不正アクセスとは?検挙された3人に1人は、10代だった【2026年版】

2026年3月12日公表の最新統計から

不正アクセスとは?検挙された3人に1人は、10代だった

技術で破る話ではありません。399件のうち391件は、他人のIDとパスワードを使っただけです。

30秒でわかる「不正アクセス」

  1. 法律で定義された用語です。他人のID・パスワードを使う、または脆弱性を突いて、本来使えないコンピュータを使える状態にする行為を指します。
  2. 2025年の認知件数は7,190件(前年比 約34.2%増)。うち証券会社のネット取引での不正取引等が1,484件——前年はわずか2件でした。
  3. 検挙された399件の手口を見ると、脆弱性を突いた型はわずか8件。残りはすべて「他人のIDとパスワードを使った」型です。
  4. 誤解:「高度な技術を持つ攻撃者がやる」。検挙された248人のうち81人(32.7%)は14〜19歳でした。
  5. 今日やること:同じID・パスワードを複数のサービスで使っていないか確認する。手口の第1位がここです。

「不正アクセスを受けたようだ」「これは不正アクセスに当たるのか」——そういう場面で調べに来られた方が多いと思います。

この記事の中心は第3章と第5章です。不正アクセスと聞くと、高度な技術を持つ攻撃者がシステムを破る絵を思い浮かべます。ところが日本の統計を見ると、まったく違う姿が現れます。

⚠ この記事の前提

この記事は2026年8月17日時点の内容です。統計は、国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣が2026年3月12日に公表した『不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況』(対象期間:2025年1月1日〜12月31日)にもとづきます。

この記事は法律の解説を目的とするものではありません。具体的な事案が違法に当たるかどうかの判断は、警察および弁護士にご相談ください。

CHAP1

第1章 / 全8章

不正アクセスとは(やさしい定義)

日常語ではなく、法律の用語です

ふせいあくせす 英:unauthorized access

本来その人が使う権限を持たないコンピュータを、他人のID・パスワードを使って、または脆弱性を突いて、使える状態にする行為です。不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律/平成11年法律第128号)で定められた犯罪です。

2つの型
識別符号窃用型(他人のID・パスワードを使う)とセキュリティ・ホール攻撃型(脆弱性を突く)
識別符号
ID・パスワードなど、本人を識別するための符号のこと
統計の公表
同法第10条にもとづき、国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣が毎年少なくとも1回公表
注意
「不正アクセスされた」という言葉は日常的に幅広く使われますが、法律上の不正アクセス行為は上の定義に限られます

この語でまず知っておきたいのは、禁止されているのは「侵入すること」だけではないという点です。年次報告は、検挙件数を次の5種類に分けて集計しています。

違反行為どういう行為か2025年の検挙
不正アクセス行為他人のID・パスワードや脆弱性を使って、使える状態にする407件・236人
識別符号取得行為不正アクセスに使う目的で、他人のID・パスワードを取得する6件・4人
識別符号提供(助長)行為他人のID・パスワードを提供する8件・8人
識別符号保管行為不正アクセスに使う目的で、保管しておく8件・8人
識別符号不正要求行為フィッシングサイトなどで入力させようとする2件・2人

出典:『不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況』(2026年3月12日公表)表2-1。検挙件数・検挙人員の合計は431件・248人です。

💡

最終行に注目してください

フィッシングサイトを作って入力させようとすること自体が、不正アクセス禁止法違反です。実際に侵入しなくても成立します。この記事の第5章で、生成AIを悪用してフィッシングサイトを作った事例が「識別符号不正要求行為」で検挙されています。

第1章 おわり — 次は第2章

CHAP2

第2章 / 全8章

7,190件と、その中身

1年で2件が1,484件になった項目があります

認知件数
2021年(令和3年)1,516件
2022年(令和4年)2,200件
2023年(令和5年)6,312件
2024年(令和6年)5,358件
2025年(令和7年)7,190件(前年比 +1,832件/約34.2%増)

出典:同報告 図1-1。認知件数とは、被害の届出のほか、余罪・報道を踏まえた確認等により把握された、犯罪構成要件に該当する行為の数です。

過去最多です。なお「認知件数」という語には、報告書自身による定義があります。

ここでいう認知件数とは、不正アクセス被害の届出を受理して確認した事実のほか、余罪として新たに確認した不正アクセス行為の事実、報道を踏まえて事業者等から確認した不正アクセス行為の事実その他関係資料により確認した不正アクセス行為の事実中、犯罪構成要件に該当する行為の数をいう。

