データベースとは?漏えい1万7139件と4つの侵入口

2026年版・一次情報で確認

データベースとは?名刺を入れたその表計算ファイルも、法律ではデータベースです

法律に書かれた定義、2025年度に国へ届いた漏えい報告17,139件の中身、狙われる4つの入口、そして「漏れたかもしれない」段階での報告期限まで。条文と公的資料で確認してまとめました。

30秒でわかる「データベース」

  1. 情報をあとから検索できるように、体系的に整理したもの。日本の法律にも定義があります
  2. 要件は並べ方だけ。専用ソフトかどうかも、電子か紙かも、件数も関係ありません
  3. だから名刺を入力した表計算ファイルも、五十音の索引を付けた紙のファイルも該当します
  4. 該当した時点で、安全管理措置の義務と漏えい時の報告義務がかかります
  5. 今日やること:自社で人の名前が並んでいるファイルを1つ思い浮かべ、誰が開けるかを確かめる

「データベース」という言葉を、専門の技術者が扱う大きなシステムのことだと思っている方は多いと思います。実際、社内で「うちはデータベースなんて使っていない」と言われることもあります。

先に結論を書きます。データベースかどうかを決めているのは、道具ではなく並べ方です。法律の定義に「専用ソフトを使うこと」という条件はありません。名刺を表計算ソフトに入力して整理した時点で、日本の法律上はデータベースを持っていることになります。そして持っている以上、守る義務と、漏れたときに国へ報告する義務がついてきます。

⚠ この記事の前提

この記事は2026年8月22日時点の内容です。条文はe-Gov法令検索、解釈は個人情報保護委員会『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)』(令和8年6月一部改正)、統計は同委員会『令和7年度 年次報告』(令和8年7月)、技術的な対策はIPA『安全なウェブサイトの作り方』改訂第7版から直接引用しています。

この記事は法律相談ではありません。個別の事案が報告義務の対象に当たるかどうかは事実関係によって変わります。判断が必要な場面では、個人情報保護委員会の相談窓口や弁護士にご相談ください。

CHAP1

第1章 / 全8章

データベースとは(やさしい定義)

要件は「検索できるように並んでいること」だけです

でーたべーす 英:database

情報を、あとから検索できるように体系的に整理してまとめたもの。日本では著作権法と個人情報保護法の両方に定義があり、どちらも要件にしているのは並べ方だけです。

分類
情報の入れ物。攻撃する側から見るといちばん効率よくまとめて持ち出せる場所です
ひとことで
索引を付けた名簿。付けた瞬間からデータベースです
よく混同される語
DBMS/SQL/表計算ソフト/バックアップ(第4章で扱います)
関係する立場
システムを作る人だけでなく、名簿を1つでも持つすべての事業者に関係します

まず、まわりの言葉を一度そろえておきます。ここが混ざったまま対策の話をすると、話が噛み合わなくなります。

言葉何を指すか名簿でたとえると
データベース検索できるように体系的に整理された情報のまとまり五十音順に並べ、索引を付けた名簿そのもの
DBMS(データベース管理システム)データベースを作り、読み書きさせるためのソフト名簿を預かって出し入れする事務室のしくみ
テーブル(表)同じ種類のデータを並べた1つの表「顧客名簿」という1冊
レコード(行)1件分のデータ名簿の1行、つまり1人分
カラム(列)項目の種類「氏名」「住所」「電話番号」の欄
主キーその1件を他と区別するための欄会員番号
SQLデータベースへの命令文事務室に出す「この条件の人を出して」という依頼書

代表的なデータベースエンジンとして、IPA『安全なウェブサイトの作り方』改訂第7版は MySQL、PostgreSQL、Oracle、Microsoft SQL Server、DB2 を挙げています。この一覧のどれも使っていなくても、データベースを持っていないことにはなりません。

その理由が、法律の定義です。著作権法にはこう書かれています。

データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

出典:著作権法 第2条第1項第10号の3(e-Gov法令検索で2026年8月22日に確認)

