CSIRTとは?「規格はない」と公式資料が言い切る体制の作り方【2026年版】

JPCERT/CC『CSIRTガイド』を一次資料から

CSIRTとは?「規格はない」と公式資料が言い切る体制の話

専任チームも、専門知識も、実は必須要件ではありません。公式資料にそう書いてあります。

30秒でわかる「CSIRT」

  1. セキュリティ事故が起きたときに、司令塔になる体制のことです。読み方は「シーサート」。組織図上の部署とは限りません。
  2. JPCERT/CCの公式資料は「CSIRTに『規格』はないのです」と明記しています。実装は独立部署・部署横断・個人のどれでもかまいません。
  3. 同資料はメンバーの要件について、技術力よりコミュニケーション能力を重視すべきとまで書いています。
  4. 誤解:「専門チームを作らないと無理」。実際に必要なのは決めておく4つのことだけです。
  5. 今日やること:事故が起きたとき、最初に電話する相手を1人決めて名前を書き出す。ここが出発点です。

「CSIRTを作れと言われたが、うちには専任者がいない」——そう思って調べに来られた方が多いと思います。あるいは、取引先や親会社から「CSIRTの有無」を問われて、答えに困っているのかもしれません。

この記事の中心は第5章です。CSIRTには「規格」がありません。これは筆者の意見ではなく、JPCERT/CCが公式資料にそう書いています。だから「立派なものを作らないと名乗れない」ということはありません。必要なのは、決めておくべき4つのことだけです。

⚠ この記事の前提

この記事は2026年8月17日時点の内容です。CSIRTの定義・分類・構築に関する記述は、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター『CSIRTガイド』(2021年11月30日版)にもとづきます。国内の統計は警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年3月公表)です。

第6章の「最小構成」は筆者による整理です。公的に定められた雛形ではありません。JPCERT/CCが示している要件を、小さい組織向けに具体化したものとお考えください。

CHAP1

第1章 / 全8章

CSIRTとは(やさしい定義)

部署ではなく、機能の名前です

しーさーと 英:Computer Security Incident Response Team

セキュリティ事故(インシデント)が起きたときに、誰が・何を・どの順で動くかを決めて実行する、組織内の司令塔機能のことです。専門の部署である必要はなく、兼任のメンバーが部署をまたいで担う形も認められています。

読み方
「シーサート」。「シーサーティー」とは読みません
直訳すると
コンピューターセキュリティインシデントに対応するチーム
たとえるなら
JPCERT/CCは「自衛消防団」にたとえています
担当するのは
動かすこと。見つけることを担うSOCと対になります

まず、いちばん重要な点を先に置きます。JPCERT/CCの『CSIRTガイド』は、こう書いています。

CSIRTは必ずしも「インシデント対応を専門に行う部署」である必要はありません。必要なのは「インシデント対応を専門に行う機能」としてのCSIRTであり、組織によっては他の関連業務と兼務したメンバーによる、部署を横断した形態でCSIRTの機能を実装している例は少なくありません。

JPCERT/CC『CSIRTガイド』(2021年11月30日)1.1節

同資料には、実装の形を示した図が載っています。独立部署・部署横断・個人の3つが並んでいます。「個人」も公式に例示されていることは、知っておく価値があります。

実装の形どういう状態か向いている組織
独立部署専任メンバーによる部署として設置する従業員数の多い組織、規制業種
部署横断情シス・総務・法務・広報の担当者が兼任で集まる中堅・中小企業。最も現実的な形
個人1人が窓口と判断を担い、専門作業は外部に頼る小規模組織。これも公式に例示されています

出典:JPCERT/CC『CSIRTガイド』図1.1-2「CSIRTの実装はさまざま(独立部署、部署横断、個人)」。右2列の補足は筆者によるものです。

この考え方があるので、CSIRC(シーサーク:Computer Security Incident Response Capability)という言い方もあります。Team(チーム)ではなくCapability(機能・能力)。人の集まりよりも、その機能が組織にあるかどうかが本質だという意味です。

💡

「自衛消防団」というたとえが分かりやすい

JPCERT/CCは、組織を1つの村に見立てて、CSIRTを自衛消防団にたとえています。専業の消防士がいなくても、村には消防団があります。普段は別の仕事をしていて、火が出たときに集まる。それでも訓練し、道具の場所を決め、連絡網を持っている。CSIRTに求められているのは、まさにそれです。

