このURL、本物?偽物?
フィッシング見きわめクイズ
読む前に、まず解いてみてください。問題 → 答え → ひとこと解説の15連発。出てくる「本物のURL」はすべて公式サイトで実際に確認済みです。
フィッシング詐欺の報告は、2026年6月の1か月だけで72,370件、確認された偽サイトのURLは42,241件にのぼります(フィッシング対策協議会)。狙われたブランドは98件。つまり「自分がよく使うサービス」が入っていないほうが珍しい状況です。
ただ、見分け方そのものは複雑ではありません。URLの「読む場所」を1か所だけ覚えれば、ほとんどの偽サイトはその場で落とせます。この記事は解説を最小限にして、問題→答え→短い解説をひたすら繰り返します。
この記事に出てくる偽物のURLは、すべて「試験用として予約された、存在しないドメイン」(example.com / example.net / .example)で作っています。実在する第三者のサイトを偽物として名指ししないためです。また、問題文のURLは1つもリンクにしていませんので、うっかりタップして飛ぶ心配はありません。一方、本物として出てくるURLは、実際に公式サイト・公式の注意喚起ページで確認したものだけを載せています。
🏠 まず用語を2つだけ:ドメインとサブドメイン
クイズに入る前に、これだけ知っておいてください。この2つの違いが、そのまま「本物か偽物か」の分かれ目になります。
🏠 ドメイン = 家の表札
インターネット上の住所そのもの。世界にひとつだけで、お金を払って登録します。同じものを他人が取ることはできません。
例:smbc.co.jp(三井住友銀行)
🚪 サブドメイン = 部屋の名前
表札を取った人が、自分の敷地の中で付ける名前。無料で、いくつでも、好きな文字で作れます。ドメインの左側に点でつないで足します。
例:direct.smbc.co.jp の direct
つまり、こういうことです。
- 右端のドメイン=お金がかかり、他人は取れない → 信用できる
- 左側のサブドメイン=タダで作り放題、中身は何でも書ける → 信用してはいけない
偽サイトは、この「タダで作り放題」の場所に有名企業の名前を入れてきます。実例で見比べてみてください。いちばん下の行が偽物です。
| URL | サブドメイン(自由) | ドメイン=本当の持ち主 |
|---|---|---|
www.amazon.co.jp | www | amazon.co.jp(Amazon) |
direct.smbc.co.jp | direct | smbc.co.jp(三井住友銀行) |
about.paypay.ne.jp | about | paypay.ne.jp(PayPay) |
www2.etc-meisai.jp | www2 | etc-meisai.jp(ETC利用照会サービス) |
amazon.co.jp.security-check.example.com | amazon.co.jp.security-check | example.com(Amazonとは無関係) |
読み方のコツは「右端から、点で区切って2つぶん」。ただし .co.jp .ne.jp .go.jp のような日本のドメインは末尾が2つで1セットなので、3つぶん読みます(smbc/co/jp で smbc.co.jp)。
🧭 URL全体を分解すると(30秒)
ドメインが出てくる場所は決まっています。https:// のあと、最初の / が出てくるまで——ここだけが住所です。/ より右は、もう住所ではありません。
この例の住所は amazon.co.jp.security-check.example.com、右端から読んで example.com が持ち主です。amazon.co.jp の文字はサブドメイン=名札にすぎません。そして /signin はそのサーバーの中のフォルダ名で、誰でも好きに付けられます。URLで意味があるのは、この黄色の部分だけです。
📌 クイズの内訳(全15問)
🔍 Q1〜Q5:住所の「どこ」を読むか
Amazonからの通知メールに、この2つのどちらかが載っていました。本物はどっち?
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正解:B が本物
Aの住所部分は amazon.co.jp.security-check.example.com。右端から読むと example.com です。amazon.co.jp は、その持ち主が自分のサーバーに付けた名札(サブドメイン)にすぎません。
見分けのコツは「点の数を数えず、右端だけ見る」。左に本物の文字列がどれだけ並んでいても関係ありません。
📌 最初の/ の直前が本当のドメイン
「ハイフンが入っていたら偽物」と聞きました。では本物はどっち?
