⚡ 先に結論(5行)
- だまされる件数より、盗られる金額のほうが速く増えています。令和5年から令和7年の2年間で、件数は1.9倍なのに被害額は3.6倍。1件あたりの被害が397万円から756万円へ、ほぼ倍になりました。
- 電話でお金を取りに来るタイプの詐欺は、6割前後が検挙されています。オレオレ詐欺59.3%、キャッシュカード詐欺盗59.8%。犯人が受け取りに現れるので、警察が張り込めるからだと考えられます。
- SNSでだますタイプは、20件に1件しか検挙できていません。SNS型投資詐欺4.9%、SNS型ロマンス詐欺4.9%。しかも1件あたりの被害額は1,343万円と、オレオレ詐欺の3.5倍です。
- 「詐欺の被害者=お年寄り」はもう正しくありません。65歳以上の割合は、オレオレ詐欺93.1%に対しSNS型ロマンス詐欺は18.0%。SNS型投資詐欺のいちばん多い被害者は50代です。
- あなたがやること:親世代には「警察・銀行・役所を名乗る電話が来たら、いったん切って自分でかけ直す」。現役世代の自分自身には「SNSで知り合った相手から投資や送金の話が出た時点で終わり」。守る対象と手口が、世代で違います。
📌 一言でいうと ── 詐欺は「高齢者を電話でだます犯罪」から「働く世代をスマホでだます犯罪」へ、静かに主役が入れ替わりました。
📋 目次
📖 まず、言葉を3つだけ
この記事に出てくる数字を読むために必要なのは、この3つだけです。
この記事で使うデータは何か
使うのは警察庁が毎月公表している「特殊詐欺の認知・検挙状況等について」という統計です。だれでも見られる公開データで、今回は令和8年(2026年)3月までの数字を使っています。
専門用語はほとんど出てきませんが、統計そのものが使っている言葉が3つだけあります。ここを押さえておくと、あとの表がすんなり読めます。
特殊詐欺
警察庁の定義
犯人と顔を合わせないまま、信用させてお金をだまし取る犯罪のまとめ名です。電話でもSNSでも、face to faceでなければここに入ります。 オレオレ詐欺も、SNSの投資話も、ニセの警察官からの電話も、全部この「特殊詐欺」という大きな箱の中身です。
認知件数
=警察が把握した件数
警察が「詐欺があった」と把握した件数のこと。「発生件数」ではありません。 被害者が届け出なければ数に入らないので、実際に起きた数はこれより多いはずだ、と考えながら読むのが正しい読み方です。
実質的な被害総額
=実際に抜かれた金額
だまし取られた現金だけでなく、盗られたキャッシュカードでATMから引き出された金額まで含めた合計です。 「カードを渡しただけ」でも、そこから下ろされた額はここに入ります。実際に財布から出ていった金額に近い数字だと思ってください。
「検挙件数」は出てきますが、「検挙率」という言葉は使いません
この記事では、検挙件数を認知件数で割った数字を何度か出します。ただしこれは正式な「検挙率」ではありません。去年より前に起きた事件を今年つかまえた分も検挙件数に入るので、100%を超えることすらあります(実際、預貯金詐欺は109%でした)。
それでも手口どうしを比べる材料としては十分に使えるので、この記事では「つかまえやすさの目安」として扱います。厳密な率ではない、とだけ覚えておいてください。
📈 件数より、金額のほうが速く増えている
「詐欺が増えた」というニュースは、実は2つの別々の話が混ざっています。
件数が2倍なら、被害額も2倍のはず?
