営業秘密とは?「秘密です」と思っているだけでは、守られません
法律が定める3つの要件、過去10年で最多になった検挙件数、持ち出しの実際の手口、そして中小企業に「鉄壁」が求められていない理由まで。条文と公的資料で確認してまとめました。
30秒でわかる「営業秘密」
- 不正競争防止法が守る情報のこと。秘密管理性・有用性・非公知性の3つを満たしたものだけが該当します
- いちばん落ちやすいのが秘密管理性。経済産業省は「秘密だと主観的に認識しているだけでは不十分」と明記しています
- 2025年の検挙は38事件で前年比72.7%増。過去10年で最多です(警察庁)
- 多いのは転職・独立時の持ち出し。手口はメール添付、複合機で紙に印刷、携帯電話機に入力といった日常の操作です
- 今日やること:自社の重要な情報に「これは秘密だ」と従業員が気づける印が付いているか、1つ確かめる
この記事の地図(全8章)
「これは営業秘密だから、持ち出したら訴えられる」。社内でそう言われて、本当にそうなのか確かめに来た方へ。あるいは、自社の情報を守る立場で、何をどこまでやれば法律の保護を受けられるのか知りたい方へ。
先に結論を書きます。「うちにとって秘密だ」と思っているだけでは、営業秘密になりません。法律が定める3つの要件があり、実務でいちばん落ちるのは1つ目です。この記事は、その3要件と、2025年に何が起きたかを整理します。
この記事は2026年8月20日時点の内容です。条文はe-Gov法令検索、要件の考え方は経済産業省『営業秘密管理指針』(最終改訂 令和7年3月31日)、検挙件数は警察庁『令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について』(令和8年3月)から直接引用しています。
この記事は法律相談ではありません。経済産業省の指針自身が「一つの考え方を示すものであり、法的拘束力を持つものではない」「個別事案の解決は、最終的には裁判所において総合的に判断される」と述べています。実際の判断が必要な場面では、弁護士にご相談ください。
営業秘密とは(やさしい定義)
3つ揃って、はじめて営業秘密です
秘密として管理されている、事業活動に有用な技術上または営業上の情報で、公然と知られていないもの。不正競争防止法が定義しています。
条文はこうです。
この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
出典:不正競争防止法 第2条第6項(e-Gov法令検索で2026年8月20日に確認)この一文に、3つの条件が入っています。どれか1つでも欠けると、法律上の営業秘密ではなくなります。
| 要件 | 条文の言葉 | 意味 | 落ちやすさ |
|---|---|---|---|
| 秘密管理性 | 秘密として管理されている | 秘密にする意思が、従業員に分かる形で示されている | いちばん落ちる |
| 有用性 | 事業活動に有用な技術上又は営業上の情報 | 事業に役立つ情報であること | 比較的通りやすい |
| 非公知性 | 公然と知られていない | すでに世に出ていないこと | 公開したら失われる |
3要件の呼び名は経済産業省『営業秘密管理指針』(最終改訂 令和7年3月31日)の章立てに沿っています。「落ちやすさ」は、同指針が秘密管理性に多くの分量を割いていることを踏まえた筆者の整理です。
覚えておくべきは、営業秘密かどうかは情報の中身では決まらないということです。同じ顧客名簿でも、机の上に置きっぱなしなら営業秘密ではなく、施錠して「マル秘」と示していれば営業秘密になりうる。決めているのは、管理のしかたです。
該当すると、どうなるか
営業秘密にあたる情報を不正な手段で取得・使用・開示した場合、不正競争防止法には刑事罰があります。条文を引きます。
| 行為の例 | 条文 | 刑 |
|---|---|---|
| 不正の利益を得る目的などで、不正アクセスや窃取により営業秘密を取得する | 不正競争防止法 第21条第1項第1号 | 10年以下の拘禁刑もしくは2,000万円以下の罰金、または併科 |
| そうして取得した営業秘密を使用・開示する | 同 第2号 | 同上 |
e-Gov法令検索で2026年8月20日に確認。実際にどの条項が適用されるかは個別の事実関係により、捜査機関と裁判所が判断します。「10年以下の拘禁刑または2,000万円以下の罰金」は、サイバー関連の法律のなかでもかなり重い部類です。
第1章 おわり — 次は第2章
なぜ今これが問題なのか
2025年、検挙が過去10年で最多になりました