『不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況』(2026年3月12日公表)注1

届出があったものだけではありません。それでも7,190件です。そして中身を見ると、増えた理由がはっきり分かります。

不正アクセス後に行われた行為2024年2025年
インターネットバンキングでの不正送金等4,342件4,747件
証券会社のインターネット取引サービスでの不正取引等2件1,484件
インターネットショッピングでの不正購入180件228件
知人になりすましての情報発信192件114件
メールの盗み見等の情報の不正入手69件72件
暗号資産交換業者等での不正送信21件21件
オンラインゲームの不正操作42件21件
ウェブサイトの改ざん・消去21件17件
コミュニティサイトの不正操作9件13件
その他480件473件
合計5,358件7,190件

出典:同報告 表1-1。

証券会社の項目が、2件から1,484件になりました。増加分1,832件のうち、8割がここです。

この背景は、当サイトでも扱ってきたフィッシングの急増と一致します。警察庁の別資料によれば、2025年3月から5月にかけて証券会社をかたるフィッシングメールと証券口座への不正アクセスが急増しました。盗まれたIDとパスワードが、そのまま証券口座に使われたということです。

💡

「不正アクセス」は、統計によって数え方が違います

同じ2025年の証券口座について、警察庁の別資料は「不正アクセス件数 1万7,668件」という数字を挙げています。こちらは金融庁とフィッシング対策協議会による集計で、事業者側が把握した件数です。一方この記事の1,484件は犯罪として認知された件数どちらも正しく、数えているものが違います。数字を引用するときは、必ず出どころを添えてください。

第2章 おわり — 次は第3章

CHAP3

第3章 / 全8章

98%は、破っていない

鍵をこじ開けたのではなく、鍵を持っていました

2025年に検挙された不正アクセス行為407件のうち、識別符号窃用型(他人のID・パスワードを使う型)が399件でした。残りがセキュリティ・ホール攻撃型(脆弱性を突く型)で8件です。

2025年の検挙件数割合
識別符号窃用型(他人のID・パスワードを使う)399件約98%
セキュリティ・ホール攻撃型(脆弱性を突く)8件約2%

出典:同報告 表3-2。割合は筆者による計算です。

不正アクセスの実像は、鍵をこじ開けることではありません。鍵を手に入れて、正面から入ることです。

では、鍵はどこから手に入るのか

手口(識別符号窃用型 399件の内訳)2025年前年からの変化
パスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手84件−90件
フィッシングサイトから入手77件+36件
利用権者からの聞き出し、のぞき見75件+8件
他人から入手61件−46件
元従業員や知人等による犯行35件−16件
インターネット上に流出・公開されていた識別符号を入手9件−2件
スパイウェア等のプログラムを使用して入手3件+3件
その他55件−5件

出典:同報告 表3-2。

上位3つを足すと236件。全体の6割近くが、パスワードの管理・フィッシング・聞き出しやのぞき見です。どれも技術ではなく、ソーシャルエンジニアリングの領域にあります。