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正解:A が本物(ハイフンは無罪)
楽天カードの正規サイトは、公式が案内しているとおり https://www.rakuten-card.co.jp/。本物のほうにハイフンが入っています。「ハイフン=偽物」で判定すると、本物を偽物と誤判定してしまいます。
区切りとして意味があるのは点(ドット)だけです。ハイフンは単なる文字の一部で、区切りにはなりません。Bは rakuten.co.jp-card まで全部ひとかたまりの飾りで、右端は example.net。
JR東日本の「えきねっと」。日本の会社なので .co.jp のはず……本物はどっち?
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正解:A が本物(.com でハイフン入りだが正規)
えきねっとの公式サイトは https://www.eki-net.com です。公式の注意喚起ページでも「えきねっとWebサイトのURLは https://www.eki-net.com から始まります」と案内されています。
なお過去には、末尾だけ差し替えた偽サイトが検索広告の上位に表示された事例が報じられています。「日本の会社だから .co.jp のはず」という思い込みは通用しません。正解は覚えるのではなく、公式アプリかブックマークから開くこと。
📌 末尾が.com でも本物はいくらでもある
このURL、実際につながる先はどこでしょう?
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正解:B(@ の右側につながる)
URLに @ が入っていると、@ より左は「ユーザー名」の扱いになり、実際の接続先は @ の右側になります。だから www.smbc.co.jp の文字は完全に飾りです。
開いたあとならブラウザのアドレスバーが本当の接続先を表示してくれますが、メールやSMSの文面で文字列を眺めている段階では、この形がいちばん騙されます。
📌@ を見つけたら、その右側だけ読む
メルカリのログイン画面が開きました。このURLはメルカリのもの?
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正解:メルカリではない(example.com のサイト)
最初の / より右は、そのサーバーの中のフォルダ名です。誰でも好きな名前で作れるので、/jp.mercari.com/ というフォルダを置くだけで「それっぽい」URLが完成します。
メルカリの正規ドメインは日本向けが jp.mercari.com。ブランド名が / の右にある時点で、判定材料としては無価値です。
/ より右にブランド名があっても意味はない
🔒 Q6〜Q9:文字の細工と鍵マーク
ヤマト運輸の不在通知SMS。本物はどっち?(じっくり見てください)
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正解:A が本物(Bは「yarnato」)
Bは yamato の m を r + n の2文字に置き換えています。スマホの小さい文字では「m」にしか見えません。
同じ手口の定番はこのあたりです。l(小文字のエル)と I(大文字のアイ)と 1(数字のイチ)/0(ゼロ)と O(オー)/vv と w。
1文字ずつ読むのは現実的ではありません。だからこそ「自分で入力しない・ブックマークから開く」が最終的な答えになります。
📌 目視での綴りチェックは補助。当てにしすぎないアドレスバーに xn-- という見慣れない文字列が出ました。これは何?
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正解:B(アルファベット以外の文字が使われている印)
日本語やキリル文字などを使ったドメイン名は、内部的に xn-- で始まる形(Punycode)に変換されます。上の xn--80ak6aa92e を戻すと 「аррӏе」——見た目は apple ですが、実際はキリル文字が混ざった別のドメインです(2017年に実証され話題になった例)。
現在のChromeは、ラテン文字に見えるキリル文字などを検出すると、あえて日本語表示をやめてこの xn-- 形式で表示します(Chromium公式のIDN表示ルール)。つまり xn-- は「見た目と中身が違うかもしれない」という警告表示でもあります。
ただし xn-- は日本語ドメインでも普通に出ます(例:「アマゾン」→ xn--cckwcxetd)。xn--=即詐欺ではありませんが、ログイン画面で出てきたら手を止める理由にはなります。
xn-- を見たら「見た目を信じない」に切り替える
鍵マークが表示され、https で始まっています。このサイトは安全?
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正解:B(鍵マークは「本物」の証明ではない)
鍵マークが意味するのは「通信が暗号化されている」ことだけで、「運営者が本物かどうか」は一切保証していません。
理由は単純で、いま主流の「ドメイン認証(DV)証明書」はそのドメインを操作できることさえ確認できれば、無料で、数分で、自動発行されます。組織の実在確認はしません。詐欺サイト側からすれば、鍵マークを付けないほうが手間です。
仕組みの詳細はLet’s EncryptでHTTPS化する全手順で解説しています(=この記事を読むと「誰でも鍵マークを付けられる」ことが実感できます)。
📌 鍵マークは「盗み見されない」印。「本物」の印ではないPayPayを名乗るSMS。本物はどっち?