警察庁は毎年、営業秘密侵害事犯の検挙状況を公表しています。2026年3月に出た最新版の数字が、はっきりした変化を示しました。
| 年 | 検挙事件数 | 相談受理件数 |
|---|---|---|
| 2021年(令和3年) | 23事件 | 60件 |
| 2022年(令和4年) | 29事件 | 59件 |
| 2023年(令和5年) | 26事件 | 78件 |
| 2024年(令和6年) | 22事件 | 79件 |
| 2025年(令和7年) | 38事件(前年比+16事件、+72.7%) | 74件 |
出典:警察庁生活安全局『令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について』(令和8年3月)。過去10年(平成28年〜令和7年)の検挙事件数は 18/18/18/21/22/23/29/26/22/38 と推移しており、2025年の38事件は10年間で最多です。相談受理件数について同資料は「近年高止まりの状態にある」としています。
そして、同じ資料が原因の傾向を1行で示しています。「営業秘密侵害事犯としては、転職・独立時に営業秘密に関する情報を持ち出す事犯が多くみられる」。外部からの攻撃ではなく、辞める人が持って出るのが主流だということです。
実際の手口を見てみる
同じ資料に載っている2025年の検挙事例を3つ並べます。技術的に高度なものは、ひとつもありません。
| 事例 | 持ち出した情報 | 手口 |
|---|---|---|
| 精密金型等製造販売事業者の元社員ら(57歳ほか) | 金型図面のファイルデータ | 貸与されたパソコンから自分のメールアドレス宛に添付して送信。その後、中国に所在する法人へメールで開示 |
| 介護サービス事業者の元社員(46歳) | 介護サービス利用者に係る情報 | 社内のパソコンを操作し、複合機から紙に印刷して複製を作成 |
| ぱちんこ店の元従業員ら(33歳ほか) | 回胴式遊技機に関する設定情報 | 自分の携帯電話機に入力して複製を作成し、知人にメールで送信 |
出典:同上。いずれも在職中の行為で、令和7年中に不正競争防止法違反(営業秘密の領得・開示など)で検挙されています。年齢は資料の記載どおりです。
この3件が示していること
メールに添付する。複合機で紙に印刷する。携帯電話機に打ち込む。どれも、ふだんの業務でやっている操作そのものです。侵入検知やウイルス対策では止まりません。営業秘密の持ち出しは「攻撃」の顔をしていない—ここが、他のセキュリティ事案といちばん違うところです。だから技術ではなく、権限の設計と、記録が残る仕組みが効きます。
第2章 おわり — 次は第3章
3つの要件は、どこで落ちるのか
「秘密だと思っていた」は、要件になりません
裁判で争われたとき、いちばん問題になるのが秘密管理性です。経済産業省の指針は、この点を明確に書いています。
秘密管理性要件が満たされるためには、営業秘密保有者が当該情報を秘密であると単に主観的に認識しているだけでは不十分である。
出典:経済産業省『営業秘密管理指針』(最終改訂 令和7年3月31日)では何が要るのか。指針は2つの言葉で説明しています。秘密管理意思と認識可能性です。
| 必要なこと | 中身 | 実務での形 |
|---|---|---|
| 秘密管理意思 | 特定の情報を秘密として管理しようとする意思 | 規程、指定、区分 |
| それが示されていること | 秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示される | 表示、アクセス制限、施錠 |
| 認識可能性 | 従業員等が一般的に、かつ容易に認識できる程度であること | 見れば分かる、聞けば分かる状態 |
出典:同指針「(2)必要な秘密管理措置の程度」。必要な措置の内容・程度は「企業の規模、業態、従業員等の職務、情報の性質その他の事情の如何によって異なる」とされています。
言い換えると、判定基準は「その情報に触れる従業員が、秘密だと気づけるか」です。社長の頭の中だけにある「これは大事な情報だ」は、要件を満たしません。
「鉄壁」は求められていません
ここで安心してよい話をひとつ。指針は、過剰な管理を求めない理由をはっきり書いています。
営業秘密が競争力の源泉となる企業、特に中小企業が増えているなかで、これらの企業に「鉄壁の」秘密管理を求めることは現実的ではない。仮にそれを求めれば、結局は法による保護対象から外れてしまい、イノベーションを阻害しかねない—というのが指針の立場です。
