
能動的サイバー防御とは?10月1日から、何が始まるのか
「国が反撃する」話ではありません。多くの企業に関係するのは、別の柱のほうです。
30秒でわかる「能動的サイバー防御」
- 攻撃を待って守るのではなく、被害が出る前に働きかけるという国の方針です。英語の頭文字からACDとも呼ばれます。
- 根拠法はサイバー対処能力強化法(令和7年法律第42号)。2025年5月成立、2026年10月1日に施行されます。
- 柱は3つ。①官民連携の強化 ②通信情報の利用 ③攻撃者のサーバ等へのアクセス・無害化措置。企業に義務が生じるのは①です。
- 誤解:「日本が反撃できるようになる」。措置は国際法上許容される範囲内で、被害の防止を目的として行うものです。
- 今日やること:自社が「基幹インフラ事業者」に当たるか、取引先にそれが含まれるかを確認する。
この記事の地図(全8章)
ニュースで「能動的サイバー防御」という言葉を見て、あるいは取引先から確認を求められて、調べに来られた方が多いと思います。
この記事の中心は第3章と第5章です。報道では「③アクセス・無害化措置」ばかりが取り上げられますが、民間企業に実際の義務が生じるのは「①官民連携の強化」のほうです。そしてその内容は、届出とインシデント報告という、かなり具体的な作業です。
この記事は2026年8月17日時点の内容です。制度の記述は、警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年3月公表)、『サイバーセキュリティ戦略』(2025年12月23日閣議決定)、内閣府政策統括官(サイバー安全保障担当)『サイバー対処能力強化法(官民連携)の施行に向けた考え方の案』(2025年12月)にもとづきます。
第6章の届出・報告の詳細は、2025年12月時点の「考え方の案」です。政省令やガイドラインで確定していない部分を含みます。自社の対応を決める際は、必ず所管省庁の最新の公表資料をご確認ください。
能動的サイバー防御とは(やさしい定義)
製品でも技術でもなく、国の政策の名前です
重大なサイバー攻撃による被害を未然に防ぎ、拡大を止めるために、攻撃を受けてから対応するのではなく、事前・事中に働きかけるという国の政策方針です。2025年に成立した法律で、その実施のための制度が整えられました。
まず、言葉の位置づけを整理します。これは製品名でも、技術の名前でもありません。EDRやWAFのように買えるものではなく、国が行う政策の名前です。
| これまで | 能動的サイバー防御 |
|---|---|
| 攻撃を受けた組織が、自分で守る | 国が、被害の前に働きかける |
| 被害が出てから、捜査する | 攻撃に使われるサーバ等に、直接働きかける |
| 情報共有は任意 | 一部の事業者には、届出と報告が義務になる |
| 各社がばらばらに対応 | 官民の協議会で、秘密を含む情報を共有 |
対比は筆者による整理です。制度の内容は次章以降で出典つきに示します。
「能動的」が指しているのは、国の動き方です
この言葉を「自社が能動的に守る」という意味に読んでしまうと、話が噛み合いません。能動的に動くのは国のほうです。企業側に求められるのは、その国の動きが成り立つように情報を出すこと——届出と報告です。第6章がその中身になります。
第1章 おわり — 次は第2章
なぜ、法律まで作ったのか
順を追うと、10年がかりの話です
この制度は突然出てきたものではありません。警察庁の資料が、経緯を整理しています。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2022年12月 | 国家安全保障戦略を閣議決定。「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる」を目標に掲げ、能動的サイバー防御の導入を決定 |
| 2024年6月 | 「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議」開催 |
| 2024年11月 | 同会議の提言を取りまとめ |
| 2025年5月 | 第217回国会でサイバー対処能力強化法・整備法が成立 |
| 2025年12月 | 「基本的な方針」および「サイバーセキュリティ戦略」を閣議決定。国家安全保障会議が「アクセス・無害化措置の運用に関する指針」を決定 |
| 2026年4月1日 | サイバー通信情報監理委員会 設置 |
| 2026年10月1日 | 改正警察官職務執行法の関係規定を含む主要部分が施行 |