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正解:A が本物(PayPayの正規ドメインは paypay.ne.jp)
.ne.jp は日本国内のネットワークサービス向けのJPドメインです。PayPayは about.paypay.ne.jp、developer.paypay.ne.jp のように、すべて paypay.ne.jp の下にぶら下げています。
実際の詐欺では、安く大量に取れる末尾(.top .xyz .cfd .icu など)がよく使われます。ただし「その末尾だから詐欺」は言い過ぎです。フィッシングの年次調査(Interisle「Phishing Landscape 2026」)によれば、偽サイトの実数がいちばん多い末尾は今も .com。新しい末尾が上位に来るのは「規模で割った比率」で見たときの話です。
正しい使い方は「この会社が、ログイン画面に、いつもと違う末尾を使うのは変では?」という違和感の材料にすることです。単独の判定基準にはしません。
📌 末尾は「決め手」ではなく「違和感のきっかけ」✅ Q10〜Q15:本物なのに怪しく見えるURL
ここからが本番です。「長い・記号が多い・見慣れない=詐欺」と覚えてしまうと、本物を偽物と誤判定します。その練習をします。
ETCの利用明細を見ようとしたら、こんなURLでした。偽物?
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正解:本物(ETC利用照会サービス)
www2 という数字つきのサブドメイン、ハイフン、意味不明な数字の羅列——怪しい要素が3つそろっていますが、右端は etc-meisai.jp のままです。
ETC利用照会サービスは、東日本高速道路・首都高速道路・中日本高速道路・西日本高速道路・阪神高速道路・本州四国連絡高速道路の6社が運営する正規サービスです。www2 や www3 のような名前は、組織側がサーバーを分けるときに普通に付けます。
マイナポータルを開いたら、URLが勝手に別のものへ変わりました。乗っ取られた?
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正解:問題なし(同じ myna.go.jp 内の順番待ちページ)
混雑時に「順番待ち」のページへ自動で移動する仕組みです。URLは変わりましたが、右端は myna.go.jp のまま=運営者は変わっていません。
しかも .go.jp は日本の政府機関しか登録できないドメインです。詐欺グループが取得することはできません。右端さえ確認できれば、途中でURLが変わっても慌てる必要はありません。
佐川急便を名乗る再配達の案内。本物はどっち?
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正解:A が本物
Bは sagawa-exp.co.jp という文字列を左側に置いただけで、右端は example.net です。
ここで知っておくと強いのが、.co.jp は「日本国内で登記している企業」しか登録できず、原則として1組織1つだけという点です(JPRSの登録ルール)。.go.jp(政府機関)、.ac.jp(大学等)、.lg.jp(地方公共団体)も同様に資格が要ります。
つまり右端が本物の .co.jp なら、その組織はかなり確からしい。だからこそ詐欺側は、右端ではなく左側に .co.jp の文字を紛れ込ませてきます。
.co.jp は「右端にあるとき」だけ意味を持つ
「口座が凍結されました」というSMSに、この短縮URLが貼られていました。どうする?
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正解:B(判断材料がゼロ=開かない)
短縮URLは行き先を隠す道具です。この記事でここまで練習した「右端を読む」が、原理的に使えません。
そして重要なのは、銀行・カード会社・行政が、ログインや個人情報入力へ誘導するために短縮URLを使うことは通常ないという点です。SMS+短縮URL+緊急性を煽る文面、の3点セットはほぼ詐欺と考えて構いません。
📌 読めないURLは「判断保留」ではなく「開かない」📮 日本郵便の荷物追跡。本物はどっち?
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正解:B が本物(日本郵便は japanpost.jp)
Aは「jp」「post」「tsuiseki」と、それっぽい単語をハイフンでつないだだけ。この形の名前は、誰でも数百円〜数千円で好きなだけ作れます。右端は example です。
日本郵便の公式サイトは japanpost.jp で、荷物追跡もこのドメインの下にあります。同社は「不審なメール・SMSおよび架空Webサイト」として繰り返し注意喚起を出しています。
三井住友銀行のネットバンキング「SMBCダイレクト」。本物は3つのうちどれ?