ふつうはそう考えます。だまされる人が2倍になれば、盗られる金額も2倍。ところが実際の統計はそうなっていません。
令和5年から令和7年の2年間で、件数は1.9倍。でも被害額は3.6倍になりました。増え方のスピードが違うのです。ここが今回いちばん大事な入口になります。
📊 認知件数と被害総額の伸び方(令和5年=100とした指数)
2本の線が離れていくのが見えると思います。これは、だます相手の人数を増やしているのではなく、1人あたりから取る金額を増やしているということです。実際、1件あたりの被害額はこう動いています。
💰 1件あたりの被害額の推移
| 年 | 認知件数 | 被害総額 | 1件あたり |
|---|---|---|---|
| 令和5年(2023) | 22,884件 | 908億円 | |
| 令和6年(2024) | 31,280件 | 1,991億円 | |
| 令和7年(2025) | 42,900件 | 3,241億円 | |
| 令和8年 1〜3月 | 11,093件 | 938億円 |
※ 令和8年は1〜3月の3か月分。令和7年・8年の数値は暫定値です。
令和8年の1〜3月だけで、被害総額は938億円。前年の同じ3か月(524億円)の1.8倍です。件数の伸びは+30%なのに、金額は+79%。この記事を書いている時点で、この流れは止まっていません。
では、1件あたりの金額を押し上げているのは誰なのか。次のセクションで手口ごとにばらしてみると、犯人像がかなりはっきり見えてきます。
⚖️ 捕まる詐欺と、捕まらない詐欺
手口ごとに並べると、はっきり2つのグループに割れます。
ここからが今回の本題です。「特殊詐欺」という1つの箱に入っている13種類の手口を、令和8年1〜3月のデータでバラバラにして、認知件数・1件あたりの被害額・つかまえやすさの3つで並べます。この3か月は13手口すべてで同じように統計が取られているので、比べるのに一番きれいなデータです。
📊 手口別の一覧(令和8年1〜3月)
| 手口 | 認知件数 | 被害総額 | 1件あたり | 検挙件数÷認知件数 |
|---|---|---|---|---|
| SNS型投資詐欺 | 3,397件 | 456億円 | 1,343万円 | |
| ニセ警察詐欺 | 2,204件 | 222億円 | 1,009万円 | |
| 架空料金請求詐欺 | 1,556件 | 43億円 | 279万円 | |
| SNS型ロマンス詐欺 | 1,308件 | 136億円 | 1,039万円 | |
| オレオレ詐欺 | 788件 | 30億円 | 386万円 | |
| 還付金詐欺 | 639件 | 14億円 | 212万円 | |
| キャッシュカード詐欺盗 | 356件 | 4億円 | 109万円 | |
| 預貯金詐欺 | 234件 | 2億円 | 97万円 | |
| 特殊詐欺 合計(13手口) | 11,093件 | 938億円 | 846万円 |
※ 件数の多い8手口を抜粋(合計行は13手口すべての合計)。預貯金詐欺の109%は、過去の年に起きた事件の検挙を含むため100%を超えています。
数字が2つのグループにきれいに割れているのが分かるでしょうか。
捕まるグループ
オレオレ・還付金・キャッシュカード詐欺盗・預貯金
49〜109%
捕まらないグループ
SNS型投資・SNS型ロマンス・架空料金請求・ニセ警察
4.9〜10.9%
金額は逆
捕まらないグループのほうが
1件あたり3〜13倍
件数も逆
上位4手口のうち
3つが捕まらない側
つまり 「件数が多く、1件の被害が大きく、そして犯人が捕まらない」という最悪の組み合わせが、SNSを使った手口に集中しているのです。SNS型投資詐欺だけで、3か月で456億円。これは特殊詐欺全体の被害額の約49%にあたります。SNS型ロマンス詐欺と足すと、被害額の63%がSNS発の2手口という計算になります。
「オレオレ詐欺が減った」というニュースの読み方
オレオレ詐欺の認知件数は令和6年の6,752件から令和7年の3,697件へ、たしかに半分近くまで減りました。ただしこれは手口の分け方が変わったことによる部分が大きい点に注意が必要です。
