CVSSとは?「深刻度9.8」の読み方と、2026年に変わった前提【2026年版】

2026年4月のNVD運用変更に対応

CVSSとは?「深刻度9.8」の読み方と、2026年に変わった前提

スコアを見て優先順位を決める——その運用は、2026年4月に前提が崩れました。

30秒でわかる「CVSS」

  1. 脆弱性の深刻さを0.0〜10.0の数値で表す共通のものさしです。FIRSTという国際的な団体が管理しています。
  2. 製品も組織も違う脆弱性を同じ基準で比べるために作られました。9.0以上が「Critical(緊急)」です。
  3. 2026年4月15日、NISTはすべてのCVEにスコアを付ける方針をやめました。CVE件数が2020年から2025年で263%増えたためです。
  4. 誤解:「スコアが高い=自社にとって危険」。実際は基本値(CVSS-B)は自社の環境を一切考慮していません
  5. 今日やること:スコアだけでなく「実際に悪用されているか」を見る習慣にする。CISA KEVを見れば分かります。

ニュースで「深刻度9.8の脆弱性」という表現を見て、この数字は何なのかを調べに来た方が多いと思います。あるいは、自社の脆弱性管理で「どれから直すか」を決める立場の方かもしれません。

この記事の中心は第2章です。2026年4月15日、CVSSスコアの入手方法そのものが変わりました。これまで多くの組織は、NISTが運営する脆弱性データベース(NVD)が付けたスコアを見て判断してきました。その前提が崩れています。日本語での解説はまだ少ないので、NISTの発表から直接引きました。

⚠ この記事の前提

この記事は2026年8月16日時点の内容です。CVSSの仕様はFIRST「CVSS v4.0 Specification Document」、NVDの運用変更はNIST の発表(2026年4月15日、4月17日更新)、統計はIPA『情報セキュリティ10大脅威 2026』およびM-Trends 2026にもとづき、出典を記事末に記載しています。

脆弱性対応の実際の判断は、システム構成によって大きく変わります。この記事は一般的な考え方の整理であり、個別の判断については専門家にご相談ください。

CHAP1

第1章 / 全8章

CVSSとは(やさしい定義)

比べられるようにするための、共通のものさし

シーブイエスエス 英:Common Vulnerability Scoring System

脆弱性の深刻さを0.0から10.0までの数値で表すための、共通の評価方法です。「共通脆弱性評価システム」と訳されます。

分類
評価の方法・基準(製品でもデータベースでもありません)
管理団体
FIRST(Forum of Incident Response and Security Teams)
最新版
CVSS v4.0(仕様書は2023年11月1日公開、2024年6月18日に v1.2 へ更新)
何のためか
製品も組織も違う脆弱性を、同じ基準で並べて比べるため

CVSSが生まれた理由は単純です。ベンダーごとに「重要」「緊急」の基準がバラバラだと、比べられないからです。A社の「高」とB社の「高」が同じ意味かどうか分からなければ、どちらを先に直すか決められません。

そこで、共通の計算式で数値化することにしました。数値には、次の定性的な区分が対応します。

区分スコア範囲一般的な受け止め方
None0.0該当なし
Low0.1 – 3.9
Medium4.0 – 6.9
High7.0 – 8.9
Critical9.0 – 10.0緊急。ニュースになるのはたいていここ

出典:FIRST「CVSS v4.0 Specification Document」Qualitative Severity Rating Scale。

💡

CVSSは「危険度」ではなく「深刻度」です

この違いが、この記事全体の要点です。深刻度は「もし悪用されたら、どれだけひどいことになるか」を測っています。「実際に悪用される可能性がどれくらいあるか」も、「自社が影響を受けるか」も、含まれていません。ニュースの「深刻度9.8」は、あくまで最悪の場合の被害の大きさの話です。

第1章 おわり — 次は第2章

CHAP2

第2章 / 全8章

2026年4月、前提が変わりました

「NVDのスコアを見る」という運用が成り立たなくなっています

ここまでを読んで「では脆弱性情報でスコアを見ればいい」と思われたかもしれません。ところが2026年4月15日、その前提が大きく変わりました。

多くの組織は、NIST(米国国立標準技術研究所)が運営する脆弱性データベース NVD が付けたCVSSスコアを参照してきました。NISTはこれまで、提出されたすべてのCVEに独自の深刻度スコアを付けていました。その方針が廃止されました。

これまで2026年4月15日以降
すべてのCVEを分析し、詳細情報を追加していたリスクベースの選別制に転換。対象を絞り込む
NISTがすべての提出CVEに独自スコアを付与提出者がスコアを付けている場合は、別途作成しない
優先対象外は「Lowest Priority – not scheduled for immediate enrichment」に分類