つまり求められているのは完璧さではなく、合理性です。金庫も監視カメラも要りません。「これは秘密です」と分かる状態を、無理のない範囲で作れているかどうかです。
残る2つの要件
| 要件 | 満たすということ | 失われるとき |
|---|---|---|
| 有用性 | 事業活動に役立つ技術上または営業上の情報であること | 失敗した実験のデータでも有用とされうる(役に立たないと決めつけない) |
| 非公知性 | 公然と知られていないこと | 自社で公開してしまうと失われます(展示会、論文、求人票、SNS) |
有用性・非公知性の考え方は同指針の第3章・第4章で扱われています。ここでの説明は要点の要約です。
非公知性については、うっかり自分で壊してしまう例が実際にあります。製造工程の写真を広報記事に載せる、求人票に具体的な仕様を書く、展示会で説明してしまう。守る側の行動で要件が消えることがある、という点は覚えておく価値があります。
指針を読むときの注意
経済産業省の指針は、自ら「一つの考え方を示すものであり、法的拘束力を持つものではない」と述べています。さらに、指針の本文には「日本における最高裁判所の判例は改訂時点で存在しない」という記述もあります。最終的な判断は、個別の状況に応じて裁判所が総合的に行います。指針は道しるべであって、合格証ではありません。
第3章 おわり — 次は第4章
よくある誤解と、間違えやすい似た用語
守る側も、辞める側も、同じところで間違えます
「持ち出したのは退職してからではないから、大丈夫」— 第2章で見た2025年の検挙事例は、3件とも在職中の行為でした。自分に貸与されたパソコンから、自分のメールアドレスへ送る。複合機で印刷する。携帯電話機に打ち込む。権限があってアクセスできることと、複製して持ち出してよいことは別です。不正競争防止法は「不正の利益を得る目的で」「営業秘密保有者に損害を加える目的で」といった目的の要件を置いており、在職中かどうかで区切ってはいません。
| 似ている用語 | どう違うか | 使い分けの目安 |
|---|---|---|
| 個人情報 | 個人情報保護法が守る個人に関する情報。営業秘密とは別の法律 | 両方に当たる情報もあります(顧客名簿など) |
| 機密情報 | 社内での呼び名。法律上の定義はありません | 社内規程の言葉か、法律の言葉かの違い |
| 限定提供データ | 不正競争防止法が別に設けている区分。秘密管理性を満たさなくても保護されうる枠 | 共有前提のデータはこちらの検討対象 |
| 内部不正 | 情報を持ち出す行為のほう。営業秘密は守られる対象 | 行為を語るなら内部不正、法的地位を語るなら営業秘密 |
| 特許 | 公開する代わりに独占権を得る制度 | 公開すると非公知性が失われます。どちらで守るかは選択 |
| よくある思い込み | 実際は |
|---|---|
| 「マル秘」と書いてあれば、それで営業秘密になる | 表示は有力な手段ですが、指針が求めているのは従業員が一般的に、かつ容易に認識できる状態です。形式だけで決まるわけではありません |
| 中小企業には無理な話だ | 指針は、中小企業に「鉄壁の」秘密管理を求めることは現実的ではないと明記しています |
| 守られるのは技術情報だけだ | 条文は「技術上又は営業上の情報」です。介護サービス利用者の情報や遊技機の設定情報でも検挙されています |
| 持ち出しは高度なハッキングで起きる | 2025年の検挙事例は、メール添付・紙への印刷・携帯電話機への入力でした |
| 秘密保持契約を結んでいるから安心 | 契約は重要ですが、営業秘密の3要件とは別の話です。契約があっても、管理の実態がなければ要件は満たされません |
| 公開してしまっても、社内で秘密にしていれば大丈夫 | 非公知性が失われます。展示会、広報記事、求人票から漏れることがあります |
第4章 おわり — 次は第5章
個人:転職するときに気をつけること
いちばん多いのが、この場面です
警察庁が「転職・独立時に営業秘密に関する情報を持ち出す事犯が多くみられる」と書いている以上、個人にとっての本題はここです。悪意がなくても成立してしまうのが、この分野の怖いところです。
| やろうとしがちなこと | 危険度 | 理由 |
|---|---|---|
| 自分が作った資料だから、と個人のクラウドに保存する | 危険 | 作成者であることと、複製してよいことは別です |
| 「念のため」に業務メールを個人アドレスへ転送する | 危険 | 2025年の検挙事例と同じ形です |
