧の総額 | 1,000万円以上を要した組織が全体の5割超 |
| 復旧に要した期間 | 1か月未満で復旧できたのは5割強にとどまる |
| サイバー攻撃を想定したBCPの策定率 | 被害組織のうち約18% |
出典:警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年3月)。復旧期間・費用・BCPの数値は被害企業・団体へのアンケート結果にもとづくもので、有効回答数は項目ごとに異なります。
この表で最も重要なのは、下から3行です。復旧に1,000万円以上かかった組織が半数を超え、1か月以内に復旧できた組織は半数強しかない。そして被害組織の約6割が中小企業です。専任の情報システム担当がいない会社が、1,000万円と1か月を突然突きつけられている、というのが現実の姿です。
IPA(情報処理推進機構)が2026年1月に公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向けの脅威の1位は「ランサム攻撃による被害」でした。この項目は2016年の初選出から数えて11年連続11回目の選出です。10年以上、日本の組織にとって最大級の脅威であり続けています。
数字の読み方に注意
「226件」は警察に報告された件数です。報告していない組織、そもそも被害に気づいていない組織は含まれません。件数の増減だけで「増えた」「落ち着いた」と判断するのは危険です。件数より、1件あたりの復旧費用と期間を見るほうが実態に近いと考えられます。
2025年下半期には、社会的に大きな影響が出た事案も起きました。9月には飲料メーカー大手がサーバーへの攻撃を公表し、製品の受注・出荷が停止したうえ、顧客や従業員の個人情報約191万件が漏えいまたはそのおそれがあるとしています。10月には通販大手が同様の被害を公表し、受注・出荷への影響と、約74万件の個人情報漏えいのおそれが判明しました(いずれも警察庁資料の記載にもとづきます)。
個別の事案をもっと詳しく
2025年10月の通販大手の事案については、企業側の備え(BCP)という切り口で アスクルを襲ったランサムウェア攻撃から学ぶ — 企業が取るべき備えとは で扱っています。
第2章 おわり — 次は第3章
実際にどう起きるのか(7段階)
どこまでなら、まだ止められるのか
ランサムウェア攻撃は、ある日突然パソコンの画面が真っ赤になる、というものではありません。暗号化は攻撃の最終段階です。そこに至るまでに、攻撃者は何日も、ときには何週間も社内ネットワークの中にいます。
かつて主流だった「怪しい添付ファイルを開いて感染」という経路は、警察庁の資料でも「標的型攻撃メール等の添付ファイルによる感染は少なくなっている」と明記されています。代わりに増えたのが、インターネットに露出した機器から遠隔操作で入ってくる手口です。
以下は、警察庁が示した攻撃の流れを、「その段階で気づけるか」「そこで止められるか」という視点で並べ直した表です。この視点で整理した表は他ではあまり見かけないと思います。
| 段階 | 攻撃者がすること | 気づける手がかり | ここで止める方法 |
|---|---|---|---|
| 1 侵入 | VPN機器などの未修正の脆弱性、漏えいした認証情報、簡単なパスワード、設定の不備を悪用して入り込む | 見慣れないVPNログイン、深夜や海外からのログイン記録 | 最も効く段階。VPN機器の更新、多要素認証、使っていないアカウントの停止 |
| 2 権限の奪取 | 管理者権限を取りにいき、セキュリティ機能を無効化しようとする | 管理者アカウントの追加、ウイルス対策ソフトが突然停止する | 管理者権限の分離、セキュリティ製品の設定変更に承認を要求する |
| 3 内部の探索 | ネットワーク内部を歩き回り、重要データとバックアップの場所を探す | 普段アクセスしない共有フォルダへの大量アクセス | ネットワークの分割、アクセス権限の見直し、ログの監視 |
| 4 データの窃取 | データをクラウドストレージなどへアップロードして持ち出す | 外向きの大量通信。ここを見ていない組織が多い | ここが分かれ目。これを過ぎるとバックアップは公開を止める役に立たない |
| 5 暗号化 | ランサムウェアを起動。復旧を妨害するためバックアップも一緒に暗号化する場合が多い | ファイルが開けない、拡張子が変わる | この時点ではもう止まらない。オフラインバックアップの有無だけが効く |
| 6 脅迫 | 「脅迫状(ランサムノート)」をデスクトップ等に置き、連絡と支払いを要求する | 画面に脅迫文が表示される | 対応フェーズへ(第7章) |
| 7 痕跡の消去 | ログや使用したツールを消して撤収する | 調査しようとしたらログが無い | ログを外部に退避していたかどうかで、原因究明ができるかが決まる |