出典:警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』トピックスⅠ。日付は西暦に換算しています。監理委員会の設置日は同法の段階施行によるものです。
背景にある脅威の側も、同じ資料に数字があります。警察庁のセンサーが検知した不審なアクセスは、1日・1IPアドレス当たり9,605.7件。そして国家を背景とするとみられる攻撃グループへの注意喚起も、繰り返し出されています。
とくに大きかったのが、2025年1月に警察庁とNISCが行ったMirrorFaceに関する注意喚起です。
MirrorFaceと呼称されるサイバー攻撃グループが、令和元年頃から日本国内の組織、事業者及び個人に対して、情報窃取を目的としたサイバー攻撃を行っており、さらに、これらサイバー攻撃が、中国の関与が疑われる組織的なサイバー攻撃活動であると評価し、同グループの背景や手口、未然防止対策等に関する注意喚起を実施した。
警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』資料編(2025年1月の注意喚起について)主な手口として挙げられたのは、標的型メール攻撃と、ネットワーク機器(特にVPN機器等)の脆弱性を悪用した侵入でした。国が「どの国の関与が疑われるか」まで評価して公表する——これが第4章で触れるパブリック・アトリビューションです。
「気づいた時にはもう遅い」ことが、制度の出発点です
重要インフラを止めることを狙った攻撃は、長期間ひそかに潜伏してから動きます。被害が出てから捜査を始めるのでは間に合わない——だから被害の前に働きかける仕組みが要る、というのがこの制度の論理です。潜伏する攻撃の実態は エッジ機器のゼロデイからESXiランサムウェアへ で扱っています。
第2章 おわり — 次は第3章
3つの柱を分けて読む
報道が扱うのは3本目だけです
警察庁の資料は、強化法と整備法について「官民連携の強化」「通信情報の利用」「攻撃者のサーバ等へのアクセス・無害化措置」の3つを取組の柱としていると説明しています。この3つは、関係する人がまったく違います。
| 柱 | 何をするか | 誰に関係するか |
|---|---|---|
| ① 官民連携の強化 | 基幹インフラ事業者の届出とインシデント報告、官民の協議会での情報共有 | 民間企業。この記事の第5〜6章 |
| ② 通信情報の利用 | 攻撃の検知のため、一定の通信情報を本人の同意によらず利用する | 通信事業者と、監督する独立機関 |
| ③ アクセス・無害化措置 | 攻撃に使われているサーバ等へ直接働きかける | 実施するのは警察と防衛省・自衛隊 |
出典:警察庁『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』トピックスⅠ2「能動的サイバー防御(ACD)」。右列は筆者による補足です。
③は、どこまでやるものなのか
いちばん報道される柱ですが、閣議決定された『サイバーセキュリティ戦略』(2025年12月23日)に、範囲がはっきり書かれています。
武力攻撃に至らないものの、安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、攻撃者のサーバ等への直接的な働きかけを通じ、攻撃による被害の防止を目的として、国際法上許容される範囲内でアクセス・無害化措置を実施する。
『サイバーセキュリティ戦略』(2025年12月23日閣議決定)——警察庁資料 資料編より4つの条件が入っています。①武力攻撃に至らない段階で ②重大な攻撃のおそれがある場合に ③被害の防止を目的として ④国際法上許容される範囲内で。「やられたらやり返す」という書き方はどこにもありません。
実施体制についても、同戦略は警察と防衛省・自衛隊が共同して対処する体制を構築するとし、司令塔として国家サイバー統括室(NCO)が国家安全保障局と連携して総合調整機能を発揮するとしています。警察側では、サイバー特別捜査部を中心に実施していくとされています。
②には、独立した監視機関が置かれました
通信情報の利用は、憲法が保障する通信の秘密との関係が最大の論点でした。そのため、政府から独立した第三者機関としてサイバー通信情報監理委員会が2026年4月1日に設置されています。委員長は国会の同意を経て任命されました。
この委員会は、政府の運用を監視し、アクセス・無害化措置などが適正かどうかを審査・承認する権限を持つとされています。つまり、②と③はこの委員会のチェックを通る設計になっています。
第3章 おわり — 次は第4章