令和8年1月から「ニセ警察詐欺」が新しい分類として独立しました。それまでオレオレ詐欺などに含まれていた「警察官を名乗って捜査を装う」パターンが、そちらへ移ったのです。減ったのではなく、別の名前の箱に移ったと考えるほうが実態に近い。全体の被害額が過去最悪を更新し続けているのが、その証拠です。
🔍 なぜここまで差がつくのか
分かれ目は「犯人が、被害者の前に姿を現す必要があるかどうか」です。
捕まるほうの詐欺には、必ず「取りに来る人」がいる
オレオレ詐欺やキャッシュカード詐欺盗では、最後に誰かが現金やカードを受け取りに来ます。この役をする人を「受け子」と呼びます。
受け取りに来るということは、時間と場所が決まるということです。家族が気づいて通報すれば、警察はその場所で待てます。だから捕まる。統計上つかまえやすさが6割前後になっているのは、この構造のためだと考えられます。
🔧 お金の渡り方のちがい
反対に、SNS型の詐欺ではお金を動かすのは被害者自身です。犯人はスマホの画面の向こうにいるだけで、一度も姿を見せません。振込先の口座は他人名義のものが使われ、暗号資産に替えられてしまえば追跡はさらに難しくなります。相手がそもそも日本にいないこともあります。
そしてもう一つ、見逃せない数字があります。警察の検挙件数そのものは、7年間ほとんど増えていないのです。
📉 認知件数は2.5倍。でも検挙件数は横ばい
| 年 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙件数÷認知件数 |
|---|---|---|---|
| 令和元年(2019) | 16,851件 | 6,817件 | |
| 令和3年(2021) | 14,498件 | 6,600件 | |
| 令和5年(2023) | 22,884件 | 7,212件 | |
| 令和6年(2024) | 31,280件 | 6,838件 | |
| 令和7年(2025) | 42,900件 | 7,188件 |
※ 検挙件数は7年間で6,600〜7,424件の範囲に収まっています。令和7年は暫定値。
この表は「警察が手を抜いている」という意味ではありません。捕まえにくい種類の詐欺だけが増えたので、同じだけ検挙しても割合が下がっている、と読むほうが実態に合っています。実際、捕まえやすいオレオレ詐欺・預貯金詐欺の検挙件数はこの間もしっかり維持されています。
だから「返ってこない」前提で考える
捕まらないということは、お金も戻ってこない可能性が高いということです。SNS型投資詐欺の1件あたりの被害額は1,343万円。老後資金や退職金がまるごと消える金額です。「あとで取り返せばいい」は成立しません。渡す前に止めるしかない、というのがこの数字の意味するところです。
👥 狙われる年齢は、手口ごとに全然違う
「詐欺の被害者はお年寄り」は、半分しか当たっていません。
警察庁の統計には、手口ごとの被害者の年齢と性別も載っています。ここを見ると、いちばん常識がひっくり返ります。被害者に65歳以上が占める割合を、手口ごとに並べてみます。
👵👨 被害者に占める65歳以上の割合(令和8年1〜3月)
| 手口 | 65歳以上の割合 | いちばん多い層 |
|---|---|---|
| キャッシュカード詐欺盗 | 80代女性(58.4%) | |
| 預貯金詐欺 | 80代女性(59.4%) | |
| オレオレ詐欺 | 80代女性(42.0%) | |
| 還付金詐欺 | 70代女性(17.2%) | |
| 特殊詐欺 全体 | 50代男性(10.0%) | |
| ニセ警察詐欺 | 70代女性(11.8%) | |
| 架空料金請求詐欺 | 20代女性(11.8%) | |
| SNS型投資詐欺 | 50代男性(14.3%) | |
| SNS型ロマンス詐欺 | 50代男性(20.2%) |
※ 「いちばん多い層」は年代×性別の組み合わせで最も割合が高かったもの。3か月分の集計です。
同じ「特殊詐欺」なのに、65歳以上の割合が99.4%の手口と18.0%の手口が同居している。これはもう、別の犯罪だと考えたほうがいいレベルの違いです。
80代の女性
キャッシュカード詐欺盗・預貯金詐欺・オレオレ詐欺
いわゆる「昔ながらの詐欺」の中心です。キャッシュカード詐欺盗では被害者の58.4%が80代女性。 警察官や銀行協会の職員を名乗る電話がかかってきて、「カードが不正利用されている」と言われ、 カードを封筒に入れて用意させられ、目を離したすきにすり替えられるのが典型です。