警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』の「ランサムウェア攻撃の代表的な流れ」の記述をもとに、筆者が「気づける手がかり」「止める方法」の観点を加えて整理しました。公式な分類ではありません。
この表からわかることが2つあります。
1つめは、止められるのは1〜3の段階までだということ。そして最も効果が高いのは段階1、つまり入口です。侵入経路の6割以上がVPN機器だという統計は、裏を返せばVPN機器の管理だけで大半の攻撃の入口が塞げるということでもあります。
2つめは、段階4を過ぎたらバックアップは万能ではなくなるということです。データはもう外に出ています。復旧はできても、公開されることは止められません。「バックアップさえあれば」という考え方は、二重恐喝が主流になった時点で半分しか通用しなくなりました。
第3章 おわり — 次は第4章
よくある誤解と、似ている用語
言葉の整理が、そのまま対策の整理になります
2つの理由で、これは成り立ちません。
理由1:攻撃者は段階3でバックアップの場所を探し、段階5でバックアップごと暗号化します。警察庁の資料にも「復旧を妨害するため、バックアップも一緒に暗号化される場合が多い」と明記されています。ネットワークにつながったままのバックアップは、攻撃者から見れば普通のフォルダです。
理由2:仮にバックアップから完全に復旧できても、段階4ですでに持ち出されたデータの公開は止められません。復旧と、情報漏えいは別の問題です。
もうひとつ、混同されやすい言葉を整理しておきます。ニュースで並んで出てくる語ですが、指しているものの階層がそれぞれ違います。
| 用語 | 何を指す言葉か | ランサムウェアとの関係 |
|---|---|---|
| 二重恐喝 (ダブルエクストーション) | 脅し方の名前 | 暗号化と情報公開の2段構えで要求する手口。現在の被害の多くを占める |
| ノーウェアランサム | 脅し方の名前 | 暗号化を省き、盗んだデータの公開予告だけで要求する手口 |
| RaaS (Ransomware as a Service) | 商売の形の名前 | 開発グループが攻撃に必要な環境を提供し、見返りに身代金の一部を受け取る仕組み。高度な技術がなくても攻撃が実行できるようになった |
| アフィリエイト | 役割の名前 | RaaSを使って実際に攻撃を行う実行者。同じランサムウェアでも実行者ごとに手口が異なる理由 |
| リークサイト | 場所の名前 | 盗んだデータを公開するために攻撃グループがダークウェブ上に用意したサイト |
| マルウェア | 上位分類の名前 | 悪意あるソフト全般。ランサムウェアはその一種 |
RaaSとアフィリエイトの説明は警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』の記述にもとづきます。
この表を見ると、ニュースの見出しが読みやすくなります。「RaaSグループを摘発」は商売の元締めを止めたという話であり、「二重恐喝の被害」は脅され方の話です。実際、警察庁の国際共同捜査によって攻撃グループが摘発された結果、特定の種別による被害は大きく減っています。資料には、2024年に多くの被害が報告された「LockBit」が31件から19件へ、「Phobos/8Base」が23件から1件へ減少したと記載されています。一方で2025年は「Qilin」という種別の割合が急増しており、取り締まりで一つが減っても別が伸びるという構図が続いています。
第4章 おわり — 次は第5章
個人・家庭でやる対策
今日、無料で、10分でできる順に
先に正直に書きます。ランサムウェアの主な標的は企業・団体であり、個人が中心ではありません。警察庁の統計も企業・団体等の被害報告が対象です。ですから「個人のパソコンが暗号化されて身代金を要求される」という場面を過度に恐れる必要はありません。
ただし、個人にも関係する経路が3つあります。家庭のNAS(ネットワーク接続の外付けハードディスク)、クラウドストレージのアカウント乗っ取り、そして勤務先の仕事用パソコンです。とくに3つめは、あなたの一手が会社の入口になり得ます。
| 優先 | やること | 時間 | 費用 | 何が変わるか |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 大事なデータのバックアップを1本、物理的に切り離して保管する(USBハードディスクにコピーして、終わったら抜く) | 15分 | 無料〜数千円 | つながっていないバックアップは暗号化されない。これが唯一、確実に効く手 |
| 2 | OSとアプリの自動更新を有効にする | 5分 | 無料 | 攻撃の入口になる「未修正の脆弱性」を減らす |
| 3 | メール・クラウド・SNSの主要アカウントに多要素認証(できればパスキー)を設定する | 10分 | 無料 | 認証情報が漏れても、それだけでは入られない |
| 4 | 家庭のNAS・ルーター・防犯カメラの管理画面が、初期パスワードのままでないか、外から見える状態でないか確認する | 30分 | 無料 | 企業と同じ「露出した機器からの侵入」を家庭で防ぐ |