個人情報保護法にも、対象を個人情報に絞った同じ形の定義があります。3つ並べると、共通しているものがはっきりします。

根拠どう定義しているか要件になっているもの
著作権法 第2条第1項第10号の3情報の集合物であって、電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの検索できること+体系的に構成されていること
個人情報保護法 第16条第1項第1号個人情報を含む情報の集合物のうち、特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの同じ。対象が個人情報になっただけ
個人情報保護法 第16条第1項第2号+施行令 第4条第2項一定の規則に従って整理することで特定の個人情報を容易に検索できるように体系的に構成したもので、目次・索引その他検索を容易にするためのものを有するものコンピュータは要件ではない。紙でも該当する

e-Gov法令検索で2026年8月22日に確認。3つに共通するのは「検索できるように体系的に構成されていること」だけです。ソフトの種類も、電子か紙かも、件数も、要件に入っていません。

💡

「体系的に構成」がすべての分かれ目です

机の引き出しに名刺が山になっているだけなら、データベースではありません。それを五十音順に並べて仕切りを立てた瞬間に、データベースになります。作業としては数分の違いですが、法律上の扱いはここで変わります。第4章で、当たる例と当たらない例を公的資料からそのまま並べます。

第1章 おわり — 次は第2章

CHAP2

第2章 / 全8章

なぜ今これが問題なのか

1年で17,139件。その中身は想像と違います

個人情報保護委員会は毎年、個人データの漏えい等について受けた報告の件数を公表しています。令和7年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の数字はこうでした。

報告義務の類型(施行規則第7条)件数割合
要配慮個人情報を含む(第1号)10,603件61.9%
不正の目的をもって行われたおそれ(第3号)3,822件22.3%
財産的被害が生じるおそれ(第2号)3,525件20.6%
本人の数が1,000人を超える(第4号)883件5.2%
報告を処理した件数(合計)17,139件100%

出典:個人情報保護委員会『令和7年度 個人情報保護委員会 年次報告』(令和8年7月)。1つの事案が複数の類型に当たる場合はすべてに計上されるため、内訳の合計は100%を超えます。17,139件のうち委員会への直接報告は13,345件、委任先省庁を経由したものは3,794件でした。

次が、この記事でいちばん見てほしい表です。同じ報告を「どんな漏れ方だったか」で切り直すと、想像とはかなり違う姿が出てきます。

見る角度いちばん多かったもの割合
1件あたりの漏えい人数1,000人以下93.6%
漏えいした情報の種類顧客情報83.9%
漏えいした情報の形態紙媒体のみ76.9%

出典:同上。発生原因として同報告が挙げているのは、病院や薬局における要配慮個人情報を含む書類等の誤交付、クレジットカード等の誤送付、そして不正アクセス等によるものです。報告の多数派は、サーバーが破られた話ではなく、紙の取り違えです。第1章で見た「紙でもデータベースに当たる」という定義は、この数字と地続きです。

では、不正アクセスによる分はどうだったのか。同じ年次報告が、指導した事案でよく見られた原因を3つ挙げています。

原因年次報告の記載言い換えると
脆弱性の放置VPN機器やECサイトを構築するためのアプリケーション等の脆弱性が公開され、対応方法がリリースされていたにもかかわらず、事業者が放置していた直せる状態だったのに直していなかった
推測されやすい認証情報ID・パスワードが容易に推測されやすいものとされていた鍵そのものが弱かった
アクセス制御の設定ミス設定ミスによりデータベースへのアクセス制御が不適切な状態になっていたデータベースが、誰でも触れる状態で置かれていた

出典:同上。3つのうち「データベース」という語が国の年次報告に原因として名指しで出てくるのは、3つ目です。

🚨 3つ目がいちばん厄介です

1つ目と2つ目は「破られた」話です。それに対して3つ目は、破られてすらいません。設定が開いていたので、外から普通に読めた、というだけです。攻撃者側に高度な技術は要らず、公開されているサーバーを機械的に探す作業だけで見つかります。

そして、この形の漏えいは自社では気づきにくいという特徴があります。ログには「正常なアクセス」として残るからです。発覚のきっかけが第三者からの通報だった、という事案が繰り返し起きているのは、そのためです。