第1章 おわり — 次は第2章

CHAP2

第2章 / 全8章

なぜ今、体制の話になっているのか

「防ぐ」から「決めておく」へ、重心が移りました

CSIRTの話が増えている理由は、道具の話が行き詰まったからではありません。被害が長期化しているからです。

指標2025年(令和7年)の数値意味するところ
サイバー攻撃を想定したBCPの策定済み割合約18%被害に遭った組織の8割強が、決めていなかった
1か月未満で復旧できた組織全体の5割強にとどまる半数近くが、1か月以上止まっている
復旧に総額1,000万円以上を要した組織全体の5割超調査・復旧費用が高額化している
ランサムウェア被害報告件数226件(うち中小企業が約6割規模を問わない問題になっている

出典:警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年3月公表)。BCP・復旧期間・費用はいずれも、ランサムウェア被害に遭った企業・団体等へのアンケート結果です。

1行目を、もう一度読んでください。実際に被害に遭った組織のうち、事前に決めていたのは18%です。残りは、事故が起きてから体制を作り始めました。

警察庁は、被害後の対応についてこう書いています。

BCP等で連絡先を整理して記載しておくと、被害発生時に円滑な連携が可能になる。

警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年3月公表)

ここで求められているのは、高度な技術ではありません。連絡先の一覧です。それすら8割の組織が持っていなかった、というのが1行目の中身です。

制度の側からも求められています

どこから何を求めているか
経済産業省『サイバーセキュリティ経営ガイドライン』が「CSIRTの整備」を経営層が指示すべき事項として挙げています
一部の監督省庁所管業界の構成企業に対し、CSIRTを中心とした対応体制の整備を求めています
取引先・親会社サプライチェーン攻撃への懸念から、体制の有無を確認してくるケースが増えています
日本シーサート協議会(NCA)加盟組織は655組織(筆者が2026年8月17日に一覧ページで確認した件数)

経産省・監督省庁に関する記述はJPCERT/CC『CSIRTガイド』はじめにより。NCAの件数は同協議会の加盟組織一覧ページの表示件数で、ページに基準日の表示がないため、確認日を併記しています。

4行目について補足します。655という数字は、「協議会に加盟している組織」の数であって、日本のCSIRTの総数ではありません。加盟していないCSIRTのほうが、はるかに多いはずです。この数字は規模ではなく、コミュニティが成立していることの証拠として見てください。

第2章 おわり — 次は第3章

CHAP3

第3章 / 全8章

CSIRTは実際に何をしているのか

仕事の8割は、事故が起きていない日にあります

CSIRTの業務は、JPCERT/CCの整理では3つのステージに分かれます。事故対応そのものは、そのうちの1つでしかありません。

ステージやることいちばん大事なこと
(1) 発生前(平時)情報収集、影響分析、対応マニュアルの整備、注意喚起、演習ここが最も重要とされています
(2) 発生時検知、トリアージ(優先順位付け)、連絡、封じ込め、範囲特定資源は無限ではないので、基準に従って順位を付ける
(3) 発生後原因究明、再発防止、マニュアルの見直し原因を取り除くまで運用に戻さない

出典:JPCERT/CC『CSIRTガイド』6.1節。

同資料は、平時の業務についてこう述べています。「CSIRTの日常業務として最も重要なことは、インシデントに関する情報の収集とそれが自組織のシステムに与える影響の分析、そして自組織のリスク許容度を評価すること」。ウイルス対策ソフトの導入ではありません。

よく混ざる3つの言葉を分ける

「インシデント対応」と呼ばれるものは、実は3層の入れ子になっています。ここを分けておくと、提案書や契約書が読みやすくなります。

言葉範囲含むもの
インシデントマネジメントいちばん広い下の2つ+脆弱性対応・事象分析・注意喚起・普及啓発・予行演習
インシデントハンドリング中間検知・連絡受付・トリアージ・報告・情報公開+下の1つ
インシデントレスポンスいちばん狭い実際に発生したインシデントに対応する業務そのもの

出典:JPCERT/CC『CSIRTガイド』図6.1-1。同資料は「これらの区別は厳密なものではなく、CSIRTによって異なります」とも述べています。

この入れ子が分かると、「インシデント対応を外部に委託した」と言うときに、どの層のことなのかが問えるようになります。多くの場合、委託できるのはいちばん内側だけです。