🚨 増えているのはフィッシング、減っているのはパスワードの甘さ

1行目が90件減り、2行目が36件増えました。パスワードを強くする対策は、実際に効いています。しかし攻撃側は、推測をやめて本人に入力させる方向へ移りました。

強いパスワードは、フィッシングで盗まれれば意味がありません。次の対策は複雑さではなく、そもそも入力させない仕組み——第6章のパスキーです。

もう1つ、5行目も見てください。元従業員や知人等による犯行が35件あります。外部の攻撃者だけの話ではありません。第7章で扱います。

第3章 おわり — 次は第4章

CHAP4

第4章 / 全8章

よくある誤解と、似ている用語

日常語と法律用語が、同じ形をしています

誤解実際は
「高度な技術を持つ攻撃者がやる」第3章のとおり98%が他人のID・パスワードを使った型。第5章のとおり検挙された3人に1人は10代です
「侵入しなければ違法ではない」第1章のとおり、取得・提供・保管・不正要求も処罰の対象です。フィッシングサイトを作った時点で成立し得ます
「家族や同僚のIDなら問題ない」権限が無ければ同じです。実際、元従業員や知人等による犯行が35件検挙されています
「情報が漏れたら不正アクセス」誤送信や設定ミスによる漏えいは、不正アクセスではありません。言葉を分けないと、報告先も対応も変わります
用語意味この語との関係
不正アクセス法律で定義された行為この記事の主題
不正ログイン他人のアカウントに入られること(日常語)ほぼ同じことを指しますが法律用語ではありません
アカウント乗っ取り入られたうえで使われ続ける状態不正アクセスの結果
フィッシング偽サイトでID等を入力させる鍵の入手手段。手口の第2位
情報漏えい情報が外部に出ること原因が不正アクセスとは限りません
不正利用カードやサービスを勝手に使われる不正アクセス後に行われる行為(第2章)

第4章 おわり — 次は第5章

CHAP5

第5章 / 全8章

検挙された3人に1人は10代

この章の数字が、いちばん意外だと思います

年齢2025年の検挙人員割合
20〜29歳91人36.7%
14〜19歳81人32.7%
30〜39歳41人16.5%
40〜49歳23人9.3%
50〜59歳10人4.0%
60歳以上2人0.8%
合計248人100%

出典:同報告 図3-1。同報告によれば、最年少は10歳、最年長は65歳でした。このほか14歳未満の少年7人が触法少年として補導されています。

10代と20代で172人。全体の約7割です。そして最年少は10歳でした。

実際の検挙事例

報告書には、2025年の主な検挙事例が挙げられています。抜粋します。

誰が何をしたか
中高生の少年3人(14〜16歳)SNSで結びつき、他人のID・パスワードで通信事業者のサーバに不正アクセスし、eSIMを不正取得して販売
少年2人(16歳)上の手口を模倣して、同じくeSIMを不正取得
男(29歳)ら生成AIを一部悪用して大手ECサイトを模したフィッシングサイトを公開(識別符号不正要求行為)
会社経営の男(38歳)ら証券会社の認証サーバに不正アクセスし、他人名義口座で株価を吊り上げて利益(金融商品取引法違反も)
少年(17歳)自作のフィッシングサイトのURLをSNSで送信して口座情報を窃取し、不正送金

出典:同報告「令和7年の主な検挙事例」より抜粋・要約。

5件のうち3件が10代です。そして2件目に注目してください——「上記の手口を模倣し」と書かれています。手口が広まると、技術の無い人にも実行できるようになる、という構図がそのまま記録されています。

💡

この章は、家庭でも共有する価値があります

10代が「被害者になる」話は広く語られますが、加害者として検挙されていることはあまり知られていません。最年少は10歳です。「他人のIDとパスワードを使うことは犯罪である」——技術の話をする前に、この1行を伝えておくことに意味があります。ソーシャルエンジニアリングの記事で扱った闇バイトと、構図がよく似ています。

第5章 おわり — 次は第6章

CHAP6

第6章 / 全8章

利用者として、やること

公的資料が「利用権者の講ずべき措置」として挙げている項目です

#やること対応する手口
1推測されやすいパスワードを設定しない(氏名・電話番号・生年月日等を使わない)パスワードの甘さ(84件)
2複数のサイトで同じID・パスワードの組合せを使わない同上
3SMSやメールのリンクに不用意にアクセスしないフィッシング(77件)
4心当たりのある企業からでも、確認できるまで添付ファイルを開かない不正プログラム
5二要素認証・二経路認証を積極的に利用する窃取後の悪用を止める
6不特定多数が使うコンピュータで重要情報を入力しないのぞき見・スパイウェア
7パスワードの保存場所に注意するネット上のメモアプリが侵害された事例あり

出典:同報告「第2 防御上の留意事項 1 利用権者の講ずべき措置」を筆者が要約。右列の対応づけは筆者によるものです。

7番は見落とされがちです。報告書の原文を引きます。

なお、インターネット上に情報を保存するメモアプリ等が不正アクセスされ、保存していたパスワード等の情報が窃取されたと思われるケースも確認されていることから、情報の保存場所についても十分注意する。

『不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況』(2026年3月12日公表)第2 防御上の留意事項

パスワードをクラウドのメモアプリにまとめている方は、保存場所を見直してください。そのメモアプリのアカウントが破られた時点で、すべてが一度に渡ります。

✅ 1つだけやるなら

使い回しをやめることです。手口の第1位に直接効きます。とはいえ全部を覚えるのは無理なので、パスワード管理ツールを使うか、対応しているサービスはパスキーに切り替えるのが現実的です。パスキーならフィッシングサイトに入力させる手口が原理的に成立しません——第3章で増えていた77件の側を、まとめて封じられます。