第2章 おわり — 次は第3章

CHAP3

第3章 / 全8章

中身が外に出るまでの5段階

自力で止められるのは、3段階目までです

データベースの中身が外に出るまでには、いくつかの段階があります。段階ごとに「気づける材料」と「自力で止められるか」が変わるので、そこを列にして並べます。

段階起きていること気づける材料自力で止められるか
1 探されるインターネットに出ているサーバーやアプリが、機械的に一覧される同じ相手からの短時間の大量アクセス止められる。公開範囲を閉じ、不要な入口をふさぐ
2 入口が見つかる直していない脆弱性、弱い認証情報、開いたままの設定のどれかが当たる見慣れない成功ログイン、エラーの急増止められる。修正の適用、認証情報の変更、設定の修正
3 権限を広げられるアプリ用のアカウントから、管理者に近い権限に手が届く権限変更の記録、身に覚えのないアカウント作成条件つきで止められる。記録を見ていれば間に合う
4 まとめて取り出されるテーブルごと、あるいはデータベース丸ごと取り出される普段と桁の違う応答量、外向きの大きな通信難しい。出た分は戻せない
5 外で使われる名簿として売買される、リスト型攻撃の材料になる、公開される第三者からの通報、リークサイトへの掲載止められない

段階の並びは、個人情報保護委員会が原因として挙げた3類型と、IPA『安全なウェブサイトの作り方』改訂第7版が示すSQLインジェクションの脅威(非公開情報の閲覧、改ざんや消去、認証回避による不正ログイン、OSコマンドの実行)を突き合わせて筆者が整理したものです。4段階目に入った時点で、勝負は「防げるか」から「どれだけ早く気づけるか」に変わります。

入口になる2段階目は、大きく4つに分かれます。自社がどれを心配すべきかで、やることが変わります。

入口何が起きるか代表的な兆候先に読むと早い
アプリの作りの問題入力欄から命令文を差し込まれ、閲覧・改ざん・消去・認証回避まで及ぶデータベース関連のエラーが利用者の画面に出ているSQLインジェクションの記事(下のリンク)
認証情報弱いパスワードや使い回しで、正規の利用者として入られる見慣れない場所・時間帯からの成功ログインアカウント乗っ取り
設定ミスによる公開認証なしで外から読める状態のまま置かれる外部の研究者や取引先からの通報第6章の点検表
内部からの持ち出し権限のある人が、正規の操作で取り出す大量エクスポート、通常業務と違う時間帯の操作内部不正

1つ目のSQLインジェクションについて、IPAは根本的解決を「SQL文の組み立ては全てプレースホルダで実装する」と示しています。文字列をつなげて命令文を作らず、値の入る場所を先に決めておく書き方です。

もっと詳しく

入力欄から命令文を差し込まれる攻撃の仕組みと具体的な直し方はSQLインジェクションとは?仕組み・例・対策を初心者向けに完全解説にまとめています。この記事では、データベース側で何をしておくかに絞ります。

第3章 おわり — 次は第4章

CHAP4

第4章 / 全8章

よくある誤解と、間違えやすい似た用語

当たる例と当たらない例を、公的資料からそのまま並べます

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、何が「個人情報データベース等」に当たり、何が当たらないかを事例で示しています。抽象的な議論をする前に、この一覧を見るのがいちばん早いです。

状態個人情報データベース等に当たるか
電子メールソフトに保管されているメールアドレス帳(メールアドレスと氏名を組み合わせて入力している場合)当たる
利用したサービスのログ情報がユーザーIDで整理された電子ファイル(IDと個人情報を容易に照合できる場合)当たる
従業者が、名刺の情報を業務用パソコンの表計算ソフト等を用いて入力・整理している場合当たる
人材派遣会社が登録カードを氏名の五十音順に整理し、五十音順のインデックスを付けてファイルしている場合当たる(紙です)
自己の名刺入れを、他人には容易に検索できない独自の分類方法で分けている場合当たらない
アンケートの戻りはがきが、氏名・住所等により分類整理されていない状態である場合当たらない
市販の電話帳、住宅地図、職員録、カーナビゲーションシステム等当たらない