よくある誤解と、似ている言葉
言葉が強いので、誤解も強くなります
| 誤解 | 実際は |
|---|---|
| 「日本が反撃(ハックバック)できるようになる」 | 措置の目的は被害の防止で、報復ではありません。範囲も国際法上許容される範囲内と閣議決定文書に明記されています |
| 「政府が国民の通信を全部見る」 | 対象は限定され、独立したサイバー通信情報監理委員会が審査・承認します。この機関を置くこと自体が、国会論議の最大の争点でした |
| 「民間には関係ない」 | 柱①で基幹インフラ事業者に届出と報告の義務が生じます。さらにそのサプライチェーンにも関係します(第5章) |
| 「10月1日に全部始まる」 | 段階施行です。監理委員会はすでに設置済み、協議会の発足や届出はさらに先の予定です |
| 言葉 | 意味 | この語との関係 |
|---|---|---|
| 能動的サイバー防御(ACD) | 被害の前に働きかける国の政策方針 | この記事の主題 |
| サイバー対処能力強化法 | その根拠となる法律 | 正式名称は「重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律」 |
| 整備法 | 関係法律を改正する法律(令和7年法律第43号) | これにより警察官職務執行法が改正されました |
| 国家サイバー統括室(NCO) | 内閣官房の司令塔組織 | 旧NISCを発展させた組織 |
| パブリック・アトリビューション | 攻撃の主体を特定して公表し、非難すること | 従来から行われている抑止手段。無害化措置とは別 |
| 経済安全保障推進法 | 基幹インフラの事前審査などを定める法律 | 「特定重要設備」の概念が共通し、届出で連携が検討されています |
パブリック・アトリビューションの説明は警察庁資料トピックスⅠ1にもとづきます。
「攻撃」ではなく「無害化」という言葉が選ばれています
制度の用語は一貫して「アクセス・無害化措置」です。攻撃に使われているサーバの機能を止める、といった働きかけを指します。実際、警察はこれまでも民間事業者への依頼という形でC2サーバのテイクダウンに関わってきました。今回の法整備は、その延長線上に法的な根拠を与えるものと読むほうが実態に近いと考えられます。
第4章 おわり — 次は第5章
うちの会社に関係あるのか
3つの立場があります
「基幹インフラ事業者でなければ無関係」ではありません。立場は3つに分かれます。
| 立場 | 誰か | 何が起きるか |
|---|---|---|
| 1. 基幹インフラ事業者 | 電気・ガス・水道・金融・通信・鉄道・航空など、指定された分野の事業者 | 届出とインシデント報告が義務。協議会の構成員候補 |
| 2. ベンダー・維持管理事業者 | 上記の機器やシステムを納入・保守している事業者 | 協議会の構成員候補。届出を代行する仕組みも検討中 |
| 3. その他の企業 | 上記のサプライチェーンにいる企業、社会的影響の大きい事業者 | 準会員的な「協議会フレンズ(仮称)」として、国からプッシュ型の情報提供を受ける対象になり得ます |
出典:内閣府政策統括官(サイバー安全保障担当)『サイバー対処能力強化法(官民連携)の施行に向けた考え方の案』(2025年12月)。同資料は「案」であり、確定した制度ではありません。基幹インフラの分野は経済安全保障推進法等で定められています。
3行目に注目してください。国は、構成員以外にも広くサイバーセキュリティ対策を促す観点から「協議会フレンズ(仮称)」という準会員的な枠を設け、秘密を含まない有益な情報をプッシュ型で提供する、としています。例として挙げられているのが「基幹インフラのサプライチェーン等」です。
取引先から確認が来る、という形で影響します
基幹インフラ事業者が届出とインシデント報告の義務を負えば、その取引先にも、報告に必要な情報を出すことが求められます。「攻撃を受けたら何日以内に知らせてほしい」という条項が、契約に入り始めます。サプライチェーン攻撃への対応と、実務としては地続きです。
第5章 おわり — 次は第6章
対象になる企業がやること
届出・報告・協議会の3つです
内閣府の資料(2025年12月・案)にもとづいて、具体的な作業を整理します。確定した内容ではないため、方向性をつかむものとしてお読みください。
① 資産の届出
「特定重要電子計算機」を導入したら、製品名等を事業所管大臣に届け出ます。対象として検討されている機器の類型は次のとおりです。
| 類型 | どんな機器か | 具体例 |