出典:NIST「NIST Updates NVD Operations to Address Record CVE Growth」(2026年4月15日発表、4月17日更新)。

優先してエンリッチ(詳細情報の追加)される対象は、次の3つに絞られました。

優先される条件備考
CISAのKEVカタログに掲載されているCVE受け取り後1営業日以内の処理が目標とされています
連邦政府内で使用されるソフトウェアのCVE米国政府の調達対象
大統領令14028で定義された「critical software」のCVE重要と指定されたソフトウェア

出典:同上。優先対象外のCVEもNVDには掲載されますが、詳細情報の追加は予定されません。利用者からエンリッチを要請することは可能とされています。

なぜこうなったのか。NISTは背景として、CVE件数が2020年から2025年の間に263%増加したこと、そして2026年第1四半期の提出が前年同期比で約33%増えていることを挙げています。全件を人手で分析し続けることが、量的に成り立たなくなったということです。

実務への影響は3つあります

①スコアが付いていないCVEが増えます。「CVSSが7.0以上のものを対応する」というルールは、スコアが無いものを取りこぼします。
②スコアがあっても、付けたのはNISTとは限りません。製品ベンダー自身が付けた値である場合があり、評価の視点が異なることがあります。
③KEVの重要度が上がりました。KEV掲載分は1営業日以内という目標が置かれています。実際に悪用されているものは、確実に情報が整うということです。

第2章 おわり — 次は第3章

CHAP3

第3章 / 全8章

その「9.8」は、何を測った数字か

CVSSには4つのグループがあり、普通は1つしか使われていません

CVSS v4.0には4つのメトリックグループがあります。ニュースで見る数字がどれにあたるのかを知ると、読み方が変わります。

グループ何を測るか(FIRSTの説明にもとづく)誰が付けるか
Base
(基本)
時間と環境を通じて一定の、脆弱性の本質的な特性。悪用のしやすさと影響の大きさ発見者・ベンダー・NVDなど。ニュースの数字はほぼこれ
Threat
(脅威)
時間とともに変わり得る特性。悪用コードが出回っているかなど情報を持つ側
Environmental
(環境)
特定の利用者の環境に固有の特性。その資産の重要度や、施している対策あなたの組織
Supplemental
(補足)
脆弱性の追加的な外部属性を説明する任意の項目。最終スコアには影響しません任意

出典:FIRST「CVSS v4.0 Specification Document」の各メトリックグループの説明にもとづく整理。日本語は筆者によるものです。

ここで重要なのは3行目です。「その資産が自社にとってどれだけ重要か」「どんな対策をすでに施しているか」は、Environmental グループで表現します。そしてこれを付けられるのは、あなたの組織だけです。

ニュースやデータベースに出てくる数字は、ほぼBaseグループだけの値です。つまりあなたの環境を一切考慮していない数字を見ていることになります。

だからFIRSTは、呼び名を分けました

CVSS v4.0では、どこまでのグループを使って算出したスコアなのかを名前で区別することになっています。

呼び名使っているグループ意味
CVSS-BBase のみ環境を考慮していない素の値。公表される数字はこれ
CVSS-BTBase + Threat悪用の状況まで加味した値
CVSS-BEBase + Environmental自社環境を加味した値
CVSS-BTEすべて最も実態に近い値

出典:FIRST「CVSS v4.0 Specification Document」の Nomenclature。

💡

この呼び分けが作られたこと自体がメッセージです

FIRSTがわざわざ4つの呼び名を定義したのは、「その数字はどこまで考慮した値なのかを明示してほしい」という意図だと読めます。裏を返せば、CVSS-Bだけを見て判断する運用は、仕様の側が想定している使い方ではないということです。

なお、v3.1からv4.0への主な変更点としては、Attack Requirements(AT)という指標の新設Supplementalグループの新設、そして脆弱性のあるシステム(Vulnerable System)と、その先に影響が及ぶシステム(Subsequent System)への影響を分けて表現する設計が挙げられます。

第3章 おわり — 次は第4章

CHAP4

第4章 / 全8章

よくある誤解と、似ている用語

CVE・CWE・CVSS・KEV・EPSSを1枚で整理します

🚨 いちばん危ない誤解:「スコアが高い順に直せばいい」

2つの理由で、この方針は最適ではありません。

①その9.8は、あなたの環境を考慮していません。インターネットに露出しているサーバーの9.8と、社内ネットワークの奥にあって認証の内側にある9.8では、緊急度がまったく違います。同じ数字でも、実態は別物です。