対応中に動く4つの機能

機能誰と話すかやること
1. インシデント情報のトリアージ現場担当者一次分析し、深刻度・緊急度から対応の優先順位を決める
2. 解決に向けた活動技術担当者、外部専門家、他のCSIRT、警察情報をやり取りし、必要な対応につなげる
3. 注意喚起および啓発活動社内(サービス対象)被害の拡大防止のため、情報共有と注意喚起を行う
4. 対応以外の要請への対応経営層、上位組織、広報、メディア顛末を報告し、必要なら広報部門を通じて公表する

出典:JPCERT/CC『CSIRTガイド』6.2節および図6.2-1。

この表で気づいてほしいのは、4つのうち技術が中心なのは2番だけだということです。残りは判断と、伝達と、説明です。これが第5章につながります。

第3章 おわり — 次は第4章

CHAP4

第4章 / 全8章

よくある誤解と、似ている用語

SOC・情シス・PSIRT・JPCERT/CCを1枚で整理します

用語何をするかCSIRTとの関係
CSIRT事故対応の司令塔。判断し、動かし、説明するこの記事の主題
SOC監視して見つけるSOCが見つけ、CSIRTが動く
情報システム部門ITの導入と日々の運用復旧作業の実働。兼任でCSIRTを担うことが多い
PSIRT自社製品の脆弱性に対応する守る対象が社内ではなく、出荷した製品
NOCシステムの稼働を監視する見るものが違う(止まっていないか)
JPCERT/CC日本を代表する国際連携CSIRT。国内外の窓口自社のCSIRTが相談・連携する相手
ISAC業界ごとの情報共有組織同業他社と脅威情報を交換する場

JPCERT/CCの位置づけは『CSIRTガイド』1.2節の分類にもとづきます。

6行目に補足します。CSIRTはサービス対象(誰のインシデントに対応するか)によって6つに分類されており、JPCERT/CCは「国際連携CSIRT」に当たります。自社に作るのは「組織内CSIRT」です。

分類サービス対象
組織内CSIRT自社の従業員、システム、ネットワーク。これから作るのはこれです
国際連携CSIRTその国や地域(日本ではJPCERT/CC)
コーディネーションセンター協力関係にある他のCSIRT
分析センター脅威や攻撃手法の分析結果を必要とする組織
ベンダーチーム自社製品の利用者
インシデントレスポンスプロバイダーサービスの契約者(有償で対応を請け負う)

出典:JPCERT/CC『CSIRTガイド』1.2節。同資料は「この分類方法は一例に過ぎず、他にもさまざまな視点で分類されることがあります」と注記しています。

よくある3つの誤解

誤解実際は
「決まった形に沿って作らないといけない」JPCERT/CCは「CSIRTに『規格』はないのです」と明記しています。同資料自身が「一般的な推奨事項であり、ISMSのような標準規格を示すものではない」と断っています
「専任の部署が必要」兼任・部署横断・個人での実装が公式に例示されています。第1章の表のとおりです
「社員を監視する部署でしょう」これは同資料が名指しで否定している誤解です。CSIRTは「中立な立場で」対応するためのものであり、経営層によるガバナンス(統制)の機能ではありません
💡

3行目は、社内の説得で効きます

CSIRTを作ろうとすると、現場から「監視されるのか」という反応が出ることがあります。その懸念は公式資料が想定していて、明確に否定されています。中立の立場で、報告してくれた人を守るために動く——という位置づけを最初に共有しておくと、通報が上がってくる組織になります。通報が上がらない体制は、機能しません。

第4章 おわり — 次は第5章

CHAP5

第5章 / 全8章

専任がいなくても作れる、その根拠

この章がこの記事の中心です

「セキュリティに詳しい人がいないから、CSIRTは無理だ」。これがいちばん多い理由だと思います。ところが、JPCERT/CCはその前提を正面から否定しています。

一般的にCSIRTの人材の登用にあたっては、技術的な知識や経験よりも、優れた対人スキルとコミュニケーション能力を持つことを重視し、もしCSIRTに求められる技術的知識が足りない場合はそれを後から身に付けさせるほうが、その逆より望ましいと言えます。

JPCERT/CC『CSIRTガイド』7.1節

同じ節には、こうも書かれています。「そのような専門知識やIT分野における経験は、必ずしもCSIRTメンバーとなる者への必須要件とはなりません」。

理由は第3章の4機能を見れば分かります。技術が中心なのは4つのうち1つだけで、残りは判断・伝達・説明です。事故のとき、いちばん詰まるのは「誰に言えばいいか分からない」であって、「技術的に解析できない」ではありません。