| 顧客リストを印刷して持ち帰る | 危険 | 紙でも複製の作成にあたりえます |
| 前職で使っていた資料を、新しい職場で使う | 危険 | 使用・開示にあたりうる行為です |
| 仕事を通じて身につけた一般的な知識・技能を活かす | 通常は問題なし | ただし具体的なデータや文書は別です。線引きは争いになりやすい部分です |
最終行の線引きは、実際の裁判で争点になることがあります。迷ったら「持ち出さない」が唯一安全な選択です。判断が必要な状況なら、弁護士にご相談ください。
もうひとつ。後で「削除したから大丈夫」は通じません。不正競争防止法が問題にしているのは、取得・使用・開示という行為そのものです。複製を作った時点で成立しうるため、あとから消しても行為はなくなりません。
第5章 おわり — 次は第6章
会社・組織でやる対策
目的は「守ること」ではなく「秘密管理性を証明できること」
この章は、少し発想を変えてください。やるべきことは、情報を厳重に守ることそのものではありません。いざというときに「秘密として管理していた」と示せる状態を作ることです。持ち出されてからでは、この状態は作れません。
| 優先 | やること | 費用 | 効き目 |
|---|---|---|---|
| 1 | 何が営業秘密なのかを決める(全部ではなく、守るものを選ぶ) | 無料 | これが無いと、他の措置に意味が出ません |
| 2 | 選んだ情報に従業員が気づける印を付ける(表示、保管場所の区分、フォルダの分離) | 無料〜小 | 認識可能性の中心 |
| 3 | アクセスできる人を限る(全員が見られる状態をやめる) | 小〜中 | 秘密管理措置として分かりやすい |
| 4 | 持ち出しの記録が残るようにする(印刷、外部送信、大量ダウンロード) | 中 | 事後に何が出たかを特定できる |
| 5 | 退職・異動の当日にアクセス権を止める | 無料 | いちばん多い場面に直接効きます |
| 6 | 規程と誓約書を整える(入社時・退職時) | 小 | 秘密管理意思を示す材料になります |
経済産業省の指針は、秘密管理措置の具体例を紙媒体・電子媒体・物件に化体している場合・媒体が利用されない場合に分けて解説しています。自社の情報がどの形で存在しているかで、取るべき措置は変わります。
1番目が最重要です。「全部を秘密にする」は、実務上いちばんうまくいきません。指針が求めているのは、従業員が一般的に、かつ容易に認識できる状態です。すべてに同じ印が付いていると、どれが本当に重要なのかを従業員は判断できなくなります。守るものを選ぶことが、守ることの一部です。
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第6章 おわり — 次は第7章
持ち出しが疑われたら:最初の10分
本人に確かめる前に、やることがあります
「あの人が辞める前にファイルを大量にダウンロードしていたらしい」。そう気づいた時点での動き方です。順番を間違えると、証明できるものが消えます。
| 順 | やること | やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | アクセス記録・メール送信記録・印刷記録を保全する | 本人に問いただす | 先に伝えると、記録や端末が消される可能性があります |
| 2 | 対象者のアクセス権を止める(理由は伏せたまま手続き上の措置として) | 当面そのままにする | まだ持ち出せる状態を残さないためです |
| 3 | 何が持ち出された可能性があるかを特定する | 「たぶんあれだろう」で進める | 対象が特定できないと、法的な相談も進みません |
| 4 | 秘密管理性を示す資料を集める(規程、表示、アクセス制限の設定、誓約書) | この段階で慌てて表示を付け足す | 後から作った措置は、当時の管理状態の証明になりません |
| 5 | 弁護士と、警察の相談窓口へ相談する | 社内だけで結論を出す | 刑事・民事どちらで動くかの判断が要ります |
| 6 | 端末を調べる必要があるなら専門事業者へ | 担当者が自分で操作して確認する | 操作の痕跡が上書きされ、後の調査が難しくなります |
4がこの章の要点です。秘密管理性は、事後には作れません。だからこそ第6章の準備が効きます。なお、警察庁の資料によれば営業秘密侵害事犯の相談受理件数は2025年に74件で、近年は高止まりの状態にあります。相談すること自体は珍しいことではありません。
相談先
- 都道府県警察の生活経済事犯に関する相談窓口/サイバー犯罪相談窓口