| 5 | 仕事用パソコンを私用ネットワークにつなぐときのルールを確認する | — | 無料 | 自分が会社への入口にならないようにする |
優先順位は、第3章の「段階1で止めるのが最も効く」という考え方にもとづく筆者の整理です。
もっと詳しく
手順の詳細は パスワードの守り方、多要素認証とパスキーの選び方、ルーターの乗っ取りを防ぐ設定 で紹介しています。
第5章 おわり — 次は第6章
会社・組織でやる対策
専任の担当者がいない会社を想定して書きます
被害組織の約6割が中小企業です。つまりこの章の読者の多くは、セキュリティ専任者がいない組織にいるはずです。高価な製品を並べても運用できません。効果の大きい順に、運用できる範囲だけを挙げます。
警察庁の資料は、備えについてこう書いています。
基本的なセキュリティ対策の徹底を継続することが最も重要であり、例えば、ソフトウェア更新、パスワードの適切な管理、アクセス権限等の適切な設定等であり、特に、主要な侵入経路であるVPN機器等は速やかな対応が必要である。
出典:警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年3月)目新しい話は1つもありません。更新・パスワード・権限・VPN機器。この4つが最初に来ています。派手な製品よりも先に、ここが済んでいるかどうかで結果が変わるということです。
| 対策 | 第3章のどの段階を止めるか | 導入の重さ | 根拠 |
|---|---|---|---|
| VPN機器・境界機器の更新と設定見直し | 段階1(侵入) | 軽い | 侵入経路の6割以上がVPN機器(警察庁) |
| オフラインバックアップ (ネットワークから切り離した保管) | 段階5の被害を軽くする | 軽い | 「暗号化対策となるオフラインバックアップといった情報資産の管理」(警察庁) |
| ログの取得と外部への退避 | 段階7(痕跡消去)に備える | 中 | 「侵害範囲特定に不可欠なログの取得」(警察庁) |
| 多要素認証・権限の最小化 | 段階1〜2 | 中 | 漏えいした認証情報の悪用を防ぐ |
| サイバー攻撃を想定したBCPの策定 | 段階5〜6の後の混乱を減らす | 中 | 被害組織の策定率は約18%(警察庁) |
| EDR等による侵入後の検知 | 段階2〜4 | 重い(運用する人が要る) | 入口対策だけでは段階4を捉えられない |
「導入の重さ」は筆者の評価です。組織の規模・体制によって異なります。
BCPは「地震のBCP」の流用では足りない
警察庁の資料は、ランサムウェアによるデータの暗号化は地震等の物理的災害とは被害の状況が異なり、調査・復旧作業や広報の在り方も異なる対応が求められる、と指摘しています。「災害時マニュアルがあるから大丈夫」ではなく、サイバー攻撃を想定した版を別に用意する必要があります。
企業向け ランサムウェア被害復旧コストシミュレータ
「1,000万円以上が5割超」という統計を、自社の規模に置き換えるとどうなるか。停止日数と従業員数から、復旧にかかる規模感を試算できます。
無料でシミュレーションする第6章 おわり — 次は第7章
もし起きたら:最初の10分
順番を間違えると、原因が二度と分からなくなります
画面に脅迫文が出た、ファイルが開けない、取引先から「御社から不審な通信が来ている」と連絡が来た。そういう場面での話です。まず、誰かを責めても事態は動きません。やるべきことだけを順番に書きます。
| 順 | やること | やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 感染した端末をネットワークから切り離す(LANケーブルを抜く/Wi-Fiを切る) | 慌てて電源を切る | 警察庁は「慌てて電源をオフにすると、ログ等の侵入の痕跡が失われてしまい、その後のフォレンジック調査が困難になる可能性がある」と明記しています |
| 2 | 画面の脅迫文、ファイル名、日時を写真で記録する | 脅迫文を消す・端末を初期化する | 後の調査と、警察への相談で必要になります |
| 3 | ログなどのデータを保全する。判断できる人に連絡する | 担当者が一人で復旧を試みる | 初動は被害拡大防止とデータ保全が目的で、復旧はその後です |
| 4 | 早期に警察・関係機関へ通報・相談する | 「大ごとにしたくない」と様子を見る | 警察は状況に応じて初動対応への助言や、復号ツールの提供等の支援を行うことがあります |
| 5 | 個人情報が関わる場合は、報告義務の要否を確認する | 確定してから報告しようと待つ | 「おそれ」の段階で対応が必要になる場合があります |
1〜4の内容は警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』の「ランサムウェア被害後の対応策」にもとづきます。5については、個別の判断は個人情報保護委員会の案内および専門家にご確認ください。