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正解:A が本物(direct.smbc.co.jp)
Aは direct がサブドメイン(飾り)で、右端は smbc.co.jp。三井住友銀行の正規ドメインです。
Bは smbc.co.jp の文字が左側にあるだけで、右端は example.net(Q1・Q12と同じ手口)。Cは smbc-direct というそれっぽい別ドメインで、右端は example(Q14と同じ手口)。
3つとも「smbc」「direct」という文字は入っています。違いは、その文字が右端にあるか、左側の飾りに過ぎないか、それだけです。
🎯 結局ぜんぶ「右端を読む」で解けます🧭 まとめ:15問を1枚の表に
| 見たもの | やること | 関連 |
|---|---|---|
| 長いURL | 最初の / の直前だけ読む(右端から点2つぶん、.co.jp 等なら3つぶん) | Q1 |
| ハイフン | 区切りとして数えない。本物にも普通に入っている | Q2 |
@ が入っている | @ の右側が本当の接続先。左は全部飾り | Q4 |
/ の右にブランド名 | ただのフォルダ名。判定材料にしない | Q5 |
xn-- で始まる | アルファベット以外の文字が使われている印。見た目を信じない | Q7 |
| 鍵マーク 🔒 | 暗号化の印であって本物の印ではない。判定に使わない | Q8 |
| 見慣れない末尾 | 違和感のきっかけ止まり。単独では判定しない | Q9 |
| 途中でURLが変わった | 右端が同じなら組織は同じ | Q11 |
| 短縮URL | 読めない=開かない | Q13 |
右端が .co.jp/.go.jp | 登記・資格の確認が要るドメイン。かなり強い材料 | Q12 |
ここまで15問やっておいて何ですが、URLを読む力は「保険」です。本命の対策はもっと単純で、① メールやSMSのリンクを踏まない ② 公式アプリか、自分が登録したブックマークから開く ③ それで何も起きていなければ、そのメールは無視してよい——この3つだけ。読む力が必要になるのは、うっかり開いてしまった後の1回だけです。
① そのサービスのパスワードを変える(同じパスワードを使い回している他のサービスも全部)。② カード情報を入れたならカード会社へ連絡して停止・再発行。ネットバンキングなら銀行の窓口へ。③ 二要素認証のコードまで入力してしまった場合は、すでにログインされている前提で動く(ログイン履歴の確認、他端末のログアウト)。④ そのうえで通報——偽サイトのURLはフィッシング対策協議会へ、実害が出たら最寄りの警察署へ。警察庁は「フィッシング110番【インターネット・ホットラインセンター】」として窓口を案内しています。
最初の30分で何をするかは被害に遭った直後の30分にやることにまとめています。
🔗 続けて練習したい人へ
この記事は「URLの文字列を読む」練習でした。実際の偽サイトは、画面デザインや日本語の不自然さも含めて総合的に見抜きます。疑似ブラウザで10件の店舗サイトを調査する偽サイト鑑定士(本物の店を偽物と誤判定するとペナルティがあります)と、メール本文そのものを扱うフィッシング詐欺とは?見分け方と対策が続きです。詐欺の見破り訓練をまとめて受けたい方は詐欺撃退シリーズ 道場へどうぞ。
📌 出典・確認方法(2026年8月3日時点)
本記事に「本物」として登場するURLは、すべて公式サイトまたは公式の注意喚起ページで実際に確認し、稼働も確認しています。
- フィッシング対策協議会「2026/06 フィッシング報告状況」(報告件数72,370件/URL件数42,241件/悪用ブランド98件) antiphishing.jp
- えきねっと(JR東日本)公式の注意喚起「えきねっとWebサイトのURLは https://www.eki-net.com から始まります」
- 楽天カード公式「フィッシング詐欺の被害にあわないために」(正規ドメイン
www.rakuten-card.co.jp) - ETC利用照会サービス(東日本高速道路ほか6社)/ヤマト運輸/佐川急便/日本郵便/PayPay/三井住友銀行/メルカリ/マイナポータル 各公式サイト
- JPRS「JPドメイン名の種類と登録資格」(
.co.jpは日本国内で登記している企業、原則1組織1ドメイン名) jprs.jp - Chromium Projects「IDN in Google Chrome」(Punycode表示のルール、スクリプト混在の判定) chromium.googlesource.com
- Interisle Consulting Group「Phishing Landscape 2026」(偽サイトの実数は
.comが最多。比率で見ると新しい末尾が上位) interisle.net - RFC 2606 / RFC 6761(
example.com・.exampleなどの予約名。本記事の偽URLはすべてこれを使用)


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