50代の男性
SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺
いま最も金額が大きいのがここです。SNS型ロマンス詐欺では被害者の20.2%が50代男性で、単独の最多層。 SNS型投資詐欺も50代が男女ともピークです。 退職金や貯蓄がある一方で、投資の経験が浅い層が、時間をかけて信用させられて狙われている構図が読み取れます。
20〜30代
架空料金請求詐欺・融資保証金詐欺
意外に見えるかもしれませんが、若い世代も確実に狙われています。架空料金請求詐欺の最多層は20代女性(11.8%)。 スマホに突然出る「ウイルスに感染しました」の偽警告や、未払い料金を装うSMSがきっかけになります。 融資保証金詐欺では30代男性が21.3%を占め、65歳以上はわずか5.3%でした。
全世代(ニセ警察詐欺)
令和8年から独立した新分類
この手口だけは、被害者の年齢がきれいにバラけているのが特徴です。20代男性7.7%、30代15.6%、70代女性11.8%。 65歳以上は39.7%で、全体平均とほぼ同じ。年齢による安全地帯がない手口だと言えます。 3か月で2,204件・222億円と規模も大きく、いま最も警戒すべき新顔です。
だから「自分は関係ない」がいちばん危ない
「詐欺=高齢者の話」だと思っている50代の男性が、いま金額ベースでは最大の被害者層になっている。このズレそのものが、犯人にとっての武器です。警戒していない人ほど、だましやすい。
あなたが親のことを心配する立場なら、心配する手口は80代向けのもの(オレオレ・カード)です。同時に、あなた自身が狙われている手口は別にある(SNS型・ニセ警察)と考えてください。
🛡️ では、どうやって身を守るか
手口が2つのグループに分かれるなら、対策も2つに分けるのが合理的です。
📞 親世代を守る(電話型)
- 固定電話を常時留守番電話にしてもらう
- 「警察・銀行・役所」を名乗る電話は必ず切ってかけ直す
- かけ直す番号は相手が言った番号ではなく、自分で調べた代表番号
- カードや通帳を人に渡す手続きは存在しないと伝えておく
- ATMで携帯電話を使わせる話は100%詐欺
📱 自分を守る(SNS型)
- SNSやマッチングアプリで知り合った相手からの投資・送金の話が出たら終了
- 「あなただけに」「今だけ」「元本保証」は全部おかしい
- 入金先が個人名義の口座/暗号資産なら確実に詐欺
- 画面上の残高が増えていても、それはただの表示
- 出金しようとしたら手数料や税金を要求された時点で確定
とくに強調したいのが、SNS型の「出金しようとすると追加のお金を要求される」という段階です。ここが詐欺だと確定する瞬間なのですが、それまでに大きな額を入れてしまっているため、「あと少し払えば全部戻ってくる」と考えて追加で払ってしまう人が多い。1件あたり1,343万円という金額は、こうして積み上がります。
🤝 SNSやアプリで知り合う
投資家、経営者、同郷の人、元自衛官など。プロフィール写真は他人のものが使われます。数日〜数週間、ふつうの雑談が続きます。この段階ではお金の話は出ません。
💬 別のアプリへ誘導される
「こっちのほうが話しやすいから」とLINEや専用アプリへ。ここから投資グループに招待されたり、恋愛関係に近い会話になったりします。ここが引き返せる最後のポイントです。
📈 少額から始めて、儲かる
最初に10万円ほど入れると、画面上で増えて、しかも本当に出金できます。これで信用してしまう。ただし、この時に返ってきたお金は、あとで取る額に比べれば呼び水にすぎません。
💸 大きな額を入れる
「今だけの案件」「枠が空いた」と言われて、数百万〜数千万円を入金。貯金を崩したり、借入をしたりする人もいます。この時点で被害額が確定します。
🚫 出金できない
「税金を先に払え」「手数料が必要」と追加請求。払っても出金できません。ここで初めて詐欺だと分かりますが、相手は連絡を絶ち、検挙される確率は約5%です。
① 親の固定電話は留守番電話設定になっているか ② 家族の間で「お金の話は必ず本人に直接確認する」を決めてあるか ③ 自分のSNSに、投資や副業をすすめてくるアカウントからのDMが来ていないか ④ 「増えている残高」を見せられているサービスに、実際に出金できるか試したか。この4つのうち1つでも「いいえ」があれば、そこが穴です。