第6章 おわり — 次は第7章

CHAP7

第7章 / 全8章

管理する側として、やること

「アクセス管理者の講ずべき措置」からの4項目です

#やること理由
1ログの取得の仕組みを導入し、不審なログインを監視する体制を作る気づけなければ、対処も報告も始まりません
2容易に推測されるパスワードを設定できないようにする利用者の心がけに頼らない
3利用する立場でなくなった人のIDを、速やかに削除または変更する元従業員・知人等による犯行が35件(第3章)
4ウェブシステムやVPN機器の脆弱性対策を定期的に点検するセキュリティ・ホール攻撃型(8件)への備え

出典:同報告「第2 防御上の留意事項 2 アクセス管理者の講ずべき措置」を筆者が要約。

3番が、この章でいちばん実行されていない項目です。退職手続きの中に「アカウントの停止」が組み込まれていない組織は珍しくありません。これは技術の問題ではなく、人事と情シスの手続きが繋がっているかの問題です。

そして1番。不正アクセスは、侵入の瞬間には何も壊しません。正規のIDで正規の手順でログインするので、ログを見ていなければ気づけません。第2章の証券口座のように、気づいたときには資産が動いていることになります。

体制とログの設計

誰が判断するかを決める方法は CSIRTとは?、ログの保存期間の考え方は ログ管理の課題、実際に入られたあとの調査は デジタルフォレンジックとは? にまとめています。

第7章 おわり — 次は第8章

CHAP8

第8章 / 全8章

関連用語と、次に読む記事

この語とセットで覚えると理解が早くなります

フィッシング パスキー ソーシャルエンジニアリング CSIRT 内部不正(準備中) アカウント乗っ取り(準備中) ログ管理(準備中)
こんな方に次に読む記事
いま乗っ取られた不正ログインされたらどうする?対処法5つ
鍵の盗まれ方を知りたいフィッシングとは?
入力させない仕組みにしたい多要素認証・生体認証・パスキー・FIDO
使い回しの危険を知りたいパスワード使い回しのリスク
人を狙う手口の全体像ソーシャルエンジニアリングとは?
調査の考察を読みたい警察庁調査の徹底考察
組織の初動を決めたいやられたときの最初の30分
用語を一覧で見たいセキュリティ用語辞典

第8章 おわり — 最後にFAQ

FAQ?

よくある質問

不正アクセスについてよく聞かれること

検索でよく見かける疑問から

家族のアカウントに入るのも不正アクセスですか?

権限を与えられていなければ、法律上は同じ問題になり得ます。不正アクセス禁止法は、他人のID・パスワードを使って、その人の権限が及ばないコンピュータを使える状態にする行為を禁じています。「家族だから」「同僚だから」という例外規定はありません。個別の事案が違法に当たるかどうかは、状況によって判断が分かれるため、弁護士にご確認ください。

IDとパスワードを人に教えるだけでも問題ですか?

第1章のとおり、識別符号提供(助長)行為として8件・8人が検挙されています。また不正アクセスに使う目的での取得・保管も、それぞれ検挙されています。「使っていないから大丈夫」とは限りません。会社のIDを同僚に貸す行為も、社内規程違反であることがほとんどです。

被害届は出せますか?

出せます。不正アクセスは犯罪であり、都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口が受け付けています。その際、ログが残っているかどうかで、その後の調査の範囲が決まります。「いつ、どこから、どのアカウントに」の記録が無いと、確認できることが大きく減ります。慌てて端末を初期化したりパスワードだけ変えたりする前に、やられたときの最初の30分 をご覧ください。

社内の人がやった場合はどうなりますか?

第3章のとおり、元従業員や知人等による犯行が35件検挙されています。社内の人でも、権限の無いシステムに他人のIDで入れば不正アクセスに当たり得ます。実務上重要なのは第7章の3番——退職時にIDを速やかに止めることです。技術ではなく、人事と情シスの手続きが繋がっているかの問題なので、今日から着手できます。

出典・参考

最終更新:2026年8月17日/次回見直し予定:2027年4月(年次報告は例年3月に公表されるため)

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