②スコアの高さと、実際に悪用されるかは別です。深刻度が中程度でも、攻撃コードが出回って実際に悪用されているものは、9.8で誰も使っていないものより先に対応すべきです。CVSSは「もし悪用されたら」の話しかしていません。

この分野は略語が並ぶので、役割で整理します。

用語何の名前か答えている問い
CVE個別の脆弱性の識別番号「どの脆弱性の話か」
CWE脆弱性の種類・分類「どういう性質の弱点か」
CVSS深刻さのものさしもし悪用されたらどれだけひどいか」
KEV実際に悪用が確認されたものの一覧実際に悪用されているか
EPSS悪用される確率の予測これから悪用されそうか

EPSS(Exploit Prediction Scoring System)はFIRSTが管理する仕組みで、今後30日以内に実際に悪用される確率を0〜1の値で示します。バージョン4は2025年3月17日にリリースされています。

この表を縦に読むと、CVSSだけでは答えが出ないことが分かります。CVSSは「もし」の話、KEVは「事実」、EPSSは「予測」です。3つは競合ではなく、それぞれ違う問いに答えています

CVEとCWEの違いを詳しく

識別番号と分類の違いは CVEとCWEの違い、実際に狙われているものの一覧は CISA KEVとは? で扱っています。

第4章 おわり — 次は第5章

CHAP5

第5章 / 全8章

個人・ニュースを読む方へ

「深刻度10」を見たとき、慌てるべきかどうか

個人がCVSSを使って何かを判断する場面は、ほとんどありません。ただしニュースで「深刻度10の脆弱性」と見たとき、それが自分に関係するのかを判断できると、余計な不安を持たずに済みます。

次の順に確認してください。

確認すること関係ないと分かる場合
1その製品を使っているか使っていなければ、スコアが10でも無関係です
2該当するバージョンか自動更新が効いていれば、すでに修正済みのことが多い
3その機能をインターネットに公開しているか家庭内でしか使っていないなら、緊急度は下がります
4修正プログラムが出ているか出ていれば、更新するだけで終わります

個人向けの確認手順として筆者が整理したものです。

💡

個人にとっての最善手は、スコアを追うことではありません

OSとアプリの自動更新を有効にしておくこと——これに尽きます。自動更新が効いていれば、ニュースになる前に修正が当たっていることが多く、スコアを見る必要すらありません。2025年の初期侵入経路の1位は脆弱性の悪用で32%(M-Trends 2026)でした。更新は、その32%に直接効きます。

更新の重要性を掘り下げる

実際に境界機器の脆弱性が侵入に使われた事例は 境界機器が狙われる理由とは?、修正が出る前の状態については WAFとは? の第4章(仮想パッチ)で扱っています。

第5章 おわり — 次は第6章

CHAP6

第6章 / 全8章

会社・組織での優先順位の決め方

スコア1つで決めない、という話です

第2章と第3章を踏まえると、「CVSSが7.0以上を対応する」という単一のルールは、もう機能しません。理由は3つです。スコアが付いていないCVEが増えたこと、スコアが自社環境を考慮していないこと、そして実際に悪用されているかを反映していないことです。

代わりに、3〜4つの軸で見るのが現在の一般的な考え方です。

見るもの入手先費用
1. 実際に悪用されているかKEVに載っているかCISA KEVカタログ無料
2. 自社が露出しているかインターネットから触れる場所か自社の資産一覧無料
3. 深刻度CVSSスコア(Baseだけの値だと認識したうえで)NVD・ベンダー情報無料
4. これから悪用されそうかEPSS(30日以内に悪用される確率)FIRST無料

一般的な優先順位付けの考え方の整理です。組織の体制・システム構成によって適切な重み付けは異なります。

1番と2番を先に見るのが要点です。「実際に悪用されていて、かつ自社がインターネットに露出している」——この2つが重なるものは、CVSSが何点であろうと最優先です。

そして2026年4月のNVDの方針変更は、この考え方を後押しする方向に働きます。KEV掲載分は1営業日以内という目標が置かれたため、実際に悪用されているものについては情報が確実に整うようになりました。逆に言えば、KEVを見ない運用は、いま最も情報が充実している部分を捨てていることになります。

「スコアが付いていないから対応不要」は誤りです

2026年4月以降、多くのCVEは「Lowest Priority」に分類され、CVSSスコアが付きません。スコアが無いことは「危険でない」という意味ではなく、単に「まだ誰も評価していない」という意味です。スコアの有無で機械的に切ると、取りこぼしが発生します。製品ベンダー自身が出す情報も併せて確認してください。