- 弁護士(不正競争防止法・労働法の両方に関わるため)
- 経済産業省『営業秘密管理指針』『秘密情報の保護ハンドブック』(自社の管理状態の点検に)
- IPA サイバーセキュリティ相談窓口(企業組織)
- デジタルフォレンジックを扱う専門事業者
記録を保全し、権限を止め、対象を特定し、秘密管理の資料をそろえた時点で、取りうる選択肢は全部残っています。刑事で動くか、民事で争うか、話し合いで解決するかは、そのあとで決められます。逆に、この4つのどれかを飛ばすと、選択肢のほうが先に減っていきます。
第7章 おわり — 次は第8章
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この用語とセットで覚えると理解が早くなる語です。
| こんな人に | 次に読む記事 |
|---|---|
| 持ち出す側の動機と対策を知りたい | 内部不正とは?33項目のうち3つは、会社自身を守るために要る |
| 記録が残る仕組みを作りたい | ログ管理とは?保存期間・必要なログ・運用方法を完全解説 |
| 端末の調べ方を知りたい | デジタルフォレンジックとは?証拠保全の現場が「当日の新聞」を撮る理由 |
| 外部からの侵入のほうを知りたい | 不正アクセスとは?検挙された3人に1人は、10代だった |
第8章 おわり — 最後にFAQ
営業秘密についてよく聞かれること
実際に検索されている疑問から
「マル秘」と書いておけば営業秘密になりますか?
表示は有力な手段のひとつですが、それだけで決まるわけではありません。経済産業省の指針は、秘密管理意思が秘密管理措置によって従業員等に明確に示され、その認識可能性が確保される必要があるとし、「単に主観的に認識しているだけでは不十分」と述べています。求められているのは、その情報に触れる従業員が一般的に、かつ容易に「これは秘密だ」と認識できる状態です。
中小企業でも営業秘密として守れますか?
守れます。指針は、中小企業に「鉄壁の」秘密管理を求めることは現実的ではないとし、それを求めれば結局は法による保護対象から外れてイノベーションを阻害しかねない、と明記しています。必要な措置の程度は企業の規模や業態によって異なります。完璧さではなく、合理的な管理が求められています。
営業秘密を持ち出すと、どんな罪になりますか?
不正競争防止法第21条は、不正の利益を得る目的などで不正アクセスや窃取により営業秘密を取得した場合などについて、10年以下の拘禁刑もしくは2,000万円以下の罰金、またはその併科と定めています。2025年中の検挙は38事件で、前年より72.7%増え、過去10年で最多となりました。実際にどの条項が適用されるかは、個別の事実関係により判断されます。
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仕事を通じて身につけた一般的な知識・技能を活かすことは、通常は問題になりません。問題になるのは、具体的なデータや文書を複製して持ち出し、使用・開示することです。ただし両者の線引きは実際の裁判で争点になることがあり、簡単ではありません。迷ったら持ち出さないのが唯一安全な選択で、判断が必要な状況なら弁護士にご相談ください。
出典・参考
- e-Gov法令検索『不正競争防止法』第2条第6項(定義)・第21条(罰則)https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000047
- 経済産業省『営業秘密管理指針』(平成15年1月30日策定/最終改訂 令和7年3月31日)https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline/r7ts.pdf
- 経済産業省『営業秘密 — 営業秘密を守り活用する —』https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html
- 警察庁生活安全局『令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について』(令和8年3月)https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/2026_nenpou_teisei.pdf
最終更新:2026年8月20日/次回見直し予定:2027年3月(警察庁の生活経済事犯の統計が例年3月頃に公表されるため)


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