|---|---|---|
| A | インターネットとの接続口(アタックサーフェス)。グローバルIPアドレスが割り当てられている機器 | ファイアウォール、VPN装置等 |
| B | 役務提供に係るシステムの認証を提供する機器 | ADサーバ等 |
| C | 「特定重要設備」を含むセグメントのDMZ等 | 制御系DMZ、中継サーバ等 |
| D | そのセグメントへのアクセスを制御する機器 | アクセス制御機器 |
| E | 特定重要設備、または同一セグメントの機器 | 制御系システム等 |
| F | A〜Eに係る重要データ(認証情報等)を保存している機器 | — |
出典:同「考え方の案」。届出対象は業態別・個者別に今後具体的に検討するとされています。
期限は、導入から4か月以内。施行時にすでに導入されているものは施行から6か月以内です。クラウドを使っている場合はサービス名・提供者名を届け出て、ハードウェアの届出は不要とされています。
② インシデント報告
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 速報 | 認知後速やかに |
| 詳報 | 30日以内 |
| 報告先 | 事業所管大臣および内閣総理大臣(両方) |
| 報告対象 | ①マルウェアが実行可能な状態に置かれた ②不正アクセス行為 ③業務妨害——の痕跡を認知した場合 |
| 類型Eは追加 | 上記に加え、マルウェアを受信した/不正アクセス行為を行う通信を発見した/虚偽の情報・不正な指令を受信した場合も報告対象 |
| クラウドの「認知」 | SaaS等の場合、クラウド事業者から通知があった時点で「認知」とみなす |
出典:同「考え方の案」。報告時点で把握している事項についてのみ求められます。具体的な事象はMITRE ATT&CK等も参考に、今後整備予定のガイドラインに記載されるとされています。
最終行が、実務ではとくに重要です。クラウド事業者からの通知が届いた瞬間から、時計が動き始めます。通知の受け取り窓口が共有メールアドレスで誰も見ていない、という状態は、そのまま報告遅延になります。
個人データの漏えいが絡む場合、個人情報保護委員会への報告義務(速報3〜5日以内・確報30日以内、不正の目的による場合は60日以内)とは別に、この強化法にもとづく報告が発生します。窓口も期限も違います。
「どの事案で、どこに、いつまでに報告するか」の一覧を、事前に1枚にまとめておいてください。事故の最中に調べ始めると、必ず遅れます。個人情報保護法側の期限は 二重恐喝とは? の報告義務の章にまとめています。
③ 協議会への参加
内閣総理大臣が「情報共有及び対策に関する協議会」を設置し、基幹インフラ事業者やベンダー等を同意を得て構成員に加えます。構成員には守秘義務を伴う情報が共有され、同時に必要な情報共有を求められることがあります。
第6章 おわり — 次は第7章
施行までのスケジュールと、今日の確認
準備に使える時間は、思うほど長くありません
| 時期 | 予定されていること | 状況 |
|---|---|---|
| 2026年4月1日 | サイバー通信情報監理委員会 設置 | 設置済み |
| 2026年春 | 協議会の規約案・規程案の策定、構成員候補への案内開始 | 進行中 |
| 2026年10月1日 | 改正警察官職務執行法の関係規定を含む主要部分が施行 | 約45日後 |
| 2026年秋頃 | 官民連携部分の施行、新協議会の発足 | 予定 |
| 施行から6か月以内 | 既存設備の初回届出期限 | 予定 |
| 2027年春頃 | 官民連携基盤(情報共有システム)の本格運用 | 予定 |
出典:警察庁資料(施行日)および内閣府『考え方の案』のタイムライン(2025年12月時点)。協議会以降の日程は「想定」として示されたもので、変更される可能性があります。
① 自社が基幹インフラ事業者に該当するか——所管省庁の公表資料で確認します。
② 主要な取引先に基幹インフラ事業者が含まれるか——含まれるなら、契約の報告条項が変わる可能性があります。
③ インターネットに面している機器の一覧があるか——類型A(FW・VPN装置等)が届出の中心です。無ければ、そこから作ります。
④ クラウド事業者からの通知が、誰に届くか——「認知」の起点になります。
③と④は、対象事業者でなくてもやる価値があります。資産の一覧と通知の受け口は、あらゆるインシデント対応の土台だからです。
土台のほうを固めたい方へ