KEVの使い方を詳しく

実際に悪用されているものだけを集めた公式リストの使い方は CISA KEVとは?「実際に狙われている」だけを集めた公式リスト にまとめています。露出資産の洗い出しについては Censysの使い方 も参考になります。

第6章 おわり — 次は第7章

CHAP7

第7章 / 全8章

「深刻度9.8」を見たときの最初の10分

慌てる前に、順番に確認するだけです

朝、重大な脆弱性の報道が出ている。取引先から問い合わせが来ている。この場面での10分間の使い方を書きます。

やることやってはいけないこと理由
1CVE番号を特定する(報道の見出しではなく番号で追う)製品名だけで判断する同じ製品に複数の脆弱性が同時公表されることがあります
2自社に該当製品・該当バージョンがあるか確認するスコアの高さで慌てる使っていなければ関係ありません。SBOMがあればここが数分で終わります
3KEVに載っているかを見るCVSSだけ見て判断する載っていれば実際に悪用されています。最優先です
4その機能がインターネットに露出しているかを確認する全システムを同列に扱う露出の有無で緊急度が大きく変わります
5修正プログラムの有無と、無い場合の回避策を確認するパッチを待つだけ設定変更や機能停止で凌げる場合があります
6判断した内容を記録し、社内と取引先へ一次回答する確定するまで黙る「調査中」でも、連絡があるかないかで信用が変わります

実務上の一般的な整理です。実際の判断はシステム構成・契約内容によって異なります。

✅ 10分で出せる答えの形

「該当製品を使用しています/していません」「使用している場合、該当バージョンです/ではありません」「KEV掲載あり/なし」「インターネット露出あり/なし」「修正の適用予定は◯日」——この5点が揃えば、一次回答としては十分です。完璧な調査結果を待つ必要はありません。

💡

2番が数分で終わるかどうかが、すべてを決めます

「該当製品を使っているか」に即答できない組織は、ここで数日を失います。これはSBOMが解こうとしている問題そのものです。CVSSの読み方を覚えるより、この2番を短縮する準備のほうが、実際には効きます。

2番を短縮する準備

「何が入っているか」を即答できる状態の作り方は SBOMとは?、組織としての対応手順は インシデント対応プレイブック完全ガイド にまとめています。

第7章 おわり — 次は第8章

CHAP8

第8章 / 全8章

関連用語と、次に読む記事

この語とセットで覚えると理解が早くなります

CVE・CWE KEV SBOM WAF ゼロデイ(準備中) EPSS(準備中)
こんな方に次に読む記事
識別番号と分類の違いを知りたいCVEとCWEの違い
実際に狙われているものを知りたいCISA KEVとは?
「使っているか」を即答したいSBOMとは?
修正までの時間を稼ぎたいWAFとは?
製品別に狙われた実績を見たいセキュリティ製品のKEVランキング
境界機器の脆弱性の実例を知りたい境界機器が狙われる理由とは?

第8章 おわり — 最後にFAQ

FAQ?

よくある質問

CVSSについてよく聞かれること

検索でよく見かける疑問から

v3.1とv4.0のどちらを見ればいいですか?

最新はv4.0(仕様書は2023年11月1日公開、2024年6月18日に更新)ですが、実務では両方が併存しています。公表元によってどちらで採点しているかが異なるため、数値だけでなくバージョンも確認してください。v3.1の7.5とv4.0の7.5は、同じ計算方法で出た値ではありません。

スコアは誰が決めるのですか?

発見者、製品ベンダー、CNA(採番機関)、そしてNVDなどが付けます。2026年4月15日以降、NISTは提出者がスコアを付けている場合は独自スコアを作成しなくなりました。そのため、見ているスコアが誰の評価なのかを意識する必要があります。評価する立場によって、視点が異なることがあります。

10.0が最悪ということですか?

CVSSの尺度上は最大値です。ただし「もし悪用されたら最悪」という意味であって、「最も急いで直すべき」という意味ではありません。自社が該当製品を使っていなければ無関係ですし、実際に悪用されていない10.0より、悪用が確認されている6.5のほうが緊急なこともあります。

スコアが低ければ放置していいですか?

いいえ。低いスコアの脆弱性が、他の脆弱性と組み合わされて重大な侵害につながることがあります。また、そもそも2026年4月以降はスコアが付かないCVEが増えています。スコアの有無や高低だけで機械的に切らず、KEVへの掲載、自社の露出状況、ベンダーの案内を併せて判断してください。

出典・参考

最終更新:2026年8月16日/次回見直し予定:2026年11月(NVDの運用が変わった直後のため、3か月ごとに確認)

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