身代金を支払うべきか
警察庁は被害者に対して、「犯罪グループ等の活動資金となることが懸念される」「暗号化されたデータの復号が保証されるわけではない」という2点を説明している、としています。払えば戻るという保証はどこにもありません。判断は組織の状況によりますが、少なくとも「払えば解決する」という前提は成り立ちません。
相談先(公的機関)
- 都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口(緊急性が高い場合は110番)
- 警察相談専用電話 #9110
- IPA 情報セキュリティ安心相談窓口
- JPCERT/CC(組織としてのインシデント報告)
- 個人情報の漏えいが疑われる場合:個人情報保護委員会
感染端末が切り離され、証拠が残り、判断できる人と外部の支援先につながっている状態です。ここから先は復旧のフェーズで、時間はかかりますが被害の拡大は止まっています。焦って端末を初期化しなかったことが、原因究明と再発防止の分かれ目になります。
手元に置いておく用の早見表
状況別の初動は やられたときの最初の30分|サイバー被害インシデント初動 早見表【8ケース対応】、組織としての手順は インシデント対応プレイブック完全ガイド にまとめています。
第7章 おわり — 次は第8章
関連用語と、次に読む記事
この語とセットで覚えると理解が早くなります
| こんな方に | 次に読む記事 |
|---|---|
| 盗まれたデータがどこへ行くのか知りたい | なぜ企業データはダークウェブに公開されるのか? |
| 被害の実態を数字で見たい | ランサム被害の222社が身代金を支払っていた |
| 入口になる機器の話を知りたい | 境界機器が狙われる理由とは?ESXiランサムウェア攻撃の全体像 |
| 企業の備えの実例を見たい | アスクルを襲ったランサムウェア攻撃から学ぶ |
| ログが残っていない問題を掘り下げたい | なぜ「ログは取っているのに守れない」のか? |
| いま被害に遭っている | やられたときの最初の30分(早見表) |
第8章 おわり — 最後にFAQ
ランサムウェアについてよく聞かれること
検索でよく見かける疑問から
身代金を払えばデータは戻りますか?
戻る保証はありません。警察庁は被害者に対し「暗号化されたデータの復号が保証されるわけではない」ことと、「犯罪グループ等の活動資金となることが懸念される」ことを説明しているとしています。また、二重恐喝の場合は、仮に復号できても盗まれたデータが公開されないという保証は別途得られません。
個人のパソコンも狙われますか?
統計上の被害報告は企業・団体が中心で、個人が主な標的ではありません。ただし家庭のNASやクラウドアカウントは対象になり得ます。また、仕事用の端末を経由して勤務先が狙われる可能性があるため、個人としての対策には意味があります。
ウイルス対策ソフトを入れていれば防げますか?
入口対策として必要ですが、それだけでは十分ではありません。現在の主流は、メールの添付ファイルではなくインターネットに露出した機器から遠隔操作で侵入する手口です。ウイルス対策ソフトが監視するのは主に端末上のファイルの挙動であり、VPN機器の脆弱性や、盗まれた正規の認証情報でのログインは対象外になります。
感染したら、まず電源を切るべきですか?
いいえ。まずネットワークから切り離してください。警察庁は「慌てて電源をオフにすると、ログ等の侵入の痕跡が失われてしまい、その後のフォレンジック調査が困難になる可能性がある」と注意を促しています。ただし、物理的な被害の拡大が明らかな場合など、個別の状況によって判断が変わることがあります。判断に迷う場合は、電源を切らずに専門家・警察に相談してください。
出典・参考
- 警察庁サイバー警察局『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年3月公表)特集Ⅱおよび統計編 https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R7/R07_cyber_jousei.pdf
- IPA 独立行政法人情報処理推進機構『情報セキュリティ10大脅威 2026』(2026年1月29日公表) https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html
- 政府広報オンライン「中小企業で被害多数 ランサムウェア」(2025年6月) https://www.gov-online.go.jp/useful/202506/video-298784.html
最終更新:2026年8月16日/次回見直し予定:2027年3月(警察庁の年次資料の公表に合わせて)


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