出典:個人情報保護委員会『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)』(令和8年6月一部改正)。分かれ目は「他人によっても容易に検索できる状態に置いているか」です。同じ名刺でも、山積みなら当たらず、五十音順に仕切ると当たります。

⚠ 「うちはデータベースなんて持っていない」が危ない理由

上の表のとおり、業務用パソコンの表計算ソフトで名刺を整理していれば、それはもう個人情報データベース等です。そして該当した時点で、安全管理措置を講じる義務と、漏えい時に国へ報告する義務がかかります。

件数の下限もありません。通則編は、個人情報データベース等を事業に使っていれば「特定の個人の数の多寡にかかわらず」個人情報取扱事業者に当たるとしており、法人格のない任意団体や個人であっても同じだと明記しています。

誤解として多いものを4つ、実際と並べます。

よくある誤解実際はどうか
データベースとは専用ソフトで作ったもののことだ法律の要件は「検索できるように体系的に構成」だけです。表計算ソフトでも、紙でも該当します
小さい会社や個人事業は個人情報保護法の対象外だ通則編は人数の多寡にかかわらず該当するとしています。かつてあった件数の基準は今はありません
暗号化しているから漏えいしても問題ない持ち出された機器には効きますが、正規の権限でログインして読み出す攻撃には効きません。第2章の3つ目の原因が、まさにこれです
まだ漏えいしたと確定していないので報告は不要だ報告の対象は「漏えい等が発生し、又は発生したおそれがある事態」です。おそれの段階で対象になります

3つ目について補足します。暗号化は目的別に選ぶもので、ディスクごと暗号化する方式は盗難・紛失に、通信の暗号化は経路上の盗み見に効きます。アクセス制御の穴を暗号化で埋めることはできません。

第4章 おわり — 次は第5章

CHAP5

第5章 / 全8章

個人:自分のデータはどこにあるか

守る対象は、自分では管理できない場所にあります

個人にとってのデータベース対策は、少し変わった形になります。自分の名前や連絡先が入っているデータベースは、ほとんどが他人の会社の中にあり、直接は守れないからです。できるのは、載っている数を減らすことと、1つ漏れたときの被害を他へ広げないことの2つです。

やることなぜ効くのか今日できる最小単位
パスワードを使い回さないどこか1つのデータベースが漏れたとき、同じIDとパスワードで他のサービスを次々に試される攻撃を止められるメール・銀行・決済の3つだけ、他と違うパスワードにする
使っていないサービスを退会する自分のデータが載っているデータベースの数そのものを減らせる。減らした分は、将来漏れようがありません1年以上使っていないアカウントを1つ消す
漏えいの通知が来たら「何が」を読むメールアドレスだけなのか、パスワードや決済情報まで含むのかで、やるべきことが変わる通知に書かれた漏えいした項目を確認し、同じパスワードを使っている先を変える

2番目の効果は地味ですが確実です。個人情報保護委員会が受けた報告のうち83.9%は顧客情報でした。つまり、漏れているのは主にどこかのサービスの会員である自分です。

関連する話

漏れたIDとパスワードがその後どう使われるかはアカウント乗っ取りとは?原因・対策・取り返し方を完全解説に、漏えいした個人情報が流通する経路は個人情報はなぜ売られる?住所・電話・顔写真の流出と身元特定の仕組みにまとめています。

第5章 おわり — 次は第6章

CHAP6

第6章 / 全8章

会社・組織でやる対策

法律が要求する4項目と、データベース固有の点検7つ

個人情報データベース等を扱う事業者には、技術的安全管理措置として4つの項目が求められています。ガイドラインは大企業向けの例と、中小規模事業者向けの現実的な例を分けて示しています。