迷ったら、警察相談専用電話「#9110」へ
110番ではなく#9110が、緊急ではない相談の窓口です。「これって詐欺でしょうか」という段階で相談できます。お金を渡してしまったあとなら、すぐに110番と、振込先の金融機関へ連絡してください。振込直後であれば口座が凍結され、返ってくる可能性が残ります。
🔬 この数字を読むときの注意点
都合よく読まないために、統計そのものの限界を先に書いておきます。
令和7年・8年は暫定値
警察庁自身が「令和7年、令和8年の数値は暫定値である」と明記しています。あとから修正される可能性があります。 この記事の数字は令和8年3月時点で公表されているものです。
「検挙率」ではない
この記事の「つかまえやすさ」は検挙件数÷認知件数です。過去の年に起きた事件の検挙も分子に入るため、預貯金詐欺のように100%を超えることがあります。 手口どうしの比較には使えますが、「10件のうち何件解決したか」ではありません。
分類が何度も変わっている
SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺は令和5年から、ニセ警察詐欺は令和7年から集計が始まりました。 それ以前は他の手口に含まれていたため、古い年と単純に比べられません。この記事が令和5年以降を中心に見ているのはそのためです。
年齢データは3か月分
年齢・性別の構成は令和8年1〜3月の集計です。件数が少ない手口(融資保証金詐欺は77件など)では、 数人の違いで割合が大きく動きます。件数の多い手口ほど信頼して読んでください。
届け出ていない被害は入らない
認知件数は警察が把握した数です。恥ずかしくて言えない、家族に知られたくないという理由で届け出ない人がいる以上、 実際の被害はこの数字より多いと考えるのが自然です。とくにロマンス詐欺は届け出にくい性質があります。
「なぜ」は統計に書いていない
「受け子が来るから捕まる」「暗号資産だから追えない」といった理由の説明は、数字の形から筆者が読み取った解釈です。 警察庁が原因として公表しているものではありません。数字と解釈は分けて読んでください。
📝 まとめ
数字が示していたのは、詐欺という犯罪の「主役交代」でした。
この記事で見てきたことを、もう一度短くまとめます。
被害額の伸びが、件数の伸びを大きく上回っている
令和5年→令和7年で件数1.9倍、被害額3.6倍。1件あたり397万円→756万円。犯人は「人数」ではなく「金額」を増やしています。
手口によって、つかまえやすさが12倍ちがう
オレオレ詐欺59.3%に対し、SNS型投資詐欺は4.9%。犯人が受け取りに現れるかどうかが分かれ目だと考えられます。
捕まらない手口ほど、1件の被害が大きい
SNS型投資詐欺は1件1,343万円。特殊詐欺全体の被害額の約半分を、この1手口が占めています。
狙われる年齢が、手口ごとにまったく違う
65歳以上の割合はキャッシュカード詐欺盗99.4%、SNS型ロマンス詐欺18.0%。守る相手によって、警戒すべき手口が変わります。
電話でお金を取りに来る詐欺は、社会がずいぶん対策を積み上げてきました。留守番電話、ATMでの声かけ、金融機関の窓口確認。その結果、この種類の詐欺は件数も減り、犯人もそれなりに捕まるようになっています。対策は効いているのです。
問題は、その対策がまったく届かない場所に、犯罪が移動したことです。SNSで数週間かけて信用を作り、被害者自身の手で送金させる手口には、留守番電話もATMの声かけも効きません。そして被害額は、電話型の3倍以上になっています。
親世代には「名乗る電話は、いったん切ってかけ直す」。自分自身には「SNSで知り合った相手のお金の話は、内容を問わず断る」。この2つは対象も手口も違う、別々の対策です。両方いります。
最後にもう一度だけ。犯人が捕まらないということは、お金が戻らないということです。SNS型の検挙は20件に1件。この種類の詐欺には、事後のリカバリーがほぼありません。だからこそ、渡す前の一拍が、唯一にして最大の防御になります。


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