💡

技術は後から足せる。信頼は後から足せない

この引用が言っているのは、順序の話です。技術的知識は研修や外部委託で埋められますが、社内の各部署に話を通せる関係は、その場では作れません。だからCSIRTの人選は「一番詳しい人」ではなく、「一番話が通る人」から始めるほうが合理的だ、ということになります。

では、何を決めればCSIRTと言えるのか

JPCERT/CCは「CSIRTにあらかじめ必要なこと」として、4つを挙げています。逆にいえば、この4つが決まっていれば、規模は問われません。

#決めること具体的には決めていないと
1サービス対象の明確化誰のインシデントに対応するのか(自社のみか、子会社・海外拠点も含むか)子会社で起きたときに、動くかどうかで揉めます
2活動目的の明確化被害の最小化か、迅速な復旧か。どれを最優先するかの順位マニュアルにない事態で、判断が止まります
3サービス内容の定義何をやり、何はやらないか。トリアージ基準もここに含まれます全部が最優先になり、結果的に何も進みません
4通信チャネルの設置連絡先(メール・電話)を決め、社内に告知する。社外からの通報窓口も外部から通報が来ても、届きません

出典:JPCERT/CC『CSIRTガイド』5章(5.1〜5.4)。右端の列は筆者による補足です。

4番について補足します。同資料は「インシデントの内容によっては自ら検知することが難しいものもあり、そのようなインシデントは多くの場合、外部からの通報がなければ知ることができません」と述べています。自社サイトに連絡先が書かれていない組織は、外から教えてもらう道を自分で閉じていることになります。

💡

2番の「優先順位」が、いちばん省略されがちです

「被害を最小化する」と「早く復旧する」は、しばしば衝突します。調べるために止め続けるのか、証拠が消えても業務を戻すのか。この判断を事故の最中に初めて考えると、必ず時間を失います。平時に順位を決めておくことが、対応マニュアルより先に来ます。

第5章 おわり — 次は第6章

CHAP6

第6章 / 全8章

兼任3人で作る最小構成

役職ではなく、役割で埋めます

前章の4項目を、実際の人に割り当ててみます。専任は0人、兼任3人という前提です。

役割誰がやるか(例)担当すること事故のとき
A:判断する人経営層または部門長止めるか動かすか、公表するかを決める権限最初の30分で必ず起こす相手
B:動かす人情シス担当隔離・ログ保全・ベンダー連絡。技術側の実働手を動かす。判断はしない
C:伝える人総務・法務・広報の誰か取引先・監督官庁・顧客への連絡、報告義務の確認Bと同時に動く(順番待ちにしない)
外部:調べる人フォレンジック事業者、監視サービス深掘り分析、原因究明事故の前に契約か見積もりを取っておく

この割り当ては筆者による整理で、公的な雛形ではありません。組織の実情に合わせて調整してください。

この3人+外部で、第5章の4項目は埋まります。肝心なのは、AとCを空けないことです。技術のBだけ決まっていて、判断者と伝達役が決まっていない——これが最も多い状態です。

紙1枚で始める

書くこと備考
A・B・Cの氏名と、携帯電話番号社内メールは使えない前提で書きます(メールも止まります)
不在時の代理者1人しか書いていない連絡網は、休暇と出張で機能しません
外部委託先の連絡先と、契約の有無契約前だと、着手までに数日かかることがあります
警察・相談先の連絡先都道府県警のサイバー窓口、IPA、JPCERT/CC
優先順位(調査優先か、復旧優先か)第5章の2番。ここを空欄にしないでください
この紙の保管場所(紙とオフライン)社内ファイルサーバーだけに置くと、暗号化されて読めません

実務上の一般的な整理です。BCPをすでにお持ちの組織は、その中に組み込むのが確実です。

✅ ここまでできていれば、CSIRTと名乗って差し支えありません

JPCERT/CCの4項目が埋まり、連絡網が紙で存在し、判断者が決まっている状態です。専任者は0人でかまいません。この状態から始めて、演習で穴を見つけながら育てていくのが、公式資料が示している道筋です。「立派になってから名乗る」必要はありません。

手順書まで作りたい方へ

ケース別の具体的な対応手順は インシデント対応プレイブック完全ガイド(ランサムウェア・BEC・不正アクセスの3種)にまとめています。BCPと事業継続の実例は ランサムウェア被害とBCPの検証 が参考になります。