講じなければならない措置手法の例示中小規模事業者における手法の例示
アクセス制御個人情報データベース等を取り扱える情報システムを限定する。ユーザーIDに付与するアクセス権により、扱える従業者を限定する個人データを取り扱える機器と、その機器を扱う従業者を明確にし、不要なアクセスを防ぐ
アクセス者の識別と認証ユーザーID、パスワード、磁気・ICカード等で、正当なアクセス権を持つ者かを確認する機器に標準装備されているユーザーアカウント制御で識別・認証する
外部からの不正アクセス等の防止外部ネットワークとの接続箇所にファイアウォール等を置く。対策ソフトを導入する。自動更新で最新状態に保つ。ログ等の定期的な分析により不正アクセス等を検知する機器の基本ソフトを最新の状態に保ち、対策ソフトを自動更新で最新にする
情報システムの使用に伴う漏えい等の防止設計時に安全性を確保し継続的に見直す。個人データを含む通信の経路または内容を暗号化する。移送するデータを保護するメール等で個人データの入ったファイルを送る場合に、そのファイルにパスワードを設定する

出典:個人情報保護委員会『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)』(令和8年6月一部改正)10-6。4項目の筆頭がアクセス制御です。第2章で見た「設定ミスによりデータベースへのアクセス制御が不適切」という指摘は、この義務に正面から当たります。

そのうえで、データベースそのものについて確かめておきたいことを7つに整理しました。上から順に、放置したときの被害が大きいものです。

点検すること確認の仕方放置すると起きること
1 外から直接つながらないかインターネット側から接続できる状態になっていないかを、実際に外から確かめる認証を通らずに丸ごと読み取られる
2 初期設定のままの管理者アカウントがないか既定の利用者名とパスワードが残っていないか一覧する推測だけで管理者権限を取られる
3 アプリ用アカウントの権限が広すぎないかアプリが出す命令文を洗い出し、実行に必要な最小限の権限まで絞る1つの脆弱性で、閲覧だけでなく改ざん・消去まで届く
4 エラーの内容が利用者の画面に出ていないかデータベース関連のエラーがブラウザに表示されない設定にする攻撃の手がかりを与え、攻撃結果の表示にも使われる
5 バックアップが分離されているか本番から到達できない場所に置き、実際に復元してみる暗号化されたとき、控えも一緒に失う
6 誰がいつ何を取り出したかの記録があるか操作の記録を取り、保存期間を決めておく「何件出たか」を答えられず、報告も本人への通知もできない
7 テスト環境に本番のデータを置いていないか本物の個人データを開発やテストに使っていないか確認する守りの薄い環境から、本番と同じ中身が出る

3番と4番は、IPA『安全なウェブサイトの作り方』改訂第7版がSQLインジェクションの保険的対策として挙げている項目です(データベースアカウントに適切な権限を与える/エラーメッセージをそのままブラウザに表示しない)。6番は、上のガイドラインが求める「ログ等の定期的な分析」に対応します。

✅ 7つ全部は無理でも、1番と6番だけは

1番は被害の大きさを決めます。外から直接つながる状態を閉じるだけで、第3章の1段階目と2段階目がまとめて消えます。

6番は事故のあとに残る選択肢の数を決めます。記録がないと、漏れた範囲を絞れません。範囲を絞れないと、報告も本人への通知も最大限の想定で出すことになり、対応の規模と費用がふくらみます。

第6章 おわり — 次は第7章

CHAP7

第7章 / 全8章

漏れたかもしれない:最初の10分

確定を待つと、報告の期限のほうが先に来ます

データベースからの漏えいが疑われる場面では、技術的な調査と法律上の手続きが同時に走ります。順番を間違えると、どちらも遅れます。

時間やることやってはいけないこと
0〜10分対象のサーバーやアプリをネットワークから切り離す。電源は入れたままにする電源を落とす。メモリ上にしかない記録が消えます
0〜10分誰が何時何分に何を見て気づいたかを、そのまま記録する影響範囲の推測を先に語る。あとで訂正することになります
当日経営層、法務、広報に上げる。委託先や専門事業者に連絡する担当者と情報システム部門だけで抱える
当日〜数日施行規則第7条の4類型に当たるかを判定し、速報を出す「確定してから」と待つ。おそれの段階で報告対象です
30日/60日確報を出す。本人への通知も行う期限の起算日を「原因が判明した日」と数える