資産の棚卸しと判断者の決め方は CSIRTとは?、報告と初動の手順は インシデント対応プレイブック完全ガイド、ログの保存設計は ログ管理の課題 にまとめています。
第7章 おわり — 次は第8章
関連用語と、次に読む記事
この語とセットで覚えると理解が早くなります
| こんな方に | 次に読む記事 |
|---|---|
| 取引先から確認が来た | サプライチェーン攻撃とは? |
| 報告義務の期限を知りたい | 二重恐喝とは?(報告義務の章) |
| 体制を作りたい | CSIRTとは? |
| VPN機器のリスクを知りたい | エッジ機器のゼロデイからESXiランサムウェアへ |
| 直すべき脆弱性を絞りたい | CISA KEVカタログ活用ガイド |
| 部品の一覧を作りたい | SBOMとは? |
| 調べる側の技術を知りたい | デジタルフォレンジックとは? |
| 用語を一覧で見たい | セキュリティ用語辞典 |
第8章 おわり — 最後にFAQ
能動的サイバー防御についてよく聞かれること
検索でよく見かける疑問から
うちは対象になりますか?
義務が生じるのは基幹インフラ事業者と、その機器を維持管理する事業者です。分野は電気・ガス・水道・金融・通信・鉄道・航空などが挙げられますが、具体的な対象は業態別・個者別に今後決まる部分があります。該当しそうな場合は、所管省庁が設置予定の相談窓口で確認してください。対象外でも、取引先経由で情報提供や契約条項の変更を求められる可能性はあります。
自社の通信が政府に見られるのですか?
柱②の「通信情報の利用」は、攻撃の検知を目的として一定の通信情報を本人の同意によらず利用するものです。ただし対象は限定され、独立した第三者機関であるサイバー通信情報監理委員会が審査・承認します。この機関を置くこと自体が、通信の秘密との関係で国会論議の最大の争点でした。制度の詳細は運用指針や政省令で定められるため、正確なところは所管の公表資料をご確認ください。
攻撃されたら、国が反撃してくれるのですか?
いいえ。措置の対象は「武力攻撃に至らないものの、安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合」で、目的は被害の防止です。一般企業が攻撃を受けたときに国が代わりに反撃する制度ではありません。自社の防御と復旧は、これまでどおり自社の責任です。被害に遭った場合は、まず やられたときの最初の30分 をご覧ください。
報告しなかったらどうなりますか?
強化法には届出・報告に関する規定が置かれており、義務の履行が求められます。罰則の有無や内容を含む具体的な適用は、政省令やガイドラインで定まる部分があるため、この記事では断定しません。確実なのは、報告できる状態を作っておかないと期限に間に合わないということです。第7章の4つの確認から始めてください。
出典・参考
- 警察庁サイバー警察局『令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』(2026年3月公表)トピックスⅠ「国家安全保障におけるサイバー警察の果たす役割」 https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R7/R07_cyber_jousei.pdf
- 内閣府政策統括官(サイバー安全保障担当)『サイバー対処能力強化法(官民連携)の施行に向けた考え方の案』(2025年12月) https://www.cao.go.jp/cybersecurity/kaigi/pdf/04shiryo05.pdf
- 内閣官房『サイバー安全保障に関する取組』(法律本文・関係資料) https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/cyber_anzen_hosyo_torikumi/index.html
- 内閣官房 国家サイバー統括室(NCO) https://www.cyber.go.jp/
- 参議院常任委員会調査室・特別調査室『能動的サイバー防御2法案の国会論議(2)——通信情報の利用と通信の秘密』 https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2025pdf/20250725003.pdf
最終更新:2026年8月17日/次回見直し予定:2026年11月(10月1日の施行と、政省令・ガイドラインの公表に合わせて)



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