第6章 おわり — 次は第7章

CHAP7

第7章 / 全8章

決めていないと、何が止まるか

失うのは技術力ではなく、時間です

「体制を作るべき」と言われても切迫感が湧かないのは、決めていない場合に何が起きるかが具体的でないからだと思います。場面ごとに並べます。

場面決めてある組織決めていない組織
深夜に異常を見つけた名簿の1番に電話する誰に連絡していいか分からず、朝まで待つ
止めるかどうかの判断判断者が決まっており、その場で決まる役員の出社を待つ。その間も被害は広がる
調査か復旧か優先順位が決まっている会議で議論が割れ、その間にログが消える
フォレンジック調査の依頼契約済みで、電話1本で着手相見積もりから始める。着手まで数日
取引先からの問い合わせ伝える人が窓口になる各部署がバラバラに答え、説明が食い違う
個人データ漏えいの報告義務確認する人が決まっている誰も確認せず、期限を過ぎる
公表するかどうか広報と法務が最初から入っている技術対応が終わってから広報が知り、後手に回る

実務上よく見られる整理で、統計にもとづくものではありません。個々の組織で状況は異なります。

この表のどの行も、技術力の差ではありません。決めてあるかどうかの差です。そして失われるのは時間で、時間は費用に変わります。第2章の「復旧に1か月以上が半数近く」「総額1,000万円以上が5割超」は、この積み重ねの結果でもあります。

🚨 3行目がいちばん取り返しがつきません

調査か復旧かで議論している間に、ログは自動で消えていきます。保存期間が30日なら、判断に1週間かけただけで、確認できる範囲が狭まります。

そして慌てて端末の電源を切るのも同じです。警察庁も「慌てて電源をオフにすると、ログ等の侵入の痕跡が失われてしまい、その後のフォレンジック調査が困難になる可能性がある」と注意しています。まず隔離、次にログ保全。この順番だけは事前に共有しておいてください。

いま起きている方へ

状況別の早見表は やられたときの最初の30分(8ケース対応)、緊急時の手順は 最初の10分でやること(状況別) にあります。ログの取得と保存の設計は ログ管理の課題 をご覧ください。

第7章 おわり — 次は第8章

CHAP8

第8章 / 全8章

関連用語と、次に読む記事

この語とセットで覚えると理解が早くなります

SOC SIEM EDR ランサムウェア インシデントレスポンス(準備中) PSIRT(準備中) 脅威インテリジェンス(準備中)
こんな方に次に読む記事
手順書を作りたいインシデント対応プレイブック完全ガイド
いま対応中であるやられたときの最初の30分
監視の側を知りたいSOCとは?
「見きれない」を体験したいSOCアラートハンター(ゲーム)
報告義務の期限を知りたい二重恐喝とは?(報告義務の章)
調査の中身を知りたいデジタルフォレンジックまとめ
取引先から体制を問われたサプライチェーン攻撃とは?
用語を一覧で見たいセキュリティ用語辞典

第8章 おわり — 最後にFAQ

FAQ?

よくある質問

CSIRTについてよく聞かれること

検索でよく見かける疑問から

何人から必要ですか?

人数の基準はありません。JPCERT/CCは実装の形として「個人」も例示しています。決めるべきは人数ではなく、第5章の4項目(サービス対象・活動目的・サービス内容・通信チャネル)です。ただし1人だけの体制は、その人の休暇と出張で止まります。第6章の3役割に代理者を1人ずつ置く形をおすすめします。

中小企業でも作るべきですか?

作るべきです。理由は2つあります。1つはランサムウェア被害組織の約6割が中小企業だという事実(警察庁)。もう1つは、サプライチェーン攻撃の広がりで取引先から体制の有無を問われるようになっていることです。ただし「作る」は組織図を書くことではありません。紙1枚から始めて差し支えありません。

外部に委託してもいいですか?

一部は委託できます。深掘り調査(フォレンジック)や監視は、専門事業者に頼るのが標準的です。ただし委託できないものがあります——止めるか動かすかの判断、社内の誰を動かすか、取引先や監督官庁への説明。これらは権限と責任の問題なので、外部には渡せません。委託の前に、第6章のAとCを自社で埋めてください。

SOCも一緒に必要ですか?

順番があります。先にCSIRTです。監視を導入してアラートが上がっても、受け取って判断する体制がなければ止まります。逆にCSIRTだけあれば、通報や取引先からの連絡といった外部の気づきには対応できます。予算が限られるなら、まず連絡網と判断者、次に監視という順序が現実的です。詳しくは SOCとは? をご覧ください。

出典・参考

最終更新:2026年8月17日/次回見直し予定:2027年3月(警察庁の年次資料の公表に合わせて)

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