切り離しても電源を切らない理由は、稼働中のメモリにしか残っていない情報があるためです。詳しくはデジタルフォレンジックの記事で扱っています。

報告の期限は、条文と通則編に具体的な日数が書かれています。ここは覚えるより、事故が起きたときに開く表として使ってください。

区分期限起算点
速報速やかに。目安は知った時点から概ね3〜5日以内法人の場合、いずれかの部署が事態を知った時点
確報知った日から30日以内同上。その時点を1日目として数える
確報(不正の目的をもって行われたおそれの類型)知った日から60日以内同上
本人への通知速やかに(通知が困難な場合は代わるべき措置)同上

出典:個人情報保護法第26条、同法施行規則第7条・第8条、通則編3-5-3-3および3-5-3-4。日数の計算には土日・祝日も含めます(30日目や60日目が休日の場合はその翌日が期限)。不正の目的をもって行われたおそれ(第3号)に当たる事案は、第1号・第2号・第4号にも同時に当たる場合も60日以内です。速報の時点ですべて報告できるときは、1回の報告で速報と確報を兼ねられます。

なお、ランサムウェアによる被害については報告先が一本化されました。個人情報保護委員会は、政府全体としてのサイバー攻撃の被害報告一元化の方針に従い、令和7年10月1日以降、ランサムウェア事案による個人データの漏えい等(またはそのおそれ)は共通様式で報告できるとしています。

相談先

  • 個人情報保護委員会 漏えい等報告フォーム(報告はホームページのフォームから行うのが原則です)
  • 個人情報保護法相談ダイヤル(報告義務に当たるかどうかの一般的な相談)
  • IPA 情報セキュリティ安心相談窓口/サイバーセキュリティ相談窓口(企業組織向け)
  • 都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口
  • システムの開発・運用を委託している事業者(記録の保全は先に依頼してください)

第7章 おわり — 次は第8章

CHAP8

第8章 / 全8章

関連用語と、次に読む記事

守る対象・狙う手口・残す記録

この用語とセットで覚えると理解が早くなる語です。

第8章 おわり — 最後にFAQ

FAQ?

よくある質問

データベースについてよく聞かれること

実際に検索されている疑問から

表計算ソフトのファイルも「データベース」になるのですか?

なります。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、従業者が名刺の情報を業務用パソコンの表計算ソフト等を用いて入力・整理している場合を、個人情報データベース等に該当する事例として挙げています。専用のソフトを使っているかどうかは要件ではありません。要件は「特定の個人情報を検索できるように体系的に構成されていること」だけです。

データベースを暗号化していれば安全ですか?

攻撃の種類によります。ディスクごと暗号化する方式は、機器の盗難や紛失には効きます。しかし正規の権限でログインして読み出す攻撃には効きません。復号された状態のデータが返ってくるからです。個人情報保護委員会が令和7年度の年次報告で挙げた不正アクセスの原因の1つは「設定ミスによりデータベースへのアクセス制御が不適切な状態になっていた」ことで、これは暗号化では防げません。

小さな会社や個人事業でも、個人情報保護法の対象になりますか?

なります。通則編は、個人情報データベース等を事業の用に供している者であれば「特定の個人の数の多寡にかかわらず」個人情報取扱事業者に該当すると明記し、法人格のない任意団体や個人であっても同様だとしています。営利か非営利かも問いません。ただし中小規模事業者については、安全管理措置の手法の例示が別に示されており、大企業と同じ体制までは求められていません。

まだ漏えいしたか分からない段階でも、報告は必要ですか?

必要になる場合があります。報告の対象は「漏えい等が発生し、又は発生したおそれがある事態」で、おそれの段階が含まれています。速報は知った時点から速やかに(目安は概ね3〜5日以内)、確報は30日以内、不正の目的をもって行われたおそれのある事案は60日以内です。起算点は、法人ならいずれかの部署が事態を知った時点で、原因が判明した日ではありません。

出典・参考

最終更新:2026年8月22日/次回見直し予定:2027年7月(個人情報保護委員会の年次報告が例年7月頃に公表されるため)

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